最近美容に興味がある。なぜなら私は恋する乙女だからだ。好きな相手はもちろん刀剣男士。しかも先輩の本丸の。しかし私は可愛い。先輩よりも圧倒的にかわいい。だが、好きな彼は私に全く振り向いてくれない。だからもっともっと可愛くならないといけない。どんな手段を使ってでも。
そんなある日出会ったのは、コスメを買った帰りにもらったチラシだった。
――どんな人も、内側から綺麗になれます。
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「それではアイマスクと耳栓をさせていただきますね」
ここの施術では、必ずアイマスクと耳栓をつけさせられる。施術効果をより発揮するために必要なことらしい。前回の契約時に出された書面には怪しいことはなかったので、合わなかったらやめる効果があれば続けるの気持ちだ。安かったし。
服を脱ぎ、浴槽のような空間に腰を下ろす。無音と暗い視界では、どのタイミングで何をされるかは分からない。
はじめは腕を掴まれる。
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ここまで蟲風呂をしたかった前段階↑
ここから癖100%↓
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うちにはまうちゃんという存在がいる。体長10センチぐらいの、小さな生き物だ。小さいゆえに服は着ていない。けれど大きな膝丸のように性器がついているわけではないので裸が許されている。
まうちゃんのほっぺはふにふにのマシュマロ。さらにおててとあんよも、5ミリ程度の長さしかない。
本体と同じように兄者を呼ぶときもあるが、そのときは「あににゃ」と舌足らずな感じが可愛い。
さて、まうちゃんは大量にいる。本体である極カンストの膝丸とどういう関係があるのかは分からないが、たまに増え、たまに減っている。個体数を本刃が確認できるかは分からない。聞いても「知らん」との返事で終わるからだ。
さて、私の目の前には一体のまうちゃんがいる。机の上のお皿の上でちょこんとお座りをしているのだ。何をされるのか分かっていない顔で、首を傾げ、無垢に私を見上げ片手を挙げたりしている。とってもかわいい。
私はまうちゃんのほっぺをつついた。どうあがいてもマシュマロである。フォロワーは「まうちゃんは金属なんですよ」というが、この感触が金属なわけがない。
遊んでもらってまうちゃんはご機嫌そうである。私もにっこりと笑いかえす。
「まうちゃん、おいで」
手のひらを差し出せば、まうちゃんはぴょこんと手の上に飛び乗ってくれる。かわいいね、そういうとまうちゃんはまた嬉しそうに笑った。その顔を見て、ついうっかり、魔が差してしまった。私はその手のひらを口に運んだのだ。
舌の上で、マシュマロが暴れている。うっかり喉の奥に潜り込みそうになるので、舌でその動きを抑えた。歯を立てると、細い何かを挟む。口の中から私を呼ぶ声がする。それに応えるように、ころころと舌を動かす。
けれど、暴れるのでえづいてしまった。うっかり歯に力が入り、そのまままうちゃんを皿の上に吐き出す。
「……っ! ……!!」
まうちゃんはよたよたと皿の上から逃げようとする。口の中に残っていた小さなものは、まうちゃんの足だった。
「まうちゃん」
ふるふると首を振るまうちゃん。私はまうちゃんの腕をつかむ。ぷらーんとぶら下がるまうちゃん。じたじたと、片足が動く。