無関心ハロウィン「ないごて……」
「いや……その、こうなると思わなかったんですって」
明日、宇佐美と尾形はしばく。そう心に決めた月島は、目の前で膝から崩れ落ちている鯉登の機嫌をどう取るか考えあぐねていた。
*
――先週の金曜日。来月から他支店へ異動する社員のために、同じフロアの部署で集まってささやかな送別会が開かれた。
そしてハロウィンが近いということもあり、余興のゲームで負けた人は罰として、用意された衣装を着て仮装をしなければならなかった。
自分は上司だしゲームには参加しなくていいだろうと思っていたが、「全員参加に決まってるじゃないですかあ〜」と月島の背中をグイグイと押してきたのは宇佐美だった。
「若い奴らだけで楽しめばいいだろ」と逃げようとしたが「月島課長がいればもっと面白いですから。なあ、宇佐美」と行く手を阻んだのは尾形だった。
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