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    bach_otamama

    @bach_otamama
    普段はFGOヘクトール受メインに小説書いてます。アキヘク、タニヘク、マンヘク多め。こちらはメギド72ロキマネなどFGO以外の作品を上げていく予定です。

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    bach_otamama

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    フォラス転生日おめでとう!
    何気ない日常の話です。娘に花を贈りたいというフォラスにつきあってあげるカイムとデカラビアの話。カイムやベルフェゴールが飾ってる花って生花なのかはたまたドライフラワーか、それとも造花?いまだに謎のままです。

    花束を君に 王都での研究報告は滞りなく終了した。さらなる発展のため、次のフィールドワークの計画も立て、あとは家族の元に帰るだけだ。お土産を選ぼうと商店街へ立ち寄ったフォラスの目を咲き誇る薔薇が引きつけた。
    「いらっしゃいませ」
    「えっと、その薔薇は」
    「ええ。この前仕入れたばかりなんですよ。ご自宅用ですか?それとも贈り物?」
    「妻と娘への土産を探していてな」
    「まあ。きっとお喜びになりますわ」
    如才なく花をすすめてくる店員へ、もう少し他の店も見てくるといって断るとフォラスは王宮へ向かった。

     王宮でポータルの使用許可をもらい、アジトへ向かう。
    「いてくれるといいんだが。お、いたいた」
    眼鏡の奥からアジトの共有スペースを見渡すフォラスの視界が、探していた赤を見つける。
    「カイム、いま空いてるか?」
    「私めの時間は全て我が君のためにございます」
    青年はなにやら書き記しているようだ。
    「王都への報告書か?手伝いとかいるか?」
    「特にはございませんが、せっかくの学士殿のお申し出。無下にはできませんね」
    念のため誤字などがないか見てほしいとカイムは頼んだ。内密にと言われているが、カイムは異端審問官としてハルマ麾下の組織で働いていたという。整理整頓の類が苦手なメギドや追放メギドにしては珍しく、書類の整理や作成にも長けているので王宮の求める報告書の作成などにも関わっている。
    「わかった」
    整った字は読みやすく、誤記は見当たらない。フォラスは書類の束を返した。
    「大丈夫だぜ」
    「ありがとうございます。では、こちらが最後になります」
    先程まで書いていた書類を受け取る。こちらもフォラスが見る限り、誤字は見当たらなかった。
    「完璧だ」
    「それはよかったです。で、私に何か頼みでもおありですか学士殿」
    「よくわかったな」
    「わざわざ恩を売りに来られましたので」
    ややトゲのある、そして他者と距離を置くような物言いも既にカイムの性格と皆わかっている。フォラスはふうと息をついた。
    「娘への土産に花を買おうと思ったんだが、よくわからなくてな」
    フォラスがカイムの胸の薔薇を指した。
    「で、誰か詳しそうな奴に聞こうと思ってたらお前さんがいたんで」
    「ククク、薔薇には棘があるし、毒のある花も多いぞ」
    居合わせたデカラビアが混ぜっ返す。
    「それは貴方でしょう。毒草を食堂に飾らないように頼みますね」
    カイムは冷ややかに切り返した。
    「忘れなければな。だが、毒草でも美しい花はたくさんあるぞ」
    「お前さん達仲いいな。よし、デカラビアにもつきあってもらうか」
    「お断りだ!誰がコイツと仲良しだというんだ」
    「こと贈り物選びというのでしたらデカラビアほど不向きな者もおりますまい」
    (そういう言い合いができること自体仲がいいと思うんだがなあ)
    一見誰に対しても丁寧な物腰のカイムだが、実は誰からも距離を置いている。デカラビアもそうだ。彼はこの前露見した計画のこともあったと思うが、あまり積極的に交流を深めるタイプではない。だが、口にしたが最後二人から何を言われるか予想がついたのでフォラスは苦笑するにとどめた。
    「まあいいさ、お前さん達一緒に王都の花屋まで来てくれよ」
    「そうですねえ。ああ、デカラビア」
    カイムが小声で尋ねる。
    「あるにはあるが」
    「では、少し学士殿に分けて差し上げられますか」
    「今日の俺は機嫌がいい。貴様が俺に頼み事というのも面白い」
    デカラビアが笑いながら頷く。
    「話が見えないんだが」
    「後で説明しますので、ついてきてください」
    カイムはドアを指さした。

     ポータルを使って王都へ向かうのではなく、外へ出る。少し歩くと、花が道端に咲いている。
    「どこへ行くんだ?」
    「すぐですよ」
    案内というほどのこともなく、草むらへ案内される。季節の花に混じってモーリュの花がいくつも白い花を咲かせていた。
    「モーリュの花ならうちの近くにも咲いているぞ。他の花もだ」
    フォラスがずり落ちた眼鏡を直しながら尋ねる。
    「ええ、だからいいのです」
    「フン、毒も棘もない花ばかりだ。つまらん」
    「そんなことを言っているとそのうち花の棘に刺されますよ」
    「バティンのことか?」
    彼女のメギド体は花に似た姿をしている。
    「看護師殿は確かに鋭いですね。ですが、そんな話をしに来たわけではありません」
    カイムはモーリュの花を一輪摘んだ。飾るにしてはやや短い。
    「学士殿、こんな感じで好きなだけ摘んでください」
    「ああ」
    フォラスが摘み終えるとカイムは来た道をひき返した。

     アジトに戻ると蓋のついた容器に花を入れる。デカラビアが居室から何やら青い粉のようなものを持ってきた。
    「ほら、持ってきてやったぞ」
    「ありがとうございます。では、この中に」
    白い花弁が見えなくなるまで粉を入れる。きっちりと蓋をした容器をカイムはフォラスへ渡した。
    「これは?」
    「花を乾かすのです。この粉は乾燥剤で、この中に入れるとドライフラワーとして長く楽しめます。あとはピンをつければブローチなどにできます」
    カイムは自分の胸を指さした。
    「なるほど」
    「娘さんと一緒に作ったらいかがです?仕事仕事でろくに遊んであげていないのでしょう?」
    「痛いところをついてきやがるな。でも二人ともありがとう。恩に着る」
    「どういたしまして」
    「まあ退屈しのぎにはなったかな」
    カイムとデカラビアの口元には確かに笑みが浮かんでいた。
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    bach_otamama

    DOODLE〆でも観○少女パロをついに書いてしまいました。プランツロキとマネージャーの出会い編。ナナシというのもなんですが、さすがにマネージャーという名前にするのは無理があったので……そこらへんももし続きを書けたら書きたいです。
    観用召魔 歌声が聞こえた気がして、ナナシは周囲を見渡した。しかし、辺りには声の主と思しき人影は見られない。気のせいかと思って歩き出すと、また声が聞こえた。
    「あっちの方か」
    振り切って歩こうとすると声が気になってしょうがない。歌は少し前に流行った歌で、ナナシも好きな歌だ。だが、好きな歌だからといって、声の主を探したくなるようなことは今までは一度もなかった。

     不思議と彼の心を揺さぶる歌声に引きつけられ、声をたどって歩き出す。気づけば、普段は通らぬ小路に入り込んでいた。
    「メギド72?変わった店名だな」
    瀟洒な建物の前には、店名を記した小さな看板があった。だが、重厚な紫檀のドアといい、漆喰を塗り重ねた壁といい、堅固な作りの建物はとても歌声が漏れ聞こえるようには思えない。以前には劇団を率いていたので、音響などには多少の知識がある。そして、近くにいたわけでもないナナシにも聞こえるような歌声ならすぐ近くに来たらさぞかし大きな声だろうと思うが、音量は先ほど聞いた時となんら変わらない。
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    bach_otamama

    DOODLEベルイム。大遅刻ハロウィンすみません。惨劇前の例えば、な一日です。
    東方イベで各地域や職務担当のハルマがいるみたいなことをお出しされたのと、異端審問官がハルマの作った組織なあたりからの捏造や想像を含みます。
    時系列は明記されていませんが、トルケーの惨劇を10年ほど前、カイムが母親と別れたのはハルファスと同じ14,5歳くらいと仮定しています。
    I'm a wizard 陽光を紡いだような美しく長い金の髪と蒼天の瞳、彫りの深い端正な面差し。冷たく冴えた冬の晴天のような美貌はいかにもハルマらしい。一方で、調和を良しとする彼らには珍しく、長い髪を奔放に背へ流し、白い服も大きく着崩している。
    「一週間後はハロウィンだ。クロウタドリ達も自由に歌っていいだろう?なに、担当者の許可は取っている。たまには楽しみたまえ」
    ミカエルと名乗ったハルマは審問官たちへ片目をつぶってみせた。
    「そういう問題でしょうか」
    「とかく君達は誤解されやすいからね。祭りに参加して市民たちと交流するのも大切だ」
    飄々とした男に反論できるものはいなかった。

     大地の恵みが見える者、人ならざるモノをその身に宿す者、理由などないが他者と交わって過ごすことに苦痛を見出す者。そうした者が時折、異端と断じられることがある。異端審問会は、そのような人々が虐げられる前に、あるいは他者を傷つけてしまう前に保護するためにハルマが作った機関だった。パクス・ハルモニア。追放メギドはもちろん、そうでない者も含め、調和や統一をヴィータへも求める彼らにとって異端者は時に和を乱し好ましからぬ事態が起こる。だからこそ保護し、遠ざけて彼らも残る者も暮らしやすいようにする。しかし、遠ざけるがゆえに誤解を招いた。異端審問は異端者への対応が集団生活で避けられぬストレスや心的不安と重なった際に、審問という名の他害へ名分を与えてしまった。事実、ボダン村など誤った異端審問の他害はずっと残り続け、異端審問会はひそかに恐れられている。彼らがクロウタドリと符丁を使うのも、異端審問への誤解からあらぬトラブルを避けるためでもあった。しかし、知らないことは誤解を生む。未知は恐れを生み出す。誤解を解くように、知ってもらうようにと仮装してハロウィンへ参加するというミカエルの提案を審問官たちは受け入れた。
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