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    はるや゚

    性癖に 素直に従い 書いていた
    やつを投げてく ところてんなの

    ◇これは読んだ方が良さげなリトリンなの◇
    https://lit.link/Haruy4nano

    ◇この話のここ好き!はこちらにどうぞなの◇
    https://wavebox.me/wave/waura4mz8yx8l0op/

    ◇ツイ@4696touhou @kurepuondoV3Mix

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    はるや゚

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    11月11日のくろそら
    天下無敵推しカプ無双その名とはピッキーピッキー

    可愛くしすぎた気がすると思い少し不安な僕VS可愛いからいっかと言う可愛いが大好きな僕 ファイッ!

    ##くろそら

    十一月◇ゲームでなくとも何度でも
    ――315プロダクション事務所 テレビ前

    『今日、11月11日といえば〜? ……そう!
    みなさんご存知、ピッキーの日ですよね!』

    (そ、そうだったのですか……!?)


     テレビから聞こえたその言葉に、ピッキーの日をご存知でなかった私は驚いた。

    『ピッキーを4つ並べてみると、このように!
    1が4つ並んでるように見えることから――』


    (それなら、『茶柱の日』にもなりますよね!)

     1つの茶碗に茶柱が4本も立っている……
     そんな幸運過ぎる光景を思い浮かべて、私は自然と笑顔になれる。

     このあと北村さんの家へ行った際に『茶柱の日』という事でお茶を点ててみましょうか。
     それ自体は普段している事ですが、今日は特別バージョンです! ふふ、楽しみですね。


    『この日に合わせて、ピッキーゲームをするカップル達も多いですよねぇ』


    (……『ピッキーゲーム』、ですか?)





    ――数時間後 北村家のリビング

    「――というものがあるらしいのですが……
    北村さんは、どういう物かご存知ですか?」
    「んぶっ」


     ソファで私と肩を並べ座っていた北村さん……私の恋人にそう尋ねた瞬間、口に含んでいたお茶が噴き出し……そうになるのを必死に堪えて飲み込めたは良いがむせてしまったらしい北村さんが咳き込んだ。


    「あぁっ 北村さん!? 大丈夫ですか!?」
    「けほっ……あはは、大丈夫ー。九郎先生からその単語を聞くのが少し意外だっただけでー」

     北村さんはそう言って笑ってはいますが、少し焦っている時の笑い方にも見えた。
     申し訳ないと思い、彼の背中をさすった。


    「恋人同士で流行っているらしいのですが……
    どういうものかよく存じ上げないんですよね」

     浮かぶのは、ピッキーを1本手に取って相手とチャンバラ勝負をする光景なのですが……
     これは流石に違いますよね……?

    「えっとー、ちょっと待っててねー……?
    ……なんとー。丁度ここに買っていたピッキーがあるから、これを使って説明しようかー」

     北村さんがソファから離れ、自分の鞄の中からピッキーの箱を取り出してこちらに持ってきた。
     あっ、あの箱のデザインは抹茶味です……!

    「はい、九郎先生。まずはこれの端の方を咥えてみてー? まだ齧ったらだめだよー?」
    「は、はい……いただきます。」

     北村さんが手に持っている1本のピッキーを、言われた通りにそのまま口に咥えてみる。

    「ふふっ、それをそのまま食べ進めていくのが
    九郎先生が知りたかったピッキーゲームだよー」

    「えっ、それだけなのですか?」

    (なるほど、ピッキーゲームとはつまり――
    ピッキーを早く食べる競走だったんですね!)

    「…………うん。結構シンプルでしょー?
    じゃあ、早速始めようかー あ、最後にひとつ。
    ……口、離したら負けになるからねー?」

    ――ではー……よーい、スタートー。


     その合図を北村さんが告げた直後の事でした。


     私のとは反対側の……ピッキーの持ち手らしき部分の端を、北村さんがぱくっと咥えた。


    (き……北村さん!?
    そちらからも食べていくのですか!?
    あの、私が食べるピッキーの筈では……!?)


     北村さんの行動に驚いて体が固まってしまう。
     口を離したら負け、らしいので逃れられない。
     争いは好きではありませんが、勝負には勝ちたいので。

     ゆっくりと近づく北村さんの視線は
    『ほら、九郎先生もこうしてー?』と言うようにジトーーッとこちらに向いている。
    (いけません……私も食べ進めなくては……)

    …………この状態でですか!?


     さく、さくと小さく音を立てながらピッキーを食べていく。
     このようにして食べていくのは、緊張します。
     とても顔が熱いです。
     折角の抹茶味なのに味がよく分からないです。
     目の前の北村さんの事で頭がいっぱいです。


     それに、このままだと最終的にはその……
    (……っ!? 顔がとても近いです……!)

     パキッ!

    「ん、」
    「あっ……」

     口は離してはいません、いないのですが……


    「と、途中で折ってしまった場合も『負け 』……ですか?」
    「負けになる筈だよー? ふふ、今回は僕の勝ちだねー」

     にまっと笑うを彼を見て一気に緊張が解けた。


    「は、はあぁっ……あ、あの、ひとつ聞いてもよろしいでしょうか……」
    「んー?」

     喋る為に私の手に持ったままのピッキーを食べきってから、北村さんにずっと聞きたかった事を告げた。


    「北村さんとピッキーを両端から食べていくとは
    聞いてないのですが……! どうしてこんな凄く重要な事を言ってくれなかったんです……!」

     嫌じゃないんです!
     嫌じゃなかったです……!
     ただ、ただ……!

    「先に分かっていたら……! 恐らくですが私が負ける事は無かったかと思います!」

    「あ、そうくる……? えっと、九郎先生の驚く所が見てみたくて黙っていましたー。……ごめんねー?」

    「い、いえ。私の方こそ、すみません突然……」


     もし、私があのままピッキーを折らずに進んでいたら……恋人同士の間で流行っている理由は、きっとそういう事なのでしょうね。



    「……北村さん、もう一度やりましょう」
    「……え」

    「ルールは大体理解できたと思いますし、次こそは負けませんから……さぁ、こちらをどうぞ」

     今度は私から、北村さんにピッキーを向ける。


    「ほ、本当にするのー?」
    「北村さんは嫌ですか?」
    「嫌じゃないけどー……」

     本当に嫌ではないと、顔を見れば分かります。
     だんだんと頬が赤く染まっていき、二つの赤い瞳がどこか期待しているように見えますから。
    ……私の頬も、赤くなっているんでしょうね。


    「あと一回だけ、でいいかなー?
    やり直しは無しの方向でー」
    「はい……! ありがとうございます。
    私の我儘に付き合ってくださり」

     私が差し出したピッキーの端が、北村さんの口の中に入る。
    ……結構かわいいですね。 ではなくて!

    「では、いきます……」

     こうして、私と北村さんのピッキーゲーム第二戦目が始まりました。


    (今回は大丈夫……少し、ドキドキしますけど)

     無意識でしたが、北村さんの手の上に私の手のひらを重ねていた。
     それに気付いた北村さんの肩が小さく跳ねましたが、それを拒まずに、口も離さずに食べ進めてくれている。
     手を振り払われなかっただけでも、私はとても嬉しいです。

    (もう……そろそろでしょうか)

     ピッキーの長さが短くなっていき、それに合わせて私達の距離も縮まっていく。
     重ねてた手に少しだけ力が入る。

     この先に待っているものを、お互い目を閉じて受け入れた。

    「…………っ」
    「ん……」


     私の唇にふにっと柔らかい何かが重なる。
     それは数秒で離れしまったけれど、その数秒が私の心をほんのり温かく満たしてくれる。
     

     目を開けて、間近にある愛しい人の顔を見つめた。とても照れているけれど、同時に嬉しくもあるような幸せそうな表情です。


    「……とても甘かったです……」
    「……どっちがかなー?」
    「ふふ、両方です」

     先程重ね合わせた唇は柔らかくて、抹茶の甘い風味も口の中に流れ伝わってきた。


    「今回は負けずに済んだねー。九郎先生ー?」
    「はい! 嬉しいです! この場合は引き分け……というよりどちらも勝った事になるんでしょうか?」
    「そうなるんじゃないかなー? 僕も九郎先生も最後まで口離さずにいたし、折ってもないしー」

    「なんだか今日は嬉しい事ばかりです。知りたかった事を北村さんが教えてくれて、抹茶味のピッキーも食べれましたし……キスも、できました」

    「うん、本当は九郎先生とゲーム関係なく一緒に食べたいと思って買ったんだけどー……だから『ピッキーゲームとは何か』と聞かれた時は驚いたよー」

    「そうだったのですね。……そこからルールを全ては教えずゲームに持ち込んだ北村さんにも、私はかなり驚かされましたが」

    「あ、あれは僕も、ちょっとやり過ぎたなーと思ってるからね今はー……!」

    「ふふ、分かっていますよ」

     そこから、私達のくすっとした笑い声が部屋に小さく響いた。


    「……あの、北村さん。先程の事もあるのに……本当に我儘なのですが、もう一つだけ言っても良いですか?」
    「何を言われるのか分かった気がするけどー……うん。聞かせてー?」


    「ゲームとは関係なく、貴方とキスがしたいのですが……よろしいですか?」

    「…………いいよー」


     そう言ってくれた声色は普段より甘くて優しく私に囁いた。
     北村さんの目が閉じ口が少し開いて私を待つ。

    「……ありがとうございます」


     彼の肩に手を置き、体をこちらに引き寄せて


    「北村さん、大好きです」

     そう告げて、愛しい貴方に口付けをした。


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    Replies from the creator

    はるや゚

    DONEくろそら(🛹衣装編)

    「なんか色味が北村なんだよな」という話。

    3周目の清澄さんが白!黒!赤!緑!という北村想楽色コーデを纏っている事実に今でも驚けるんですけど完凸色も見ると『北村2周目(完凸)と並べてや〜』というメッセージを感じませんか本当にありがとうございました。本当は月イチで出したかったけど無理せずに自分のペースで書いていこうと思えたはるや゚先生の次回作をお待ちください🍵
    二月◇背中を押すのは空からの色


    「…………どう、でしょうか」

     いままでの私だったら着る機会は来なかったであろう雰囲気の、今回のお仕事で着る私の衣装。それを着て試着室から1歩2歩進み、私が着替え終わるのを待っていた目の前の人に声をかける。

    「どこかおかしなところはありませんか……?」
    「うーん、もう少し近くで見させてもらうねー」

     その人からも私に少し近付いて「へぇ……」「こういう風になってたんだねー」とぽつぽつ呟きながら私をじっと眺め周りをくるっと1周していた。な、なんだか緊張しますね……

    「……うん。僕の目にはちゃんと着れてるように見えるよー」
    「そうですか? 良かった……安心しました」

    「まぁ僕は衣装係さんじゃないし、実際は少し変な部分もあるかもしれないけどねー」と語っているのは私と同じくスケートボード大会のプロモーションを務めることになっている北村さんです。
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