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    りま!

    @ririmama_1101

    たまに絵とか小説更新します。
    主にらくがきなので薄ぼんやり(?)見てください。
    幻覚、存在しない記憶ばっかりです。

    リアクション𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮😘生きる糧です。

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    りま!

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    ⚠︎雨+戴ですが、戴受の人間が描いているので雨戴と表記しています。

    #雨戴

    ぜんぶつたわればいいのに 雨竜が帰宅すると、家の中は静寂に包まれていた。兄である戴天は、家にいると今朝言っていた。できればゆっくりと休日を過ごして欲しかったが、仕事に行ってしまったのかと思いながら雨竜がリビングの電気を付けて、目を見開く。
     戴天がソファーでうたた寝をしている、非常に珍しい光景だった。音を立てないように近づくと、普段着の和装を身につけていることから外出はしていないようだが、机に広げられた書類や置かれているノートパソコンから仕事をしていたのだろうということは容易に想像できた。
     投げ出されている手にそっと自分の手の甲を触れさせると、かなり冷えているようだった。部屋の中もひんやりとしていて、エアコンを入れようと雨竜は立ち上がる。そして歩き出したときに、かすかに戴天の声が聞こえる。
    「ひと…に…ないで、おねが……」
     ハッキリとは聞こえなかったが、恐らく“ひとりにしないで”と戴天が言っている。起こしてしまったかと振り返って見るも、戴天の目は閉じられたままだった。そして戴天の目から流れている涙に気がつく。
    「兄さん……?」
     兄が涙を見せたことは今まで1度もなかった。いつも凛としていて、弱みを見せようとしない。体調が悪くても隠そうとするし、不安に思っていることがあっても平然としている。もう少し頼ってほしいという気持ちと、まだ己は頼るに至らないのかと落ち込む気持ちがいつもせめぎ合う。そんなことを繰り返して、今は戴天の心に踏み込んで、休むように言ったり簡潔に気持ちを伝えるようにしている。
     ただ、以前に一度だけ戴天を傷つけたことがある。その時に見せた戴天の顔は今でも鮮明に思い出せる。その時に戴天の“本当の顔”に触れた気がして、もっともっとと求めている。
     ゴトリと鈍く響いた音にビクリと雨竜の肩が跳ねる。どうやら戴天のスマートフォンがその手から滑り落ちたようだ。慌てて戴天を確認したが、その音でも目覚めないほど深く眠っているようだった。
     戴天の目から流れる涙をそっと拭う。手に触れた頬も冷たい。できれば起こしたくは無いが、眠るには適していない環境だ。
     戴天の肩を揺すり、声を掛ける。
    「兄さん、風邪を引きますよ」
     ゆっくりと戴天の目が開いていく。パチパチと何度か瞬きをしてから、戴天の目が雨竜を捉える。
    「……うりゅうくん?」
    「うたた寝なんて珍しいですね」
     机やソファーを見て、外の暗さを確認して驚いている。きっと寝入る前の記憶では外が明るかったのだろう。
    「すっかり長い時間眠ってしまっていたようですね。……雨竜くん、私は何か寝言を言っていませんでしたか?」
    「いいえ。何も。寒そうだったので起こしてしまいました」
    「そうですか。……良かった」
     戴天が申し訳なさそうな、ばつが悪そうな顔をしながら微笑む。こうやってにこりと何でもないように笑えば全て無かったことにできるとでも思っているのか。嫌な夢を見たのなら嫌な夢を見たと言ってしまえばいいのに。悲しいことがあるのなら、悲しいと言ってくれればいいのに。
     雨竜は感情が顔に出やすい自覚がある。こんな気持ちで戴天を見ていればきっと戴天はそれに気がつく。余計なことを考えさせたくなくて、雨竜は戴天を抱きしめる。
    「おや、何か嫌なことでもありましたか?」
     自分のことは隠すくせに、雨竜のことは気にかける。もっと自分のことを大切にしてほしい。
    「いえ、ただ兄さんがとても冷えていたので」
     雨竜の様子がおかしいことに気づいたのか、戴天も雨竜の背中へと腕を回す。
     戴天とは色々あったし、衝突もした。本当に色々あったけど、戴天はずっと雨竜に優しくて時には厳しい兄だ。この人の役に立ちたい、どこまでもついて行きたい。そう心の底から思っている。
    この人の行く先が明るくなりますようにと心を込めて、更に雨竜は腕に力を込めた。
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    りま!

    DOODLE叢+戴と宗+戴の一幕。
    ※恋愛要素は無いです!
    前半は穏やか、後半はギスギス。
    温度差で風邪を引いても大丈夫な方はどうぞ(?)
    進む先 カオスワールドの中、醜い雄叫びをあげてガオナクスが立ちはだかる。はぁはぁと荒い息を吐きながら、叢雲と戴天は身構えた。
     カオスワールドの主の意思が強いのか、いつも以上にガオナとガオナクスによる妨害が多かった。目立った怪我は無いものの、連続して起こる戦闘に2人の息は上がっていた。
    「……ふぅ、まだ行けるか?戴天」
    「無論。叢雲さんこそ大丈夫ですか?」
    「もちろんだ。……来るぞ!」
     ガオナクスが繰り出す攻撃を叢雲が防ぎ、戴天が光線で焼き尽くす。お互いが次にどんな動きをするのか、目を見るだけで分かった。
     後方にいた戴天の後ろに新たなガオナが出現するのを叢雲が目の端に捉えた瞬間に叫ぶ。
    「戴天ッ!」
     鋭い声が戴天の鼓膜を揺らすとほぼ同時に、叢雲の剣が戴天の背後にいるガオナに突き刺さった。戴天は考えるよりも先に叢雲の動きを予想し、半歩身を引いていた。音もなく消えていくガオナに安心する暇もなく、剣を突き出した腕を戴天が軽く引く。引かれた動きに抗うことなく身を翻すと、戴天がふわりと浮遊して前方のガオナを破壊した。
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    りま!

    DOODLE※①②③を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    雨→戴→宗と目線が変わります。
    終わらせようと思ったけど続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ④〜一歩前進編〜 玄関の扉が開く音に雨竜がリビングへ降りると、予想通り戴天が帰宅したようだった。
    「おかえりなさい、兄さん」
     戴天には休日というものが存在しないのではないか、というくらい働き詰めだ。今日も雨竜は休日だったものの、戴天は社内調整後の決裁のために出社をしていた。
     この決裁が終われば、ほんの少し戴天のスケジュールに余裕が出る。それを見越して明日は戴天の休日を作った。戴天は休日を渋ったが、このままでは何連勤になってしまうか分からないので、何も予定は入れませんと宣言したところでやっと了承してくれた。
    「ただいま、雨竜くん」
     靴を脱いでリビングへとやってきた戴天が雨竜に一声かけると、そわそわとした様子でそのまま部屋のある2階へと上がって行った。
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    りま!

    DOODLE※①②を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    駆け引き編は宗雲目線。続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ③〜駆け引き編〜「ありがとうございました。……では、また」
     そう言いながら車に乗り込む戴天がこちらを見た。その表情がどんなものだったか、戴天は分かっているのだろうか。
    (では、また……か)
     戴天にとってはただの挨拶だとしても、彼の口から出た言葉であればそれを理由に何とでも言える。宗雲はつい緩んでしまいそうになる口元を手で押さえた。

     リビングのソファーに座りラウンジの雑務を片付けていると、スマホのメッセージアプリの通知音が響く。アプリを開くと、雨竜から今日のお礼が届いていた。雨竜が居なくなったあとの様子が気になったのか、直接的な言葉こそないものの、気になる様子が伝わってきて苦笑いする。
     同じ家にいる戴天には聞かずにこちらに聞いてくる気持ちはなんとなく分かる。ひとまず、こちらは嬉しかったと伝えられたこと、ただそれを戴天がどう思っているかは分からないことを伝え、最後に家に帰った戴天の様子を聞いておいた。
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    りま!

    DOODLE※お出掛け編を先にどうぞ!
    雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    2人きり編は戴天目線。続きます。

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き!
    兄達よ和解せよ②〜2人きり編〜 雨竜が去り、カフェの店内に宗雲と戴天だけが残されている。雨竜のことを呆然と見送るしかできなかった戴天は、中途半端に浮いたままだった腰を再びソファーへと降ろした。
    「何か私に用事でもありましたか?それとも雨竜くんの前ではできないようなお話でもあるのでしょうか」
     戴天にとっては、宗雲と話さなければいけない用事も無ければ、何もないのにお喋りを楽しむような関係でも無かったから、今の状況がまるで飲み込めない。
    「いや、特にそんな話は無い」
     宗雲からの返答に戴天は訝しげな目線を向ける。
    「私もあなたに用はないのですが……」
     そう言う戴天に視線も向けずに宗雲は落ち着かない様子で手元のアイスコーヒーの氷をストローでかき混ぜている。カラカラと氷同士のぶつかる音が静かな店内に響く。グラスの表面についた水滴をコースターが音もなく吸いとっていった。
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    りま!

    DOODLE雨竜くんが一度行った3人での食事会を経て、宗戴のその後を見守る話
    お出掛け編は雨竜目線。続きます。
    ※8/9ちょっと内容修正して再アップしました

    ↓軽い設定
    •宗雲
    やんわり戴天が好き。深い仲に戻れれば良いと思っている。

    •戴天
    宗雲のことは許していないと思っているが、それは高塔の者として許されないという固定観念から来ていることに気づいていない。

    •雨竜
    どちらのことも大好き
    兄達よ和解せよ①〜お出掛け編〜「兄さん、日曜日の予定なんですが……」
     スケジュールの擦り合わせが完了し、今日も暑そうですね、なんて雑談をしている折に雨竜が切り出した。目の前に座っている戴天は朝食を食べる手を止めてこちらを見る。今週の日曜日は戴天と雨竜、揃っての休日だ。雨竜が珍しく習い事が夕方からだということで前々から出掛けようという話をしていた。
    「どうしました?」
     なかなか続きを話し出さない雨竜を見つめ、戴天が静かに問いかける。
    「あの、その日なんですが……宗雲さんと出掛けたいんです」
     突如出てきた宗雲の名前に、戴天は危うくカトラリーを落としそうになったのか、ぎゅっと手に力が入ったのが見えた。
    「3人で行きたいところがありまして。朝はそこまで早くはならないので、いつも通り内線で……兄さん?」
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    MOURNING・嘔吐(体調不良)表現があります
    ・宗雲=叢雲の設定
    ・宗雲(叢雲)は高塔の一族でありながら高塔の隠された秘密を暴く側の派閥の生まれで、子供の頃から秘密を探っており、旧タワエンは探っていたのがバレて解散したという特殊設定(ですがあんまり関係ない)
    •戴天がヒスり、宗雲が少し暴力的かも
    •宗戴ですが糖度は低め
    欠けた月(前編) 広い屋敷の庭に面した縁側で、あなたは花の茎をパチンと花鋏で切り、花器に生ける。それを私はとても嬉しそうな顔をして見ている。できたぞ、と言って完成した作品はとても私の心を踊らせた。

    「ねぇ叢雲、もう一度お願いします」
    「戴天は本当に花を生けるのを見るのが好きだな。仕方ない、もう一度だけだぞ。ただし、」

     そう言ってあなたがこちらを見た瞬間、ゾクリと悪寒が走る。あどけない顔をしていたあなたが、立派な大人に見えた。まるでこちらを責め立てているような。

    「対価が必要だ。お前の隠していることを教えろ」

    「──ッ!」

     目が覚めるとそこは見慣れた自室で、戴天ははぁと短く息をつく。もう何度も何度も見た夢。幸せだったと同時に嘘で塗り固められたあの頃。全てが嘘だったとしても、優しさだけは確かにそこにあったと、今でもそれだけを大事に抱えている。
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