神の力砂漠の処刑場屋上、鏡の間。
広間の中央に鎮座した巨大な黒い岩石のような壁に純白の頑丈な鎖と手枷が取り付けられた処刑台。そこに両手をそれぞれ左右に縛りつけられ、胸を開いた姿勢ではりつけられた我が身。
眼前には6人の賢者と、うるわしい装飾が施された、白く輝きを放つ細身の大剣。
鎧を着たまま拘束されていることに、それを物ともしないのであろう摩訶不思議な剣の殺傷能力を察し身震いする。
これからこの剣が、この胸に。きわめて鮮明な意識の中、抵抗する手段の一切を奪われたまま死に至る苦痛を一方的に加えられることに、どうして恐怖を抱かずにいられるだろうか。賢者たちに怨嗟の眼差しを向けながら、あまりに的確に想像される惨事への畏れを悟られぬよう噛み殺す。
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