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    からうみ

    @aoikmsrisr

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    からうみ

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    リクエストの某探偵漫画とふんわりクロスオーバーハデ始です!!!某探偵漫画は詳しくないのでかなり勘で書いてますご了承ください!!!

    #ハデ始
    beginningOfTheDecade

    数奇な邂逅劇「嬴政、頼みがあるのだが」
    「褞?珍しいな、なんだ」
    「現世で神の力を使って好き勝手している神崩れがいる。現世へ視察ついでに余が処罰する予定なのだが、弱いくせに少々厄介な奴でな。接触するのに人手がいるのだ。付き合ってほしい」
    「好!なんと面白そうだな!良かろう、朕直々に手伝ってやること光栄に思うがいい!」
    「助かる。では早速だが今から行ってほしい所がいくつかある。アルヴィトに説明してあるからついて行け」
    「む?お転婆娘と?」
    「ごめんね嬴政、ハデス様には逆らえないの。さあ行くわよ!アンタを世界一美しい女にしてやるわ!!」
    「…は?女?待て、どういうことだハデス?」
    「余も準備があるのでもう行く。期待しているぞ嬴政」
    「は!?」

    そんなやり取りが行われたのが数時間前。

    現在、天界のとある高級ブティックの一室。VIPのみが使える広々とした部屋で、始皇帝は美しく繊細な化粧を施されたまま顰めっ面をしていた。その目を覆う布は今はない。
    「不好」
    「美しいぞ嬴政、他に見せるのが惜しいくらいだ」
    「当然だ、だが全く嬉しくない」
    「拗ねた顔も可愛らしい」
    「不好!」
    始皇帝はすっかり拗ねた様子でプイッと顔を逸らした始皇帝に、これまた普段と違う最高級品質のフォーマルなスーツを身に纏ったハデスは機嫌良く笑ってその肩を抱き寄せる。鍛えられた筋肉で固いはずのそれは普段より数段柔らかく華奢だった。
    「今のうちに行っておくが、女の身体は男と違い脆く繊細だ。無理はするな」
    「そんなこととうの昔から知っておる!」
    「そんな身でいつものように振る舞うなということだ」
    現在ベルゼブブ特製の薬を飲んで女になっている始皇帝は、その身を頭のてっぺんから爪先まで美しく飾られていた。
    女体になるに伴って腰まで伸びた髪は濡羽色の輝きを帯び、丁寧に編まれて一つにまとめ上げられ、真紅や濃碧の宝石がふんだんに散りばめられた上品な飾りが嫌らしくなく主張する。ピアスやネックレス、ブレスレットなどのアクセサリーにも最高級品質と分かる宝石がふんだんに使われているが、どれもこれも始皇帝の魅力を最大限引き立てるために洗練された意匠で、飾り一つとってもうっとりするほど美しい。
    大き過ぎず整った胸と滑らかなくびれ、形の良いヒップライン。それを最も美しく魅せるマーメイドラインのドレスは片方に大きくスリットが入っていて、夜空に満面の星々が輝いているようなドレス生地の隙間から白く滑らかな脚がちらちらと見え隠れする様は実に扇情的である。
    ドレスとセットであろう艶やかな星空色のピンヒールに慣れずぐらつく身体を、ハデスはそれとなく支えた。
    「何、目的が済めば直ぐに帰る。今夜は休んで、明日は現世の観光でもしよう。其方の行きたがっていた場所が近いのだ」
    「…朕が満足するまで連れ回すからな」
    「喜んで付き合おう」
    少し目を瞑れ、と言われるがまま目を閉じると、ふわっ、と足元が消える浮遊感。思わずハデスの服を掴むと、安心させるかのようにそっと手を重ねられた。触れ慣れたはずの手はいつもよりずっと大きく固く感じられた。

    「開けてよい」
    ぱち、と目を開けると、さっきまでいた天界のブティックから一転していた。
    室内にいたはずが外に立っていて、目の前には見たこともない現代の車。黒い光沢を放ち、随分と長くて大きい。時刻は夜のようだが、周りの驚くほど高い建物がキラキラと輝いていて暗い印象は全くない。少し離れたところには夜にも関わらず人々が大勢出歩いていた。
    「色々な意味で目がチカチカするな…これは、目隠しがないと落ち着かぬ…」
    「ならコレを着けておけ」
    「ん?」
    手渡されたのはサングラス。
    「完全な目隠しほどではないが大体の光や感情は遮るはずだ」
    「…好!これはいいな!謝謝!」
    「そうか、では行くぞ」
    サングラスにはしゃぐ始皇帝を促し二人とも車に乗り込んだ。ゆっくりと走り出す車の窓から流れていく光景を始皇帝は興味深そうに見つめる。
    「ここはどこの国だ?」
    「日本だ。もう一度確認するが、今夜上流階級の人間が集う大規模なパーティーがある。そこに例の神崩れが紛れ込んでいるから見つけ次第潰す」
    「上流階級とは貴族か?現代に身分制度はないと聞いていたが」
    「明確な区切りはないが経済格差というものはある。貴族に近いのは今で言う財閥だな。今回は鈴木財閥という日本屈指の大財閥が主催するパーティーだ、何かしでかすには絶好の機会だろう」
    「ほう。それで、朕に何をせよと?」
    「会場に入るには同伴必須。入る条件さえ満たせばよい、その後は好きにせよ。ただしあまり余から離れるな、問題を起こすな、物を破壊するな、特に絶対に壁を壊すな」
    「其方は朕をなんだと思っておるのだ」
    「方向音痴の破壊魔」
    「不敬であるぞ!」

    頬を膨らませる始皇帝に、冥王は彫刻のように美しい顔に愉快そうに笑みを咲かせた。
    時折程よく無駄話に花を咲かせ緊張を解しつつ偽造した身元の打ち合わせなどをしているうちに辿り着いた会場。首が痛くなるほどの高層ビルに呆気に取られる始皇帝の肩を抱いて、ハデスは慣れたように会場へ入った。
    入った会場は、これまた驚くほど煌びやかでどこもかしこも眩しい。フォーマルなドレスやスーツに身を包んだ人間がざわざわとひしめいている。
    「宴は慣れているが、やはり現代だと勝手が違うな…」
    「無理するでないぞ」
    「分かっておるわ」
    まだ若干落ち着かない様子の始皇帝の傍でハデスは視線だけで周囲を見渡した。
    「…予想外に数が多い」
    「子どももちらほら見えるな」
    余談であるが、爪の先から髪一本に至るまで文字通り人間離れした極上の美男であるハデスと、生来の素材の良さに加え天界でプロ達に磨き上げられた美女である始皇帝の二人の仲睦まじい姿は会場に入った瞬間から静かに非常に目立っていた。老若男女共に二人へ熱い視線を向けていたが、ハデスの氷のように冷たい一瞥で一人残らず散っていった。ただの牽制である。
    「…む、前の方でなにやら展示物があるようだぞ」
    前の方に人だかりがある。周囲の人間達の囁きからして、どうやら今回のパーティーで主催者と仲の良い人物数人がとっておきの宝石がいくつか展示しているらしい。
    「…………なるほど」
    ハデスが低く呟き、眉を顰めた。始皇帝が不思議そうに見上げると、声を潜めて耳元で囁く。
    「例の神崩れはとにかく隠れるのが上手い。余の目を欺くほどだ、何かあるとは思ったが…今理由が分かった。アレだ」
    ハデスの視線の先を辿ると、特に目立つ場所に展示されている宝石が目に入った。
    アンティーククッションカットの、手のひらほどもある大粒のエメラルドのブローチ。小粒のダイヤモンドなどの宝石も散りばめられ、中央に鎮座するエメラルドを引き立てる為に綿密に計算され尽くしたその意匠はそれはもう見事なもので、息を呑むほど美しかった。大勢の人々がそれに釘付けになっている。ほう、と始皇帝の口から関心したような吐息が漏れた。
    「あの翠玉か?」
    「ただのエメラルドではない。サングラスを外して見てみろ」
    言われるがままサングラスを外しブローチを見る。
    途端に視界に飛び込んできた新たな情報に、始皇帝は目を見開いた。
    「…!?あれは、どういうことだ…?」

    ───なぜ宝石に星が見える?

    「あれは呪具の一種だ。生命エネルギーを分け与えることで石の所有者となり、『最も求める物』が周囲の者から流れ込んでくるようになる。厄介なのは、その流出先を悟られぬよう所有者ごとあらゆる目から隠れる性質があるのだ。故に、所有者の気配や神気なども感知できぬようになる」
    「生命エネルギー…」
    「生命エネルギーを分け与えられるとは簡易的に命を得る事と同じ。エネルギーが尽きぬ限りあの宝石は所有者の一部として生きているようなもの」
    「なるほど、だから星が見えるのか。…しかし妙に禍々しいというか、赤黒くドロドロしているというか…普通の星と違うな」
    「アレは生命エネルギーを受け取る度に所有者の魂を少しずつ蝕む。気が歪んでもおかしくはない」
    「…ならばアレの所有者はアレと似たような星をしているのか?」
    「おそらくな」
    「では怪しい者がいれば直接視て確認しよう。常に見ているのは、すまないが人が多過ぎて見つける前に目がつらい」
    「すまない、無理のない範囲で頼む。…アレも人の手には余る、回収しなければ…」
    近かった顔を離し、はぁ、と小さくため息が溢すハデスに始皇帝はくすくすと笑った。
    「見つけたら捕まえた方がいいか?」
    「やめろ、あれが何をしでかすか分からん。すぐに余に伝えろ」
    「行!では朕は色々見て回るとするか」
    途端、ハデスの目が胡乱げに細められる。
    「…遠くには行くなよ。特に会場の外には絶対に出るな」
    「分かっておるわ、しつこいぞ」
    「何度言っても安心出来ぬのだ其方は」
    「不好!」



    ────



    「ふーむ、ここはどこだ?」
    この場にハデスが居たならばそれ見たことか、と頭を抱えているだろうが、あいにく現在かの神は会場で情報収集をしている為いない。いや、始皇帝がいなくなったことにはとうに気づいているので内心で頭を抱えていることに変わりない。
    始皇帝は神崩れ探しも兼ねて会場をうろちょろしていたのだが、予想以上の人の数と向けられる視線からほんの少し逃れたくて廊下に出ただけなのだ。
    案の定色々気を取られて見て回っているうちに迷ってしまったのだが。

    「……これは、離れて正解だったやもしれんな」
    息を潜めて身を隠した始皇帝はぽつりと呟きた。ようやく見覚えのある廊下を見つけたと思えば、離れた所にある扉から漏れる声が騒がしい。悲鳴に近いものも聞こえる。十中八九、何かが起きた。何より怪しい雰囲気の人間をちらほら見かける。見つかると不味い、と経験上一瞬で察した始皇帝は物や廊下の影に隠れながらどこか身を潜める場所を探して移動していた。
    「ハデスの奴は大丈夫だろうからいいとして、どうしたものか…ん?」
    ふと、始皇帝の視界の隅で小さな影が動いた。影を中心に捉えた始皇帝はしばらくそれを観察する。
    そこにいたのは十にも満たないだろう少年だった。キョロキョロと周囲を見渡して、小柄を生かし上手いこと隠れながら移動している。子どもにしては妙に慣れたような俊敏な動きだった。
    その背後に近付く、一つの大きな黒い影。
    始皇帝は気配を消してそれに近づき、鮮やかな手つきで一瞬で意識を刈り取った。
    「な、ぐぁっっ!!」
    「っ!!」
    潰れた悲鳴に勢いよく振り向いたのは、眼鏡をかけた子ども。
    「っな…!?だ、誰…!?」
    「其方こそ、こんなところで何をしている?この階にいるということはパーティーの参加者か?」
    「あ、う、うん!ええっと…もしかしてお姉さんも?あ、今は会場に戻らない方がいいよ!危ない大人がたくさんいるんだ…!」
    「確かに妙に物騒な連中が彷徨いておるな。其方、見たところただ逃げているのではないな。何か探しているのか?」
    「え?えっと…まあ…」
    少年は答えながらも足元に転がった黒服の男と始皇帝をちらちらと見比べる。始皇帝が何者か疑問に思っているのは明らかだが、始皇帝は無視して話を進めた。
    見たところ普通の少年ではない。この騒動を収めるために幼い身で動いているのだろう。ならば始皇帝に見捨てるという選択肢はなかった。
    「この場をどうにかするのに必要な探し物ならば、朕が直々に手を貸してやろう!一人で行動してまた襲われれば詮あるまい」
    「え!?」
    「なんだ、この朕が信じられぬか?朕とて会場に知り合いがいるのだ、何かあっては堪らん。早々になんとかしたい」
    『まあハデスをどうこうできる人間がいるわけないのだが、さっさと帰って明日に備えたい』
    始皇帝の本音は別にあるのだが、気づくわけもない少年は悩ましげに俯いた。
    「い、いやその………うん…じゃあ、お願いしてもいい?」
    「好!」
    少年は数秒迷って考え込み、覚悟を決めたように始皇帝を見上げた。
    「僕は江戸川コナン!お姉さんの名前は?」

    始皇帝はにこりと笑った。サングラスがきらりとシャンデリアの光を反射する。

    「朕は、紅星。覚えておくが良い、少年」





    ──────



    『嬴政はいなくなったし妙な人間共が騒ぎを起こしたせいで嬴政も神崩れも探すのが余計面倒になったし宝石を回収する隙もますますなくなって…頭が痛い…』

    一方、パニックになっている会場で一人頭を抱えるハデス。次々と湧く面倒ごとに辟易していた。
    その背後で金髪に浅黒い肌の男がハデスをじっと見つめて何やら話しかけてきそうな気配をしているのも、ハデスの胃を痛める原因である。
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    siroinari

    TRAININGポセこじポセ、ハデ始ハデ前提でこじと始がコイバナするくらい仲良し。
    大食らいな神様にビビる人類側の話を書こうとしたら別物になった。
    ちゃんと恋人してる三回戦組に対して身体の関係だけな七回戦組の始が危機感を覚えて突撃したら付き合ってなかった。佐々木視点?なのでハデ様は出ない。
    ハデ様が自己肯定感低かったらな話。左右は決めてないけどこの流れだと始ハデかな。
    我愛你カチャカチャと僅かに食器の触れ合う音がする。
    優雅な気品に溢れるそれは当神の見た目も相まって一枚の絵画のようだ。伏せ気味の瞼を彩る長いまつ毛が目元に影を落とし、より神秘的な雰囲気を纏わせている。美しい所作でフォークを操り、小さく開かれた口に食物を運ぶ姿は完成されていた。じっと注がれる視線に、青い宝石が訝しげに細められる。
    「なんだ」
    「えっあ、いや〜綺麗だなと思ってな」
    慌てて取り繕って自分の食事を再開するも、ガチャガチャと耳障りな音を立ててしまい縮こまる。個室なので他の客の姿はないが、店の者の眼はある。こんな格式高い場所は初めてでマナーもわからない。恥をかかせやしないかとひやひやする。
    「余が連れてきたのだ。公の場でもあるまいし、好きに食せば良い」
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