拘束されたC E O カビ臭い。目を覚ます前に、意識の中に入ってきたのは顔を顰める類の不快な臭いだった。
(朝……?いや、まだ暗いな)
目を開けてもまだ薄暗い室内に、まだ夜だと判断する。目覚めと同時に、特に意識をしなくても身体はいつもの通りに動こうとする。こんな時、グエルはいつも思う。まるでプログラムされているA Iのようだと。
たぶん真夜中であるはずの時間を確認するために、ベッドサイドにある端末へ手を伸ばそうとした。だが、グエルの動きはガチッという音と共に阻まれる。
「あ……?」
まだ半分寝ぼけたまま、グエルはもう一度右手を動かそうとした。だが、やはりガチリと硬い音が鳴って動きは制限されてしまう。そうなってやっとグエルは両手が思うように動かないことに気づいた。
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