ホワイトデーな萌目「ホワイトデーだよ目金君」
「『お返しは僕で』の類は結構ですからね」
「ねえ目金君の中の僕って一体どういうやつなの?」
「エロ同人のテンプレを一通り試してみたい人」
「……否定、出来ないね」
「その渋い顔は、今回はそのつもりでは無かったようですね」
「当たり前だよ!いくらこの僕といえど、相手へのお返しをする記念日に自己中心的な行動はとらないさ!」
「うっ、それは……失礼しました」
「けど、目金君が乗り気になってくれるなら来年はその方向でいってみようかなー?ねえ目金君、僕って何色のリボンが似合うと思う?」
「知りません」
「わあ、冷たいツッコミ。僕だって泣くんだからね?……さて、冗談はこれくらいにして。はい、ハッピーホワイトデー」
「有り難うございます。これは、洋菓子の詰め合わせですか」
「そうだよ。中身はマカロンにキャンディー、マドレーヌ、キャラメルにカットバウムさ。沢山入っているけど日持ちするものが多いからゆっくり食べてね」
「……あの、萌先生。これって」
「おや、気が付いたかい?キャンディーが特に有名だと思うけど、他のものも知っているのかな?」
「……全て、相手への好意を表すものですよね。キャンディーは『あなたの事が好き』、マカロンは『特別な存在』、キャラメルは『一緒にいると安心する』、マドレーヌは『特別な関係を築きたい』、バウムクーヘンは、幸せが__」
「『幸せがずっと続く様に』。さっすが目金君!全問正解、パーフェクト!」
「随分とキザな事を。よくこんなに意味の込められたお菓子を集めましたね」
「アハハ、やりすぎだったかい?けど、別に意味なんて伝わらなくても良かったんだよ」
「というと?」
「どうせ渡すなら自分の気持ちを込めたかっただけでその思いなんて知られなくても構わない、ただ僕がそうしたかっただけなんだ。だから、お菓子に込めた想いを全部理解して貰えて、僕としては想定外の嬉しさだね」
「っ!……。本っっっ当にキザですね。普段は隙あらばえっちなお誘いをしてくる癖に、何でこう言う時に限って……」
「あ、それと何だけど」
「まだあるのですか!?」
「色々調べていたら全部買いたくなっちゃってね。お花も用意してきたんだけど、受け取ってくれるかい?」
「まあ、くれると言うのならいただきますが。……これは、スイートピーですか。てっきりバラの花束でも用意しているのかと」
「初めはそう考えていたんだけど、少し直球すぎるかなと思ってこれにしてみたんだ」
「バラはこの手の贈り物としては定番中の定番ですからねえ。ピンクに白、紫とカラフルな花束ですけど、これにも何か意味が?」
「うん。花言葉を重視して選んでみたんだ。目金君、スイートピーの花言葉は知っているかい?」
「確か、門出や別離……でしたっけ」
「それも正解だけど、その色に込められた花言葉はそうじゃ無いそうだよ」
「色?」
「ああ。バラの花言葉が色毎に違うのは有名な話だけど、スイートピーもそうらしくてね。ピンクは『恋の楽しみ』、白は『ほのかな喜び』、紫は『永遠の喜び』なんだって。スイートピーってこんなにも色んな花言葉がある花だったんだね。僕も調べてみて初めて知ったよ」
「……あの、萌先生」
「何だい目金君」
「僕もうお腹いっぱいです……」
「え、えっ!?どういうこと……っあ、重い?!重かった!?ごめんね!」
「いえ、重くは無いですが……あの、もう静かにしててください……」
「重くないならその反応は何なのさー!教えてよ目金君ー!」
[贈り物に想いを沢山詰め込む萌先生と想われ過ぎててキャパオーバーになっちゃった目金君の話]