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    kaerukikuti

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    ショク家族

    #SDガンダム
    sdGundam

    雑記子供が居る家庭は、子供を中心にして回る。
    当たり前のことながら、少し前には自身が最年少であった諸葛亮にとって、実感を得たのは悟空を育て始めてからだ。
    幸い、一緒に子育てをこなす、悟空を中心として家族のような距離感となった劉備の存在は大きい。張角先生のそばを離れて後は基本的に一人で居た諸葛亮が突然の三人暮らしに何とか適応できたのは、彼の悪く言えば大雑把、よく言えば...おそらく良く言うほうが適切であろう彼のおおらかさのおかげである。
    今日も毎日の大仕事である悟空のお風呂と寝かしつけを、二人の連係プレーでなんとかこなし、貴重な大人だけの時間である寝る前の一杯の時間にまでこぎ着けた。
    明日もお互い仕事の平日なので、一杯もお茶なのだが、冷え込みが厳しい正月明けの二月、ゆっくり飲める熱い茶は格別である。
    「そう言えば劉備、二月と言えばバレンタインデーがあるじゃない。ショク・エリアではどういう感じ?」
    ショク・エリアに研究所を構えているとはいえ、ほぼギ・エリアと接しているような北側、しかも山中の研究所である。修正パッチの研究中も用事があればラクヨウに出向くほうが早いくらいの立地で、もちろんこうやってショクの町中で過ごすのも、悟空の件があってからだ。つまり、幼い悟空が四季や各種イベントを初体験しているように、ラクヨウ暮らしが長かった諸葛亮にとっても、ショクでのイベントはほとんどが初体験であり、大変物珍しい。
    「バレンタイン? ああ、あのチョコ貰うやつな!」
    「あ、一応、チョコなんだ」
    「他所のワールド由来のイベントだっけ? 近所のおばちゃんたちが、みんなで食べろって、大袋の入ったチョコくれるぜ。今年は悟空も居るから、いつもより一杯貰いそうだなー」
    悟空が一気に食べないよう、隠しておかないとなぁ…なんてのんびり言う劉備に、諸葛亮は首をかしげた。
    「女の子からは?」
    「女の子?」
    うーんと考えて、あっと劉備は声をあげた。
    「まんじゅう屋のお姉さんから、おまけで貰ったことならあるけど?」
    「ああ」
    まんじゅう屋のお姉さん、よく知ってる。三人の男児を育てる育児の大先輩で、よく悟空お下がりを貰っている。いつも蒸かしたての包子も、羊肉入り、胡麻餡入り、どちらもとても美味しく、悟空も大好きだ。
    でも、とりあえず、『女の子』ではないなあ…と諸葛亮は思ったが、口には出さずにおいた。
    とりあえず、劉備は、彼に恋心を抱く女の子からチョコレートを貰った経験はないのだけはよく理解できた。男同士で互いの見た目に関して何を言うことも無いが、客観的に見て、劉備はそう悪い見た目ではないと思う。ドラゴンズ・ウォッチのリーダーとして信頼も厚い。
    それがよりにもよって、この若さで子供を育てることになった。彼自身の実子でないのは周辺皆承知ではあるが、たぶん、しばらくは、ご近所の奥さん方かまんじゅう屋のお姉さんから以外にバレンタインデーにチョコを貰うことは無いだろう劉備を思うと、わずかながら憐れみを感じる。諸葛亮自身に関しては、イベントは美味しい物を自分でチョイスして食べる以外に価値を見出さないタイプなので構わないが、劉備は基本的に常識的で一般的な感性の男だ。

    ──せめて、女の子からではないけど、ちょっといい感じのチョコレートくらい食べさせたいな。

    ショク・エリアは暮らしやすく自然豊かな土地柄ながら、いかんせん幾分田舎である。食材はどれもラクヨウよりずっと美味いが、凝った異国風の菓子類となるとあまり選択肢がない。
    悟空の食育も兼ねて、来週仕事でラクヨウ・エリアに出かけたので、色々と買ってこようと決めた。
    何なら、なにかと悟空の件で世話になりっぱなしの黄忠や馬超や、それからご近所の奥さん方にもちょっとしたお土産を渡すのも良いかもしれない。
    「諸葛亮、お茶もう一杯飲むか?」
    「うん、貰うよ」
    「なんか甘いもん食いたくなったな~。あ、ちょうどいいや、チョコある」
    引き出しの奥から引っ張り出してきた大袋入りのチョコ菓子を口に運ぶ劉備を見ながら、とりあえず美味しければ好みは煩くないだろうな…と一度も好き嫌いをしたことが無い劉備の食嗜好を考慮しつつ、諸葛亮は手を出した。
    「僕にもチョコ頂戴」

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