花を見るトウフ国の王は女王バチと言われているらしい。
カメリアは遠くから見た限りだったが黒ずくめの女だった。威厳がある。
あの人は怖いです、とこっそり言ったらラクレス・ハスティーは安心させるように笑ってくれた。
「お久しぶりです」
「カグラギ様」
「お元気そうで」
このところ、トウフ国とシュゴッダムはよく話し合っている。直接だ。カグラギが来たということは女王も来ているのだろうとなる。彼は次期国王だ。
将来的にカメリアはラクレスかその弟の補佐をしろとは言われていて今から社交場にも出されている。
「元気です。カグラギ様もお元気そうで何よりです」
コーカサスカブト城の庭にて二人は会う。ゴッドハチが空を飛んできていた。
――ギラ様に見せたいですね。
今日もギラは引きこもりだ。ギラ様の代わりに出るんだよとは父親にも言われている。
「この庭は緑がありますな。シュゴッダムは緑がないとは聞いておりますが」
「少ない、とは。工業国ですので。トウフには自然が溢れていると」
「今の時期は藤が見ごろで。貴方にも見せたいですな。害でもありますが」
「……紫色のお花、でしたか」
「そうです」
カグラギとの話は嫌いではない。他国の話を聞くのは好きだ。カメリアは本を読むようにはしているけれども実際に見るのとは違うことはよく知っている。
藤については父親が話していたので知っている。
「トウフ国や他国には一度行ってみたくて」
「来るとしたら、是非」
「二人とも、お茶にしよう。今日はトウフの緑茶だ」
話しているとラクレスが呼びに来た。
「緑茶も好きです。ラクレス様」
シュゴッダムは殆ど紅茶を飲む。
菓子も出る。今日は食べてきているがラクレスはとにかく自分に食べさせてくれる。
「藤の花を、今度来るときは持ってきましょう」
「楽しみです」
藤の花はシュゴッダムにはない。どんな花だろうとなる。ゴッドハチに見送られ彼等は庭を後にした。