めし屋きつね 馬鈴薯1献上品として様々な品が信長様の元に届くのは今に始まったことではないが、天下が目前となればより山のように積まれるのは必然である。
金銀に名刀に絹に錦、漆器に螺鈿、山海の珍味。
名馬に鷹に、美女、各種職人は信長様の好むところだ。特に職人は、美女よりも喜んで、働きが良ければ惜しみなく褒美を与える。場合によっては進物の美女を添わせて一家を与えたりもする。そこまで厚遇されれば、職人とて信長様の元に骨を埋める覚悟もするというものだ。
案外進物の美女も、贅沢三昧は出来ないが真面目で一筋な夫と暮らすのは悪くないと落ち着く場合が多く、こちらはちょくちょく信長様の奥の方が様子を伺い労るからこそ、とも言える。
とにかく信長様は、進物をしまい込むより運用するのをよしとする御方であった。
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