とろけ顔「は、ぁ…………」
突然熱くなってしまった身体を冷まそうと息を整えるものの、浅い呼吸になるだけで、ちっとも酸素が巡らない。滲んだ視界はくらくらと揺れて、事態の異常性を告げて来る。
「うぁ……は、ぁ……っ!」
脚に力が入らなくなって、壁に寄りかかった。飲み込めなかった唾液が口の端から溢れ、首元まで伝って来て、酷く気持ちが悪い。なんだ、これ。こんなん、今までねえぞ。
「…………! どうかしましたか!?」
「は、ぁ、ぅ、なんっ、でも、ね…………」
こちらに気付いた下僕が走って来る音が、やけに響く。
「ひ、ぁ! さわ、ん、な、ああぁ!」
俯いた状態だったからか、伸ばされた手への反応が遅れた。冷たい指に触れられた肩が余計に熱くなって、ちりちりと疼く。払い除けるために上げた手をぎゅっと掴まれた瞬間、全身が大きく震えた。