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    nana777_123

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    あくのひでおとプロデューサー

    P握なのか握Pなのか、Pが男性なのか女性なのかは見る方にお任せします
    (どちらでも良いように書いたつもりです)

    ##握野英雄
    ##SideM

    願いをひとつ、溶かしたなら「お、おはよう!」
    ああ、まただ。
    折角練習したのに、どうにもその顔を見た瞬間に、上手く笑えなくなる。
    「おはようございます」
    対する相手は、見る者全ての目を奪ってしまうほどの笑みを、作ったものではなく、自然に浮かべるものだから。自分がアイドルであることに、少し自信を無くしそうになってしまうというのに。

    「はあ……」
    プロデューサーに、もっと笑顔で挨拶を、と言われてからというものの、毎日こんな調子だ。
    無意識の内に出てしまった溜め息を残して、会議室へと向かう。今日の予定は、FRAMEでのミーティングと、レッスン。朝の挨拶というのは重要だが、それ故、上手く出来なければ、一日のやる気も下がってしまうというもの。明日はちゃんと笑わねばと心に決め、気持ちを改める。



    「英雄さん」
    「……プロデューサー」
    「あの……私が以前言ったことを気にされてるん……ですよね?」
    「いや、そんな訳じゃ……」
    ぎこちなく振り返って、頬を掻く。
    心配させたくはなかったのだが、これで仕事に支障をきたす訳にも行かない。
    「英雄さんは、自然な笑顔が一番素敵なので言ってしまったんですけど……余計なこと言っちゃいましたかね…………」
    「その自然な笑顔が難しいんだよな……」
    笑おうとすればするほど、怖がられてしまうと、わかってはいる。だが、わかっているのと、実践出来るかどうかは、また別だ。

    「なあ、プロデューサー。笑って、くれないか?」
    「……こう、ですか?」
    「っ」
    恥ずかしそうにはにかみながら、こちらを見上げて来るプロデューサーを見て、変なお願いをしてしまったものだと、今更ながら気付いた。この人の笑顔なら参考になるかも知れないと思ったのだが、何だかいけない気持ちになって、恥ずかしさが伝染する。
    「あの…………英雄さん?」
    耐えられなくなったのか、プロデューサーが俺の名を呼ぶ。だが、今、それは駄目だ。そんな顔で名前を呼ばれたら、誰だって、勘違いをしてしまうから。

    「……悪い、なんでもない」
    急速に頬が熱を帯びて行くのを感じる。見られないようにと背を向けて、今度こそ会議室のドアを開けた。幸い、中にはまだ誰も居ない。

    「あんな、顔……誰にでも見せてる訳じゃないよな…………!?」
    いや、プロデューサーのことだ。無自覚にやっているのだろう。そうでなければ困る。そうでなければ、プロデューサーにとって、俺は『特別』になってしまう。もし、そうだったら、なんてのは、妄想の中だけで良い。
    「叶わない恋、か……」
    ドアに凭れかかって、鼓動をはやめる心臓を押さえつつ、深い呼吸を繰り返す。口にした言葉は空気に溶けて、何事も無かったかのように、空調の効いていない室内を包んで行った。
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