『涙のワケ』 今日はバレンタインデーです。仕事を定時で終わらせたラーハルトくんは、手提げ付きの白い箱を提げて家に帰りました。
ラーハルトくんが家の扉の前までくると、何やら扉の向こうから泣き声が聞こえます。
慌てて鍵を開けて中に入ると、ちびっこヒュンケルくんとエイミちゃんが、ワンワン泣いているではありませんか。
一体何があったのかと、ラーハルトくんが尋ねると、二人はこう言いました。
「ラーハルトのために二人でクッキーを焼いたんだけど、味見をしたらあまりに美味しくて、二人で全部食べちゃったーーー!!!ウワーン!!!」
「ラーハルトに食べてもらう分がなくなっちゃったーーー!!!ウワーン!!!!」
それを聞いたラーハルトくんは、「何だそんなことか」と安心してため息を一つつくと、二人の頭を撫でながらこう言いました。
「そんなに美味かったのか、良かったな。食べ始めたら止まらないほど美味いクッキーのレシピをオレも知りたい。教えてくれ。次の休みに三人で作ろう」
そう言うと、ラーハルトくんは白い箱からチョコレートケーキを取り出し、三人で仲良く食べたのでした。
おしまい。