そのひとかけらを、 美しかったミルクパズルの世界が、崩れていく。
きっかけは些細な出来事だった。いや、些細だと思っていただけで。
綻びを見つけるのがもっと早ければ、この狂いに気付けていたら、そんなたらればを言い出せばいくらでも沸いてしまう。
もっと崩れ出す前に、まだ足場のあるうちに露見したことに感謝こそすれど、どうしてこんな俺に情状酌量の余地があるのだろう。
えぼしを前に、喉まででかかる言葉はある。ただこれを吐き出すわけにはいかない。
考えろ、考えろ。それだけの時間をもらったのだから。
可能性を掴み取らなければ、まだなにもできていないんだ。
やりたいことなんて涌き出てくる。どうして、こんなことに気付けなかったのか、と。
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