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    thief_cgf

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    日常/雰囲気すどえぼSS(須藤視点)
    心象描写ほぼなし、とある一日の出来事。
    丁度深沢の眠りが深い時期の話(契約アルバイターナギ君が居ます)

    日常というものは、 カフェの近くにあるアパートの一室で目を覚ます。自宅はどうにも遠くて稀にしか訪れられないから、近頃はここかカフェで寝入ることが多くなってきた自覚はある。自宅に帰る算段も視野に入れないとな、ハウジングは終わらないけど折角のマイホームなわけで。
     寝ぼけ眼を擦りながらクローゼットを開けて、近頃着替えのバリエーションが多くなったそこから冬服兼カフェ制服用に揃えた一式を取り出した。
     上下を灰と黒で包まれた服装に店の色として選んだ緑色のネクタイをしっかりと締めて、出掛けにハットを被りサングラスを掛ければ「カフェ店長・須藤冬馬」の出来上がりだ。
     『出勤!』
      『おはよ』
     閑静な街路に降り立って、傍にあるカフェへラジカセを片手に向かうのがモーニングルーティンだ。通り抜けに見えるレギオンスクエアにも寄り道しないとならない。
     いくつかあるミュージックのなかで、お気に入りの曲を店内全体へ会話の邪魔にならない程度の音量に調整して流す。開店のお知らせを投げ掛けて大抵最初に来るのは、大方決まっている。
    「おはよー須藤ー」
    「よく来たな近藤!」
     駐車場まで走らせてくる車種で分かる。猫カフェ店長の近藤武蔵とは、説明は省くがロスサントスでは旧知の親友のようなものだ。
     会話内容はレースのことだったり、飲食店業界絡みや近藤自身の悩み事を聞く等様々だ。時折りおんさんも一緒で訪問販売という名目をうつが、飲食店が他店に営業へ訪れるのは若干の疑問符が浮かぶけれど些末なことだろう、脇に置いておく。
     『コーヒー売ってくれない?』
      『オッケー!』
     忙しない時は客が入れ替わり立ち替わりやってくるけれど、正直ピークタイム前は常連の住民がやってくる程度だ。客足が途絶えてしまえば、のんびりと思考整理をしつつ材料の在庫チェックと、給与計算の時間に充てることで時間なんてあっという間に過ぎていく。
     徐に、無線を取り出していつもの数字にあわせる。トトン、と数度無線のボタンを叩いて、ポケットにしまった。
     23時40分。初回レースの開始時間として最早見慣れてしまった定刻までに、黄色のレーサー服に着替えてハンバーガーの被り物をする。声帯を締めて感情豊かなキャラクターとして喋る姿は決して須藤でもハンバーガーでもない、これはハンバーグ君だ。
     『メカニック! 車直して!!』
      『はいはーい』
     スタート脇に集まる車は様々だ。SMILEから始まりTAX I、登別のクマ、マグナム、シュナイダー、EAGLE P-chan、MOMOMI、無言君、poison、Mr.T、SHADOW、Decade、BabyFace、弟、メガチキン、バード。その他、稀に偽名を使わずに堂々とレース参加してくる市民も当然存在する。
     同一ランク帯の車たちが揃った写真も、スマホの埋もれた画像ファイルに何枚かあるくらい壮観で、一緒に走る好敵手と遭遇できたらそれだけでとても走るのが楽しみになってくる。
     『宜しく、ハンバーグ君』
      『んあー、ヨロシクね!!』
     参加者は日によってまちまちだけれど、手を抜くつもりは一切ないから毎度本意気で挑むのが礼儀だ。コンディションがどうであれいかにミスなく走り切るかが鍵でもあるから、コース取りと機体操作に集中力を高めて対向車の処理もしっかりする!
     ハンバーグ君はよく喋るので、喉の調子に気を付けながらもハイテンションで公道を駆け抜ける。これにも大分手慣れたものだけど近頃は大分ハンバーグ君に意識を持っていきかけられるから、一日ハンバーグ君になったもんならどうなってしまうやらだ。
     『精密検査お願いします!』
      『オッケー、車屋ね』
     レース終わりには近くのガレージに寄って修理と燃料チェック。次のレース開始地点までの間に経由できたらとってもスムーズに動けて助かるけれど、無線を一瞥してからレースランクの確認に視線を落とす。このままなら直行だ。
     順当に完走できる日もあればうっかり大事故やらかす時もあって、最近はデイリーハンバーグ君を回避したい心でいる。レースの賞金が出るにしても修理費、燃料費、デイリーをやらかすと治療費と時間まで取られてしまうから尚更だ。
     粗方出たいレースをこなしたら終えるか、ライバルが居れば完走するか、別の用事を優先することもある。なんにしろ主だったものを片付けたら戻るのはカフェで、営業投げっぱなしにしたままも良くないからな。
    「店長戻りました!」
    「おかえりめぇ~!」
    「お疲れ様です、須藤さん」
     従業員が常駐してくれることはとてもありがたい。訪問販売にも自由に行ってくれて構わないし、ウールちゃんにもナギくんにも売り上げただけ給料が入る形式だからこそ、この二人が請求書を切っている回数を数えるのがこちらとしても楽しみの一種として眺めているところはある。
     『新メニューの試供品、どう?』
      『いいじゃん! 食べる食べる』
     新しい従業員も探さないといけないし、新メニューは次に何を追加しようか、コーヒーをコンビニに仕入れることも必要だし、命田さんと菓子谷くんにも卸す準備だけはしておかないといけないから、そこそこに忙しい。
     趣味としてはレースを開拓したいし、テニスが上手くなりたい、ハンバーグ君を探せの為の下準備で街探索は必須だし、他人のカスタム手伝ったり車種と見た目でオススメをすぐに弾き出すことも出来るようになったから、車は店のこともあるけど趣味としてもかなり面白い。
     連絡のチェックに時折WhatsAPPを開くことがある。リストの上の方に指を滑らせてから、スライドしてコンビニの仕入れ状況報告や、カフェの訪問販売報告を目に入れる。給与は定期的に振り込むから連絡が特になければ閉じるだけだ。
     頭をなんとなく回していながら、客として来る皆の話を耳に入れながら、そう過ごしていれば時間は勝手に過ぎていく。事件があれば雰囲気はざわつくし、平和なら本当に静かなカフェだったりもする。例え何もない日にギャングがやってきても、ただの客と店長として接するだけ。それが誰であっても。
    「俺そろそろ退勤するね、お疲れ様!」
     『俺もう寝るね、おやすみ』
      『ああ、おやすみ』
     ひらりと手を振ってカフェを出る。社用車をガレージに入れて締めの準備を終えたら、寝る間際のルーティンを片付けて近くのアパートにある自室へと戻る。サングラスとハットを取って、ずっと着けていた無線機のインカムを外し、眠りやすい軽装に着替えてベッドへと倒れ込んだ。
    (……明日は、)
     かくも日常というものは、欠くも進んでいくもので。
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