家と外とで、飲酒時の様子が違うらしい 悠仁の声と呼気は、俺のスウェットの腹部に吸い込まれていた。
「ちょ〜う〜そ〜〜」
繰り返される少し鼻にかかったその呼びかけに、毎度律儀に返事をする。
「なんだ?」
「んー。なんでもない。呼んだだけ」
悠仁は帰宅してからずっとこの調子だった。
俺がリビングのソファでくつろいでいたところへ膝枕を要求し、ひとしきり堪能した後、流れるように腰へ抱き着いていたのだった。
「いーいにおい」
悠仁は緩みきった顔でにへらと笑い、肺いっぱいに酸素を取り込むように深く呼吸をした。いつも以上に高い体温が俺の身体に纏わりつく。
見ての通りと言うべきか、今悠仁の口から吐き出される呼気は酒気を帯びていた。
夕方に連絡があったが、今日は任務終わりの術師同士で突発的な飲み会があったそうだ。悠仁はベロベロというふうに見える。時間も早いし、この様子だときっと二次会の前に帰されたのだろう。
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