仲直りの双子幼児文学と仲なおりの双子
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中原中也
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赤玉。
貝の火。
蛙のゴム靴。
風の又三郎。
蜘蛛となめくぢと狸。
あいうえお順で綺麗に並べられた本棚ならば、"春と修羅"という本はここのスペースにあるはずだ。
絵画も詩も小説も一緒に並べられているのは少し思うとこもあるが、今はそんな事どうでも良い。
尊敬する宮沢賢治先生の春と修羅を久しぶりに読みたくて、壁一面が本棚となっている無駄にデカい図書館の二階にまで来たのだ。
あってくれなきゃ骨折り損のくたびれもうけというものだ。
酒も飲めねぇ、つまみも食えねぇこんな退屈な場所はさっさとおさらばして、早く自室で酒を嗜みながら春と修羅を読み耽りたいものだ。
早く早くと急かす自分の心に、無意識に作品名を繰り返し口にしながら探す。
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