かくれんぼ 正義の味方に憧れた。
そうなりたいと思ったのは、手を引く小さな背中がとても大きく見えたから。
今日はとても大切な日になるから、いつも以上に気合を入れて服を選んだ。髪色に白のスーツがとても似合う。
君の好きなとこ。僕と揃いの髪の色。
初めての給料で買った靴は大切に磨き上げた。履き心地は変わらず良くて、足取りは弾むように軽い。影を踏みしめては笑ってる。まるで子どもに戻ったみたいだと歌い出す。
君の好きなとこ。僕より大きい手。
あの日の君は背が低くて華奢だった。それこそ、僕よりも。
でも、誰よりも格好良かった。だから憧れた。熱烈に惹かれていた。
君の好きなとこ。真っ直ぐに僕を見つめる綺麗な目。
入ってはいけないよ、と大人たちは言う。あの森の奥には行ってはいけないよ。まるでそれが貴方の為だとばかりに。
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