星明かり、銀の夜夜が落ちている。
そう思った。
「あの、大丈夫ですか?」
部活動を終え、中学校から帰宅した少年は、家の前に倒れている全身黒づくめの男に声を掛けた。
呼び掛けても返事はなく、恐る恐る揺さぶってみたが反応がない。
「とりあえず、救急車……」
鞄を探ってスマートフォンを取り出し、電話を掛けようとしたときだった。
倒れていた男が突然起き上がったかと思うと、襲いかかってきた。
「ひッ……!」
顔を掴まれ、恐怖で喉が引き攣る。
「誰か、ッ!?」
悲鳴をあげようとした唇に、男の唇が重なった。
* * * * *
マスターを殺したのは、召喚されてすぐだった。
その手に触媒となった遺物を見た瞬間、殺意が噴き上がった。
従おうとしない自分に対して主人である人間が絶対命令権を持つ令呪を行使してきたが、自らの宝具で以って抗い、全て令呪を消費させたあと手を下した。
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