踊り子亭にて 世界を旅していたダイとポップが、その鍵を拾ったのはほんの偶然だった。
「なんだこりゃ? ……『踊り子亭』?」
拾い上げたポップが、書いてある文字を読み上げる。その文字は硬質な透明の板に書き込まれていた。
「ねえ、鍵がついてるよ?」
ダイが指摘した通り、その板には1本の銀色の鍵がついていた。
「本当だ。……ん? 裏側にも文字が……なになに? 『ギルドメイン山脈……』こっから先は掠れてて読めねえな」
「住所かな?」
「かもな。でも大雑把すぎるだろ、これじゃ」
二人は困り顔で思案する。やがて、ダイが口を開いた。
「ねえ、その踊り子亭? ってとこにさ、届けに行こうよ」
「えっ!? おまえ、本気で言ってんのか?」
「うん。だって、もしかしたらすごく困ってるかもしれないじゃん。それに、どうせおれたち、急ぎの旅でもないんだからさ」
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