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    新島颯太

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    新島颯太

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    鈴生り

    聯合物事が動き出した日と同じ、気分がいい程空は晴れ晴れとしていた。そんな中、とある六人は事件を解決すべく白い洋風な室家に集まっていた。


    ギギ「よォ、お前らァ〜。今日はよォく集まってくれたなァ〜」

    ギギはいつもより明るい顔で、横長の机の前に腕を組み立っていた。その周りにはギギの弟であるビビ、クロ、えぱ、ワイド、そしてギギの上司であるオムニが集まっていた。


    えぱ「よく集まってくれたも何もテメェが無理矢理集めたンだろうがァ!!!!!!」


    えぱは口を開くと同時に目の前にある机を力一杯叩いた。えぱの隣に居たオムニは自分の仕事机を叩かれた事に一瞬顔を歪ませた。ギギは態度を変える事無く、笑顔を絶やさなかった。


    ギギ「でも俺が電話掛けた奴の中だったらえぱチャァンが1番乗り気だったぜェ〜?
    …それに俺はえぱチャァンの事1番信頼してるからなァ」

    えぱ「……………フーン……」

    ギギの真っ直ぐな言葉を聞くなり、ギャンギャンと騒いでいたえぱは恥ずかし気に顔を逸らし、満更でも無い顔をしていた。その漫才のような会話を聞いていた4人は呆れ混じりの溜息を着いていた。

    ワイド「ッふ笑チョロ〜〜」

    えぱ「ンだとォ!!?????!?!」

    えぱは二個右隣に居るワイドの胸倉をガッと掴んだ。そんなニ人を落ち着かせるようにギギは手をパンパンと鳴らし、自身に視線を向けた。

    ギギ「はァ〜いそこまでなァ〜。
    あンま時間の猶予は無ェんだァ。パッパと俺らの目的について説明すンぜェ〜。」

    ギギの大きな声に全員が反応し、一斉にギギの方へと視線を向けた。


    ギギ「改めてェ、今日は集まってくれてありがとなァ。お前らには感謝するぜ。お前らは良い戦力になるからなァ、勿論報酬も多めに出るから頑張って欲しいぜェ」

    ギギは笑顔を欠かさず淡々と話を進めていた。

    ギギ「……さてェ、早速目的について話てェところだがァ……」

    ギギ「前回俺らはダストと交戦した。そして俺らはダストに完敗し見事に大怪我を負っちまったァ。それぐらい命と隣り合わせって訳だァ。
    ……お前らに大事な恋人や友人、そして家族がいる事も分かってる。」



    ギギ「……それでもお前らは、俺に協力してくれるのかァ」


    ギギは五人の目を真剣に見詰めた。それと同時に、部屋は暫く静寂に包まれた。そんな中、えぱは一歩踏み出し大きな声で静寂を貫いた。


    えぱ「ッたりめェだろ!!!!何の為にしぇったんとの休日よりテメェ優先して今日ココに来てると思ってンだ!!!!!!!!それに俺も前回ダストにボコボコにされたンだよ!!!!!俺もアイツボコボコにしねェと気が済まねェんだよ!!!!!だから早く俺を連れてけよォ!!!!!!!!」

    えぱの言葉に続くように、夫々が喋り始めた。

    ビビ「……俺が前回無駄に捕まったせいで兄さん達が危ない目にあった。だからあのクソヤブ医者をぶち殺さないと気が済まない。……だから兄さんについて行くよ」

    クロ「まァ俺はこあの変わりって感じかァ〜〜!?!?!?!?!?でもまァ俺も前回あんま活躍出来なかったからなァ!!!!!しっかり飯も食ってきたし俺は準備万端だぜ!!!!!!!!」

    ワイド「まぁ俺はそのダストとやらに興味無いけど報酬はくれるんだよね〜?^^可愛い子抱けるのなら命だって賭けるからさ」


    オムニ「……勿論。……ここで引く意味が無い」


    皆はさっきの静寂とは程遠い位に、一斉に喋り出した。皆の言葉は、ギギを安心させるような、そして心強く頼もしい言葉でもあった。ギギは帽子を深く被り、若干目を潤わせた。そして皆の方へと視線を変え、暖かく微笑んだ。



    ギギ「……本当に、ありがとな」

    〜〜〜

    扉が四つ並んだ部屋から、朝早いのにも関わらず1人の少年が出てきた。その行動を怪しむかのように、後ろから3人の少年が壁からひょこっと顔を出した。1人目は眠そうに目を擦り不機嫌そうな表情をし、2人目はお腹が空いていたのか食パンを咥え、3人目は白い子猫を愛おしそうに愛でていた。


    レマ「…………ねっっっ……っみ…………」

    グリ「ふぇーふぇー!ふぉんほーにほほきあひゃはふぁひほへー!!?!?!?」

    グラ「…………食パン、一口ちょうだい……」

    グリ「ひひほー!!!!!!!!!!!!」

    グリは食パンを半分にちぎり、グラと半分こした。それを目の前にしたレマは、目を擦っている手を止め、あーっと大きな声を出した。

    レマ「あーーーっ!!!!オイ!!!最後の食パン2人だけで食うとかずりーぞ!!!!!!俺の分も置いとけよ!!!!!!!!!!」

    グリ「やだーーーー!!!!!!!もう食べちゃったもんねー!!!!!」

    レマ「俺の食パンんんんんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!!!!!」

    レマはグリの柔らかい頬をぎゅーっと抓り、早朝とは思えない程大きな声を出した。
    グラはじとっとした目で呆れるように、子猫を抱えたまま2人をなだめた。

    グラ「……ふたりとも。……そんな大きな声出しちゃったら折角早起きしたのにもどきにバレちゃうよ。……もどきの部屋入るんでしょ。帰ってくる前に入っちゃおうよ」

    グリ「そうだったー!!!!!!!!!!!!ね!!!ね!!!!入ろ入ろーーー!!!!!」

    レマ「だから静かにしろつってんだろ!!!!!!!!!!!!!!!」

    グラ「………………」

    グラは何も喋る事無く、もどきの部屋へと向かった。2人もギャンギャンと騒ぎながらグラについて行った。

    レマ「……つってもよぉ、なんの為にもどきの部屋入んだっけ?」


    グリ「ほら、最近もどきくんの帰りが遅いって話したじゃん!それとほら、さっきみたいにもどきくんこんな早い時間に僕たちに何も言わず出て行っちゃうでしょ?もどきくん頑なに部屋に入れてくれないし……なにか隠してるんじゃないか!もどきいねー間に部屋覗いてみようぜって昨日レマくんがいってたじゃん!!!!」

    レマ「……あそうだっけ」

    グリ「そうだよ!!!!!!!!!!!」

    レマ「……まぁそんなら入ってみるか?……もどきの部屋」

    3人は顔を見合せしんと静かになった。 レマは気まづそうに一旦ドアノブから手を離し、1度深呼吸をした。そして3人共身を寄せ、ドアノブを奥手へと押した。
    ドアノブを開けた部屋は朝にも関わらず真っ暗で、カーテンがしっかりと閉まっており電気を付ける部分にはガムテープが貼られていた。
    クローゼットには何も入っていないにも関わらず全開で、昨晩何か荒れたような室内になっていた。3人は何も言葉が出ず、その場に固まっていた。


    グリ「……なに、……これ……?」


    グリは机の上に置いてある大量の書類に視線を向けた。その書類には様々な人々が書かれており、レマ達には理解し難い物だった。レマは興味本位に机に近付き、紙を1枚1枚手に取った。


    『シル・エイデン
    19歳、173cm、男、インクカラー紫』

    『実験方法、記憶の移行』

    『テン・エイデン
    14歳、144cm、男、インクカラー水色』

    『実験方法、インクの混合』

    レマが手にしたその紙には、1枚1枚丁寧にその人物の情報と実験方法と不気味な字列が並んでいた。

    『とoとまる
    11歳、156cm、男、インクカラー黒』

    『実験方法、インクの混合、記憶の移行、インク分散

    おまる、トトの兄。精神的に弱く痛みに敏感。
    トトと痛覚が共同である。

    トト、おまるの弟。精神的に強く痛みに敏感。
    おまると痛覚が共同である。』

    『來蘭るめ
    18歳、166cm、男、インクカラー白』

    『実験方法、インク分散』

    『來蘭ブレイン
    17歳、172cm、男、インクカラー黄緑』

    『実験方法、インク分散』

    他にも、ありとあらゆる実験方法や実験の被害者であろう人々が書かれていた。そしてレマは、とある3枚を目にした瞬間顔を真っ青にし、その場へと座り込んだ。


    『ラグ・ラドリ
    20歳、170cm、男、インクカラー白』

    『実験方法、人格の移行、記憶の移行』

    『グリ・ラドリ(死亡)
    11歳、153cm、男、インクカラー白』

    『実験方法、人格の移行』

    『グラ・ラドリ(死亡)
    19歳、172cm、男、インクカラー白』

    『実験方法、人格の移行』

    その文字の並びを見たレマは何も口にする事が出来なかった。今目の前にいる2人は既に死んでいたのだ。レマはグリとグラに目を合わせる事が出来なかった。そんなレマを見たグリは心配そうに近づいたが、レマはバッと振り返り、グリの手を振り払った。

    グリ「い、いたっ…!…え、え……!?レ、レマ……?」

    レマ「……あっ……、
    ……す、すまん……ちょっと……びっくりしちまって」

    グリ「……?そ、そう!?!?ごめんね!?!?!?あっ!!そうだー!!ねー!ねー!それなーに!?!?」

    グリは元気で、そして明るい笑顔でレマの持っている紙を指差した。レマは顔を顰め、紙を丁寧に折り2人に見せないよう自身のポケットへとしまった。

    レマ「これはなー、もどきが俺たちに隠してニヤニヤしてたやつだ。……やっぱもどきって変態なんだよなー。聞いたらお前も変態になっちまうぜ?それでも……聞きてぇ?」

    レマは意地悪そうにニヤリと笑い、こっそりとグリに近付いた。

    グリ「…………うん……!」

    そしてレマはすう、と軽く息を吸い、グリに囁くようにして話した。


    レマ「……………すっげー……でっかいおっぱい写ってるエッチな写真……!」


    レマはグリに近付きコソコソと小声でそう囁いた。グリはレマの言葉を聞くなり、きゃーっと恥ずかしそうに手で顔を覆い顔を真っ赤にしていた。

    グリ「きゃっー!!もどきってば〜……!!そんなの隠してるだなんて……へ、へんたいじゃん……!!!!」

    目の前で恥ずかしがるグリを見たレマは、もう既に死んでいるなんて考える事が出来なかった。と、いうより考えたくは無かった。ある日突然自分にそっくりな人達と仲良くするのは違和感があったものの、毎日楽しく一人っ子のレマとしては心の支えでしか無かった。

    レマ「(……ただ俺のファンなのかと思ってたな)」

    純粋な少年に隠されていたのはそんなに明るいものでは無かった。非常に重く、受け入れ難いものであった。レマ一人がそう考えているとグラがトントンと肩を叩きいつもと変わらず目付きで話しかけてきた。

    グラ「……ねえ、……これ」

    そう言ってグラが見せてきたものは、研究所らしきものが書かれた建築図形であった。

    レマ「……んだこれ?」

    グラ「……もどき、……多分、……ここにいる……」

    レマはそう聞くと同時に、さっき書かれていた文章を思い出した。レマは辻褄があったことにより、急いで部屋を後にした。

    グリ「れ、レマ!?!?!?!?!?!?!?」

    レマ「もどき助けに行くぞ!!!!!!!!!!!!!!!!」

    グリ「えっえっ!?!?!?!?!?!!?」

    レマはパジャマからいつものバトル用のギアに速攻で着替え、決意を決めたのか、靴紐をしっかりと結び研究所の紙をしっかりと握り締め、勢い良く外へと出ていった。そして最後に、もどきの安全を一番に願った。


    レマ「(……頼む……間に合ってくれ……!!)」

    〜〜〜

    とある部屋に残された3人は、他人の部屋であろうと机の上に腰を掛けたり、床に寝そべったり、ここの需要者であろう人の椅子に勝手に腰掛けたりと自由気ままに待たされていた。一人はポケットに入っていた笛ラムネをピーピーと鳴らし、暇そうに机の上に腰掛けていた。

    クロ「さっきからピーピーラムネうるせぇな」

    ワイド「ピーピーラムネじゃなくて笛ラムネだけど^^いる?」

    クロ「……別に言い方なんてどうでもいいし要らねぇ」

    ワイド「っちぇ〜ざんね〜ん^^じゃあ残りはトリスタンさんに食べさせてピーピー言わせようかな^^別に俺が鳴かせてもいいんだけど^^」

    クロ「……死ねよォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

    3人はそんな中身の無い会話をダラダラと約30分程続けていた。痺れを切らしたえぱは椅子をぐるぐる回したり、足で動かし部屋を椅子で駆け回っていた。時々クロの足を引きクロの悲鳴が聞こえるも、お構い無しに駆け回っていた。

    ワイド「……ていうかさ〜あの3人遅くな〜い?^^なんか資料を取りに行くだのなんだの言ってたけどほんとにそれだけ?^^何してんの?」

    クロ「ウンコじゃね」

    えぱ「ダッハwwwwwwwウンコwwwwwwアイツらがwwwwww汚ェwwwwwwwwwギャハwwwギャハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!wwwwww」

    えぱは小学生レベルのやり取りに腹を抱えて笑い、やがて椅子からずり落ちる程笑い転げていた。すると床へと転げ回って大笑いするえぱを、戻って来たオムニはえぱの顔面を踏み潰した。

    えぱ「ギ"ャアア"ア"アア"アアアア"アア"ア!!!!!!!!!!!!!!!!!!痛ェエエェエエエェエエエェエエッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!何すんだボケェエエエェエェエエエエェエエエエエエェエエエ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

    オムニ「ボクの部屋でクソしょうもない下品な会話しないでくれますかね
    あとそこ、机の上に乗らないでください床に寝そべらないでください殺しますよ」

    オムニはえぱの顔を踏み付けたまま机の上に腰掛けているワイドと床に寝そべっているクロを叱りつけた。2人は聞く気もない気の抜けた返事をし、渋々立ち上がった。そしてオムニの後ろから、聞き覚えのある、高くて中性的な声が聞こえてきた。

    ギギ「よォ〜待たせてすまなかったなァ〜。
    ……っとォ〜、ギャハ!これはなんのプレイだァ〜?えぱチャァン」

    えぱ「笑!う!な!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!助けろクソカスボケギギがァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

    ビビ「兄さんの事クソカス呼ばわりすんじゃねぇよクソカスなのはテメェだろ」

    ギギの事を悪く言われたビビは、オムニに踏まれているえぱをゲシゲシと蹴り続けた。えぱはじたばたと暴れ抵抗していた。そんな3人を放っておき、ギギは机の上へと丁寧に拳銃を並べた。

    ギギ「遅れてすまねェなァ〜。人数分用意すんのに時間かかっちまってよォ〜。さァ皆持ってけェ〜。」

    クロは拳銃を見るなり目を輝かせ、バッと立ち上がり先程のやる気のない声とは程遠い、活発的な大きな声を上げ、机の上に置かれた拳銃の方へと駆け寄った。

    クロ「うっおおおお〜〜!!!!!すっっげ〜〜〜!!!!!!俺前回拳で戦わせられたからよ〜〜〜!!!前回人数分用意してくれなかったオムニってやっぱケチだよなぁ〜〜〜!!!!」

    ギギ「まァ今回も用意してくれたのオムニだけどなァ〜」

    クロ「オムニ天才ーーーー!!!!!!!オムニキャーッ!!!!かっこいい〜〜!!!!!イケメン!!!!!金持ち〜〜!!!!!!ゲソ長ぇ〜〜!!!!!!色白〜〜!!!!!!!抱いて〜〜〜ーーー!!!!」

    クロの綺麗な手のひら返しにオムニは苛立ったのか、胸元から拳銃を取り出しクロに向かって撃ち付けた。

    クロ「イッッッッテェ!!!!!!!!!!!!!!!撃つ相手は俺じゃねぇだろ!!!!!!!!!!!!!!!」

    クロは撃たれても尚ヘラヘラとしていた。
    そんな隣でワイドは拳銃を手に取り、不思議そうに見ていた。

    ワイド「……ふ〜ん。拳銃ね。……こういうものって使っていいものなの?」

    ギギ「俺らは特別に許可されてるからなァ〜。ただ一般市民や罪の無ェ奴には勿論だが使用禁止だぜェ〜。」

    ワイド「罪の有る奴になら何発でも撃っていいんだ?」

    ギギ「……………」

    ワイドは拳銃を片手に不思議そうに目を細めていた。ギギは何かを察したのか、笑顔を辞め組んでいる腕を降ろした。

    ギギ「……殺すなよ」

    ギギのその言葉を聞いたワイドは顔を上げ、いつも通りの胡散臭い笑顔を浮かべた。そして手に持っていた拳銃を机の上に置き、両手をポケットへと突っ込み後ろに体重をかけた、ワイドらしい立ち方でヘラヘラと立っていた。

    ワイド「も〜冗談じゃ〜ん^^俺は拳銃なんて要らないよ〜。重いし邪魔だし〜^^俺はそんな交戦する訳じゃないんだしさ〜^^でしょ?ギギさ〜ん」

    ギギ「まァそうだなァ〜。
    ……そういやそうだったなァ、まだテメェらに今回の作戦について話して無かったなァ〜。
    おォ〜いテメェら〜集まれェ〜」

    ギギはそう言うと、皆は横長の机の周りへと集まって来た。皆が集まったのを確認し、ギギは淡々と喋り始めた。

    ギギ「そういえばまだテメェらに今回の作戦について話して無かったからなァ〜。簡単に説明するぜェ〜。
    まずはそうだなァ、今回の件で1番大事な事を話すぜェ〜。」

    ギギは静まり返っている部屋で、すうと軽く息を吸い、皆にこう忠告した。

    ギギ「ダストは絶対に殺すな」

    ギギの言葉を聞いた5人は、静かに、そして真剣な眼差しでギギの話を聞いていた。

    ギギ「つってもォ〜、これには沢山の理由があってなァ〜〜。ダストはこれまで沢山の被害者を出てきた立派な殺人犯だァ。俺は3年前からダストと交戦して来た。それもありダストの身体はもう見事にボロボロだァ〜。ダストは分かっている通り沢山の人々のインクを吸いまくってる。そのせいか最近はダストの体調が悪化してるのもあるのか、インクの元の所有者の記憶が混じりに混じりダストは今自分が誰が誰だか分かんなくなってちまってんだァ。
    それもダスト本人は分かってるのか、前回の交戦でダストは自分自身を作り出し、俺達は偽物とやらに見事にハメられ戦わせられたンだァ〜。
    そこで〜、だァ〜!」


    ギギは誰かと似た様な指パッチンをし、ワイドの方へと視線を変えワイドを綺麗に指差しこう言った。


    ギギ「つー事で、今回はテメェに頑張って貰うぜェ〜〜〜!!!!!!!!!!」


    ワイド「……え?俺?^^」


    突然バチッと名指しをされたワイドは、突然の出来事に状況を理解してないようであった。ワイドの周りにいた皆は、何処と無く納得している様子であった。ワイドは手を腰に当てはあ、と溜息をついた。

    ワイド「ダストと俺、何の関係性も無いけど。なんならこの中で1番関係性無いんじゃない?そんな奴が1番貰っちゃっていいの?^^」

    ギギ「それを今から説明するンだぜェ〜。
    さっきも言った通り、ダストは何人もの分身を作り出し俺らに立ち向かうハズだァ〜。ただ1つの見分け方とすればだなァ、」

    ギギ「創り者に感情は無ェンだァ」

    ワイドは「ふ〜ん」と適当に相槌を打ち、ギギの話を流し聞きしていた。ワイドはこの時点で自分の役割りの大抵の事は理解していた。

    ギギ「だ、か、ら、だァ〜!煽り性能が高く、敵に回しやすいかつ、めんどくせェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ性格してるテメェにダストを炙り出して欲しい訳だァ〜〜〜!!!」

    ワイド「……なるほどね〜?」

    ワイドは顎に手を当て、何かを思い付いたのかニヤリと笑った。

    ワイド「……それってさ、何処までやっていいの?^^要は怒らせる様な事言ってダストとやらの感情を剥き出しにさせればいいんでしょ?^^……なら俺得意だよ^^俺に任せてよ^^」

    ギギ「ハハ〜そう言うと思って今回テメェを呼んだンだゼェ〜〜。まァ殺し以外だったらどんな方法でもいいぜェ。テメェのやり方で思う存分やってくれよォ〜!!!」

    ギギはワイドの背中をバンバンと叩き、非常に愉快そうに笑っていた。他の皆も「コイツなら適役だな」と思い誰も何も口にする事は無く、ギギの言うことに従った。

    ギギ「……ンで、ダストの居場所なんだがァ〜、前回とはまた違ェ場所に逃げ込んじまってなァ。どうやら前回の方より広く、言えばダストの本拠地だなァ。……それと同時に何もかもが揃ってるハズだァ。だから最初はワイド、お前ただ1人が研究所に乗り込んで貰うぜェ。……出来るよなァ?ワイドォ」

    ワイド「……もちろん〜^^可愛い子抱けるのならなんだってするって言ったでしょ?」

    ワイドは何の不安も無く、自信満々にそう答えた。ただ、現時点のワイドの脳内は、自分の欲で埋め尽くされているようだった。そんなワイドを見るなり、オムニは不安が増していた。そんなオムニとは裏腹に、ギギは不安なんぞ目に見えぬ程に、明るい笑顔を浮かばせていた。

    ギギ「ハハ〜テメェは可愛い子好きだなァ〜。
    まァその話は置いといてだなァ、ダストの本拠地なら何があるか分からねェそんな所に1人で行かせンだァ。ダストを発見したら即座に逃げろ、そしてその後の救助役としてェ〜!」

    ギギ「えぱチャァン!クロォ〜!……そしてビビに行って貰うぜェ〜〜!!!!!」


    えぱ、クロ、ビビ「「「は???????」」」

    3人は息ピッタリな程に、大きな声で気の抜けた声を出した。そして3人は顔を見合わせ、ワッと大きな声を張り上げた。

    えぱ「はァァァァアァァアァァァァアァァァアアアアアァァアーーーーーーーーッッッッッッッ!?!?!?!?!?!?!?誰がコイツの救助役なんてするかボケェ!!!!!!!!!!!!!コイツなんて1人でも大丈夫な顔してンだろォ!!!!!!!!!!!!」
    クロ「そうだぞ!!!!!俺達絶対必要ね〜〜じゃね〜か!!!!!!!!なんなら俺とえぱ一緒にしねぇ方がいいまであるぞ」
    ビビ「……え?……ちょ、っと……兄さん……」

    ギギ「どォしたァ?ビビィ〜〜」

    ビビ「……こんな奴らと、……一緒にするの……?」

    ギギ「そうだァ!!!!!!!!!」

    ビビ「…………。」

    ビビはいかにも行きたくない様なオーラをここぞとばかり出していたが、ギギはお構い無しに得意気のなんの曇りもない笑顔をビビへと向けた。ビビは明るすぎるその笑顔に若干立ちくらみを覚えていた。

    ギギ「つ〜事でェ!テメェら仲良くしろよなァ〜!!!」

    ギギは半ば強引にその場を収め、この場を解散する様な雰囲気を出していた。ただ一人の男を置いて。

    オムニ「……いやボクは?」

    ギギ「……ン?」

    オムニ「……ン?じゃないんですよ。ボクは何をすればいいんですか?ボクは拳銃貸し出す為に呼び出されたんですか?」

    ギギは若干図星を付かれ誤魔化すように「ハハ〜」と乾いた笑いを零し頭の後ろをかいていた。オムニは想像もしない出来事に何も言えず、綺麗に固まっていた。そんなオムニを見たギギは、慌てて脳を動かしぎこち無く喋り始めた。

    ギギ「……ン〜……ンまァ!……あれだァ〜!ワイドを救助して貰った後、俺1人でダストと話し合いするつもりなンだァ。……だからァ〜そのォ〜、……ンまァ!前回と同じでオムニは俺の護衛してくれェ!!!」

    ギギはいかにも今思いついたかのような案を無理矢理オムニの適役とした。オムニは自分の存在を忘れられていた事に若干ショックを受けたのか、珍しく静かに頷きギギに従った。

    夫々の役割りを理解した6人は、日が落ちるその時間まで、いつも通り、何も変わらない平凡で平和な時間を過ごしていた。

    〜〜〜

    習い事を終え、家に帰りやっとこさ休憩出来る時間を惜しみ、少年は軽食を済ませ家を飛び出した。
    ひれおくんのキーホルダーが付いたリュックサックを揺らし、少年は晴れ晴れとしていた空の下で笑顔を零していた。
    小鳥がさえずり、少年は今日という日を楽しみに待っていた。


    古き友人と、出会えるのだから。


    サド「いや〜!今日はいい天気だな〜!こんな天気のいい日はみんなでピクニックとかしてぇな〜!ケヴィンとか呼んで!あっそーだ!!どうせならジャック達も呼んでみんなでピクニックでもするかー!!!!!」

    サドは友人達の事をそう思いながら、目的地へと向かっていた。
    するとサドは、目の前にあるスーパーの横で、並んでいた自転車を全て倒してしまったのか1人で一生懸命一つ一つ立て直している困り眉の少年に気がついた。サドは顔を輝かせ、飛び跳ねるようにその少年元へと走り出した。

    サド「ブレインーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
    ブレイン「ウワアァァアアァアァアァアァアァァアアアァァァアァァアァァアァァァァアアアァァァァアァア!!!!!!!!!!!!!!」

    ブレインは突然の出来事にビックリしたのか一生懸命立て直していた自転車をガシャーンと大きな音共に横転させていた。ブレインは顔を真っ青にし、深い溜息を付いた。


    ブレイン「……サドくん……」

    サド「……あちゃー………!!!!」

    ブレイン「………あちゃー……じゃないよおおおおぉおおおぉおぉぉぉぉおおおおおぉぉおおぉおおぉおおおぉぉおおおおぉぉぉぉおおおぉぉぉおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」

    ブレインはあと一台というところで全て倒してしまい口を開けると同時にサドに怒鳴りつけてしまった。サドは手をあたふたさせてブレインを落ち着かせるように喋りかけた。

    サド「まー!まー!まー!まー!!!落ち着けって!!な!!?!俺もわりーからよ!!俺が手伝ってやるから!!こういう力仕事なら俺に任せとけ!!!!!」

    ブレイン「……う……ん……」

    ブレインは鼻をすすり若干泣いているようにも見えたが、サドの頼もしい言葉にぐいっと涙を拭った。そして2人共1台1台、一生懸命丁寧に立て直して言った。するとサドは5台目辺りで汗をかき、若干息を荒くしていた。その様子に気づいたブレインは、呆れ気味の顔でサドの方へと視線を変えた。

    ブレイン「……大丈夫?」

    サド「はぁ……!はぁ……いや……全……然大丈夫……だぞ……!!!!」

    サドは苦しい笑顔を浮かべ、頭から額へと流れる汗を自身の袖で拭き取った。

    ブレイン「……サドくんってさ、……喧嘩好きだったよね?その割にはあんまり体力無いよね。……ちゃんと食べてる?」

    サド「ん!?うん!!!ちゃんと食ってるぞー!!最近は俺の友達が飯作ってくれてるし朝も起こしてくれんだ!!!!体力無いのはー……そうだなー……?最近喧嘩してねーからかな?」

    ブレイン「……そうなんだ」

    ブレインはサドの話をしっかりと聞き順調に自転車を立て直していた。サドがもうひと踏ん張り、と力を入れたその時だった。後ろから肩をポンと叩かれ自転車を持つ手がふと軽くなった。

    サド「マトー!!!!」

    サドを助けたその少年は、帽子を深く被っており目付きが悪く、若い割には煙草を吹かしていた。

    マト「……何してんだよ、お前ら」

    サド「え!!!!なんかな!ブレインが自転車横転させてよ!!!!!!!立て直すの手伝ってたんだー!!!!」

    マト「……そうか」

    マトは素っ気の無い返事をし、1人で次々と倒れた自転車を元に戻していった。サドとブレインはもはや棒立ちになり、マトに全て任せていた。全て綺麗に立て直したマトはサドの方に視線を変え、ポケットに手を突っ込みサドを見詰めた。

    マト「……サドはこれから用事あんだろ。……急げよ、こんな所で時間潰してる暇無ぇと思うぞ。」

    サド「……ん!?そうか!?まあマトがそう言うならそうかも!!!ありがとな!!!!マト!!!そんじゃ行ってくるな!!!!!!」

    サドは2人に笑顔を向け、愛おしげな後ろ姿を最後にした。マトはサドを見届け、状況を呑み込めず困り果てているブレインを置き去りにし歩き始めた。


    マト「(……無事に話を聞いてくれるといいが)」



    サドはスマホのマップアプリを頼りに、約1時間程歩き続けていた。1時間前居た住宅街とは程遠い、森林が多い道に出ていた。

    サド「(……本当にここであってんのか……?)」

    サドは恐る恐る草木が生い茂る道を歩いていた。所々躓きそうになるも一生懸命、一生懸命進んでいた。草木を掻き分けたその先に、サドは大きな研究所を目の当たりにした。

    サド「……うおぉ……なんだこれ…………」

    サドは服を軽く叩き、研究所を見上げた。そして思い出したかのようにリュックサックを開け、とある写真を取り出した。

    サド「……ほんとにここにいんのかなー……」

    サドがそう呟いた瞬間、後ろから綺麗で、透き通る女性の声が響き渡った。サドは舞い散る桜を背に、ふと振り返るとそこには、幼い頃の姿とは程遠い、儚く華奢で、美人な女性が足を組みサドを見下ろしていた。その女性を見たサドは、思わず息をごくりと飲んだ。

    サド「う、うめ……?」

    サドがか細い声でそう言うと、女性はふふ、と微笑み長いゲソを片耳に掛け足を組み替えた。

    ウメ「……お久しぶりね、サドくん」


    ウメはサドに向かい優しく微笑んだ。そして古いドラム缶からひょい、と身軽に地面へと足を付けた。
    そして後ろに手を組み、サドへ上目遣いするように寄り添った。

    サド「う、うめ……!?うめ……なんだよな……!?!?い、いやあ〜久々だな〜!!!はは、俺の事覚えてるかー!?いや〜……その……なんか……こう……すっげー大人になったよな!うめー!」

    ウメ「……ふふ、そうかしら」

    サドは目のやりどころに困るも、目を泳がせ手をあたふたとさせていた。サド自身、女性も恋愛対象に入る為喋り方もぎこち無くなってしまっていた。

    サド「……そ、そうだよ!!!いや〜!すっげー可愛くなったよな!!!!俺うめにずっと会いたくてさ、でもうめの連絡先探しても探しても見つかんなくてさ!でもさ!その〜詳細は言えねぇんだけどここにさこれ落ちてたんだよ!ほら!これ!」

    サドはそう言うと、握っていた昔の幼き頃の自分達が幸せそうに笑っている写真をウメへと見せた。
    ウメはニコ、と微笑み少し体制を整えた。

    サド「懐かしいよな〜!!この写真!俺ら住んでるところ遠くてさ、会えんの一年に2、3回だったけど夏休みにうめが絶対俺らに会いに来てくれてさ、るめと俺とうめ3人で水遊びしてたの覚えてるか!?!俺もう1回やりたくてさ!ほら!竹持ってきたんだよ!うめ竹すっげー上手かっただろ!?今度るめも呼んでさ、また3人で……」

    ウメ「サドくん」

    ウメはゆっくりと目を開け、綺麗な黄色の瞳を輝かせサドをじっと見詰めた。サドもウメの綺麗な瞳をじっと見詰め見惚れていた。その時だった。ウメはサドの握っていた写真を奪い、ひょいと身軽にドラム缶が積まれた高台へと足場を変えた。

    サド「!?うめ!?!あっ、ちょ!!俺の写真!!!何すんだよー!!!あ!!うめ!!お前も見てーのか!?!?いいぞ!!!じっくり見ていいからな!!!!」

    サドは満面の笑みでウメを見上げていた。すると、ウメは写真を両手で触れ、次の瞬間写真を破いてしまった。サドは思わず満面の笑みを崩してしまった。


    サド「え」


    サドは少しづつウメの様子がおかしい事に気が付き始めていた。サドは少し後退りをし、先程の明るくハキハキとした喋り方では無く、不安そうに、そしてぎこち無くウメの名前を呼んだ。するとウメは破いてしまった写真を放り捨て、足を組みサドを見下ろした。


    ウメ「……そんな性格だから、私もるめも変わってしまうのよ」

    サド「な、どういう……」

    ウメははあ、と溜息をつきサドに呆れを向けるよう、見つめ続けた。そして、ゆっくりと口を開けた。


    ウメ「……何も気付かない?私ね、自分を殺したの。そしたら思う通り、自分の思う、素敵な自分になれたの。この容姿、この美貌、素敵でしょ?見入ってしまうでしょ?サド」

    ウメはサドに甘えるように手を頬に滑らせ誘うような、甘い声でそう囁いた。しかしサドは身震いをし、ウメの手を振り払った。

    サド「自分を……殺したって……何言ってんだよ……?待てよ、何も分かんねえよ……」

    ウメ「貴方、ここであの写真を見つけたのよね?どうしてかって……私があの場所に落としたもの。ダストって人物と出会ったでしょう?私、その人に助けてもらったの。生きづらい世の中から私を救ってくれたの。「自分を殺せば、思う通りの自分に生まれ変われるさ」ってね。」

    サド「………昔の、昔のうめじゃねぇってこと……?」

    ウメ「そう言うところかしら」

    サド「な、なんで……なんで、なんでそんな事すんだよ!!!!!!自分殺すなんて……そんな、そんな勿体な……」

    ウメ「貴方に何が分かるのよ」

    ウメはそう言うと、サドのリュックサックを奪い取りポケットからライターを取り出し目の前で燃やし始めた。サドは思い出の品が入っているリュックサックを取り返そうと走り出した。

    サド「お、俺のリュックサック!!!!な、なんでそんな事するんだよ!!!うめ!!!!」

    ウメは向かってくるサドを身軽に蹴り飛ばし、サドは腹を抑え苦しそうに悶えた。

    サド「……ゔ……ゔう……うめ……」


    ウメ「会いたかった?何を言ってるの?女性の私の気持ちなんて分かってくれないじゃない。私は昔ほど貴方達のように落ちこぼれた男性と絡む程時間は無いの。それに今の私は昔の私じゃない。もう別人なの。くだらない子供の遊びなんて貴方達でやってればいいじゃない。……あ、もしかして」


    ウメ「るめにまで見捨てられちゃったかしら!」


    サドは口をきゅっと閉じ、目の前の出来事に涙が零れ落ちそうになった。それでもサドは笑顔を絶やさず、震えた声で優しく喋り始めた。


    サド「……み、……見捨てられてなんかないぞ!それに……今、さ!みんな変わっちまって……いっぱい大変かもしんないけど……でも……あん時マジで楽しかったし……俺、るめもうめも大好きだし……大事な友達だし……だからさ!!!お前が何言おうとさ!!!また気が向いたら……俺と仲良くしてくれよ!俺、待ってるから……俺、今いっぱい優しい友達周りにいてさ、みんなでさ、こんな日にピクニックしてえと思ってたんだ……!だから、そんとき……うめもさ、一緒に来たら楽しいと思うんだ……!!!な!!!うめ!!!!!」

    サドはニコッと優しく微笑んだ。そんなサドを見たウメは、ふ、と優しく微笑みサドに歩み寄った。そして優しく、優しくサドを抱きしめた。サドは腹を抱え苦しみながらも、ウメを優しく抱きしめ返した。その時だった。サドは突然胸元に痛みを覚えた。サドの胸元にはナイフが突き刺さっており、血が滲み出ていた。サドは突然の出来事に何も言葉を出す事が出来ず、跪きウメを見上げる事しか出来なかった。ウメはそんなサドを見下し、狂気的な笑い声をあげていた。

    ウメ「キャハハハハハハハハ!!!!!!!いつまでそんな優しさを持ち歩いているの????そんな優しさを捨てないからるめも私も貴方に失望して離れていったんじゃない!!!!!!!!いつまでも昔の思い出に浸らないでくれるかしら?あの時の私は居ないって言っているじゃない。優しさ故、状況も理解出来ないのかしら?可哀想な子ね!!!!!!」

    サドは涙すらも、笑顔すらも浮かばせなくなっていた。

    サド「………うめ」

    そして、サドは小さく、そして寂しそうに彼女の名前を呼んだ。ここまでしても自分の名前を優しく呼び、寄り添おうとする態度を見せるサドに苛立ったウメはサドの顔面を蹴り上げようとしたその時だった。ウメは何者かに発砲され、右腕を抑え歯を食いしばりその場へと座り込んでしまった。

    サド「うめ!!!!!!!!!」

    サドはウメの名前を呼び、必死に駆け寄ろうとした。しかしサドは胸元の痛みにその場から動けず、悔しそうに後ろを振り返った。するとそこには、心底不機嫌そうな、ピンク色の目が特徴的な背丈の高い男が煙草を吹かし威圧的に立っていた。その男はゆっくりとその場に座り込んでいるウメへと近付き次の瞬間頬を蹴り上げた。そして綺麗な艶のあるゲソを引っ張り煙草をゲソへと押さえつけた。ウメは抵抗する力も無く、何か大声で叫んでいる様子であった。サドは目を強く瞑り、ウメの姿を見ないよう顔を逸らしていた。


    紺「ッハハハ!!!なりてェ自分になれて良かったなァ?自分を殺してまで手に入れた容姿をこうやって少しづつ削られていく感覚はどうだァ?なァ?なんか喋れよォ」

    紺は女性に容赦が無く、ウメが願いに願った容姿をボロボロにし続けた。ウメは一生懸命叫ぶも、紺の手が止まる様子は無かった。

    紺「容姿が変われどテメェの性格までは矯正されねェんだなァ?夢見る所間違ったんじゃねェのかァ?容姿が変わったってクズはクズなんだよォ。ンな事も分かんねェのかァ?自己満女ァ」

    ウメは必死に抵抗する事しか出来ず、やがてウメは目を瞑りぐったりとしてしまった。動かなくなってしまったウメを見下ろした紺は手を止め舌打ちをし、煙草を吸い直した。そして警察に貼られたであろう立ち入り禁止と書いているテープを躊躇無く跨ぎ、研究所へと姿を消した。
    サドは苦しそうに胸元を抑え、ゆっくり、ゆっくりとウメへと近付いた。

    サド「…………なにも……できなくて、……ごめんな………」

    サドは零すようにそう言った。そしてサドとウメは、桜が舞い散るその場で、意識を失ってしまった。



    紺は気だるげに研究所内を歩いていた。
    警察にほとんど捜索されたのか、得にこれと言った物は無かった。紺はそんな面白味も無い研究所を隅々まで歩き回っていた。すると、一つだけ、鍵のかかった金属で出来ている重たい扉があった。その扉の前で、紺はピタリと足を止めた。
    紺はドアノブに手をかけるも、鍵穴部分にカビや苔などが染み付いており、かなり古くからある部屋だと察する事が出来た。

    紺「………鍵、無ェしなァ……」

    紺は煙草を口から離し煙を吐き出した。そして扉の前でしばらく固まった後、大きな身体を使い勢い良く扉に向かって突進をした。ガコン!と大きな音を立て、扉の間に少し隙間が出来た。それを見た紺は何度も何度も自身の身を扉へと打ち付けた。
    すると重い金属製の扉は次第に傾き、やがて大きな音共に後ろへと倒れた。紺は首に手を当て軽く首を鳴らし煙草を吸い直した。

    紺「ッたくよォー、こんな重い扉誰が開けンだよォ」

    紺は躊躇無くズカズカとその部屋へと入っていった。部屋の中はホコリまみれで紺は軽く咳き込み周りを振り払った。

    紺「……ゲホッ、ゲホ……クソ……ホコリだらけじゃねェかァ……なンだこの部屋ァ……」

    紺は少し苛立ちながらも、部屋を見渡した。すると紺はタンスの上に丁寧に置かれている、ホコリを被った写真立てに目を向けた。紺は写真立てに近付き、軽くホコリを払った。
    そこには、小さな少年とその両親であろう人物が映っていた。父親らしき人物は目付きが悪く、白衣を着用しており、母親らしき人物は優しく微笑んでおり、息子に寄り添うかのように少年の隣に座っていた。そして両親に挟まれ真ん中にちょこんと座っている少年は、こちらに向かって明るい笑顔を向けピースサインを向けていた。

    紺「………」

    紺は写真を見るなりこれが誰なのかを察し、目を細めた。そして自身の袖でホコリを全て拭き取り、元は白色であっただろうレースの上へと丁寧に置き直した。他にも何か無いだろうかと紺はタンスを一段一段開けた。一段目、二段目は特に何も無かったが、三段目には一昔前のデザインの物であろうカメラがたったひとつだけ入っていた。
    かなり古く、電源が着くかも怪しかったが、紺はカメラを起動させフォルダを開いた。そこにはいくつものビデオが記録されていた。紺は1番初めのものを再生した。


    『……あっ……これ……撮れてるのかな……!?すごい!お母さん!!これ撮れてるよ!!!
    あのね!!!お母さんにビデオカメラって言うものを貰いました!!!今日からまいにちの出来事を記録していこうとおもいます!!!!』

    ビデオに映るのは、優しく微笑む母親と、純粋無垢な少年だった。初めてカメラに触ったのか雑音やブレが凄かったが、ビデオからは嬉しさが存分に伝わってきた。紺はビデオをその場で立ち尽くし、しばらくビデオを静かに見てきた。

    『ふつかめ!!!だよ!!きょーはね……じゃじゃーん!!!!白衣ー!!お父さんの奪ってきちゃったんだー!!みてー!どおー?かっこいい?あっ!!!あっ!!!!!やばい!!!玄関が開く音だどうしようお父さん帰ってき』

    少年は白衣を着こなし、カメラに向かってポーズを撮っていた。途中でお父さんが帰ってきたのか、急いでこちらに駆け寄ってきた所でビデオは終了していた。紺は少し微笑み、あまりの愛おしさに、ふふと笑い声を零していた。

    紺「(……幸せそうな、……家庭だなァ……)」

    紺はしばらくの間、その場に立ち尽くしビデオカメラに映る幸せな家庭をじっと見つめていた。

    『みっ……かめー!!!きょーは天気がいいからお外でお母さんとバトミント……あっ!!あぶない!お母さん!!今カメラまわしたから!!!あっ!!!それー!!!!おーかーあーさーん!!!まだ喋ってるってば!!!あはは!!!もう!!!』

    『4日目だよ〜!今日はね!お母さんと一緒にパウンドケーキを作るよ!!お母さんの作るパウンドケーキが1番美味しいからね!!きっと上手に作れると思う!!』

    『5日目!!今日はお母さんがお仕事で居ないから、今日は僕が家事をするよ!!!お母さん、帰ってきたら喜んでくれるかなあ…』

    『むいかめー!!昨日ね!!家事やったらね!!!お母さんがいっぱい褒めてくれたよ!!!お小遣いもくれたんだ!!この50円で今からお母さんと駄菓子屋さんに行ってきます!!!それじゃーねー!!!』

    7日目、8日目、9日目、と少年の幸せな時間が沢山記録されていた。紺は手を止めること無く、次々とビデオを見続けた。すると、紺はとある記録で何か違和感を感じ始めた。

    『17日目、今日はね宿題をやるよ!……最近は高学年になってきてさ、勉強も忙しいんだ。……だからちゃんと集中しようと思うよ。……それじゃ』

    『18日目、……特に、無いかな。……言い忘れてたけど、母さんが2日前ぐらいに突然倒れちゃったんだ。何かの病らしい。ここから病院は遠いし、父さんは仕事だし、……僕一人じゃ母さんを連れて行けない。何も出来ない。』

    『19日、母さんを助けられる方法があるんだ。僕が見つける、僕が薬を作るの。……最近ね、母さんが苦しそうにする姿を隣で見てたらこの世の中には苦しい思いしてる人が沢山居るのかって思って。だから母さんを治して、母さんと同じ病で苦しんでる人を助けたい。だから頑張るよ、僕。……母さん、待っててね』

    少年はそう言い、ベッドに横たわる同一人物とは思えないほどに痩せてしまった母親の手をギュッと握りしめた。少年は白衣を着ていて、周りには色々試したであろう道具や薬が増えており、部屋の雰囲気は最初とガラッと変わっていた。紺は無言で、静かにビデオを見続けた。

    『21日目、昨日はカメラをまわし忘れちゃった。……でも聞いてよ。母さんがご飯を食べられるぐらいに回復したんだ。……良かった、少しの進捗だ。……次は、布団から起きられるようにしてあげたいけど。』

    『25日目、……しばらく……薬の事で精一杯で……あまり寝れてないから聞き取りづらかったらごめんよ。……あれから何とか母さんはご飯を食べられるようになって、布団からも起き上がれるようになったんだ。……本当に良かった……。……父さんには手を付けられないって言われたから……僕が頑張るよ。僕が頑張って、母さんが元気になって……また……一緒に遊ぼうよ。……ねえ、母さん、お願いだから。……お願いだから、……お願いだから、起きてよ』

    『……母さん』

    母親の事に徹底していたのか、少年の目元には若干の隈が出来ており、少年も痩せ細っていた。少年は涙を流し、カメラに背を向けた母親の手を強く握りしめた。その様子を見た紺は、先程までの違和感を理解していた。


    紺「………幻覚、か」


    少年は、「ご飯を食べられるようになって、布団からも起き上がれるように」と言っていたが、ビデオに映る母親は到底そうは見えなかった。肌は色白くなっており、ゲソは白のような、濁った黄緑のような、様々な色が含まれていた。そしてほとんど出てこなかった父親は、きっともう諦めているのであろう。紺はそう察していた。
    紺は次のビデオを見ようと試みた。すると、たった5秒間の、何も映っていない、最後のビデオを見つけた。紺は静かに、そのビデオを再生した。




    『……母さんが、死んだ』




    最後のビデオには、たった一言、そう残されていた。

    〜〜〜

    深夜1時頃。普段なら真っ暗な部屋も、今日は明るく、そして静かだった。子供達は静寂に包まれるリビングで、それぞれの事をしていた。

    黄緑色のゲソの男の子は、床に積み木を散らかし、大きなお城を作っていた。水色ゲソの男の子は、テレビに向かいコントローラーを器用に動かしていた。白色のゲソの男の子は、クレヨンで大きな白い紙に、普段はここにいるみんなの似顔絵を描いていた。そして、黒いゲソの男の子は眉間に皺を寄せ、似顔絵を描いている少年の手元をじっと見つめていた。

    トト「……なんだよ、それ」

    おまる「みんなの似顔絵だよ…。……に、にてるかな……?」

    トト「……ヘッタクソ」

    おまる「そ、そんなぁ……!!!」

    トトは軽く鼻で笑いそっぽを向いた。おまるはショックを受け涙目になりながらも一生懸命手を動かしみんなの似顔絵を描いていた。
    そっぽを向いたトトは秒針が少しづつ進む時計にゆっくりと目を向けた。そして、暗くなった外に視線を変え、深い溜め息を付いた。

    トト「……お前らいつ寝んだよ。もう1時まわってんぞ。普段なら寝てる時間だろ、さっさと寝ろ」

    トトの言葉に先程まで静かだったローラーは、もう一息だったお城を雪崩のように崩し、さっとその場から立ち上がった。

    ローラー「やだー!だってトトも寝ないじゃん!寝るならみんなで寝よーよ!ギギ達も居ないんだからさー!ぼく1人で寝るの寂しいよ!」

    ローラーは若干眠そうな表情をしていたが、慌ててあくびが出そうな口を手で覆った。その様子を見たトトは眉間に皺を寄せ、テレビと夢中になっているデュアルに視線を向けた。

    トト「……じゃあお前、デュアル。お前が一緒に寝ろ」


    デュアル「やだ」


    デュアルは元々返事が決まっていたかのような速度で返事をした。トトはイライラし始めたのか机を指でトントンと音を鳴らし始めた。そして目の前に座っているおまるを圧をかけるかのように睨みつけた。

    トト「…………言いたい事、分かるよな?」

    おまる「うっ……うっ……うっ……うぅ……」

    おまるは泣き出しそうになりながらも、クレヨンを握りしめワッと一声を絞り出した。

    おまる「や、やだぁ……!!!」

    トト「なんでだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

    トトはバンと大きな音を立て椅子から勢い良く立ち上がった。そして全員に怒鳴るよう大きな声を上げた。

    トト「なんでテメェら全員寝ようとしねぇんだ!!!もう遅いつってんだろ!!さっさと寝ろガキ共!!!!!」

    おまるはひぃいと悲鳴をあげ椅子にちょこんと座らせていた人形をぎゅっと抱きしめた。デュアルはやっていたゲームを一旦中断し、コントローラーを床へと置いた。そして、目の前にいたローラーはぽかんと口を開けトトをじっと見ていた。

    ローラー「なんでー?トトは寝ないの?一緒にねよぉよ」

    ローラーは目を擦り、そう言った。
    既に眠そうにしているローラーを見たトトは、今のローラーに返事をした所で同じ事が繰り返されるのが分かっていた。トトは何も言葉を発さず、深い溜息をつき、どかっと椅子に腰をかけた。
    ふとその様子に何か思ったローラーは、眉を下げ、心配そうにトトを見つめゆっくりと近寄った。

    ローラー「……トト、……どうしたの、なにかあった?」

    トト「……」

    トトは図星をつかれたのか、額に手を当て俯いた。いくらローラー相手だとは言え、チームリーダーであるローラーの観察力は鋭かった。トトは諦めた様子で、ゆっくりと口を開き不安混じりの小さな声で、ぼそっと一言零した。


    トト「……お前ら、ギギ達がこのまま帰ってこなかったらどうすんだよ」


    トトは全員に向かい、聞こえるようそう言った。その言葉を聞いたローラーは、1番最初に、純粋な笑顔で元気よくこう答えた。


    ローラー「僕のお家にかえる!」


    トトは何となく察していた。そして俯かせていた顔をゆっくりとあげ、自分の事を見るローラーに視線を向け、少し笑みを零した。


    トト「……そうだよな、お前らには本当の家族がいるもんな」


    トトは座っていた椅子から立ち上がり、顔を俯かせゆらゆらとローラーに近寄り、突然ローラーの胸ぐらを掴みその場へと鈍い音と共に強く押し倒した。


    ローラー「わっ!!!ト、……と……」


    ローラーはゆっくりと目を開けると、冷たいものがローラーの頬へと伝わっていた。自分の胸ぐらを掴む小さな手は、微かに震えていた。
    その様子を見たローラーは、震える小さな手を、ぎゅっと握りしめた。そして、心配そうにトトを見上げた。


    ローラー「……トト、……泣いてるの?」


    トトはローラーを押し倒し思わず沢山の涙を零してしまっていた。
    トトの言う通り、ローラーには元の優しい家族がおり、デュアルもローラーと同じ、本当の家族がしっかりと存在していた。それに反し、トトとおまるに家族も家も何もなかった。そんな状況から、誰よりも早く救い出してくれたのが今のチームメンバーだった。トトは悔し気に胸ぐらを掴んでいた手を離し、自分の情けない姿を見られたくないのか、そのままローラーの胸へと顔を押し付けた。

    トト「お前らは……ッ……お前らは大切な家族がいるもんな……!!!!ギギ達が居なくなったら俺達はみんな離れ離れになっちまうんだよ……!!!お前らは元の生活に戻って幸せな家庭で暮らして……それと同時に、俺らも……」

    トト「俺らも、元の生活に戻っちまうんだよ……!!!」

    トトは掠れた声でそう叫んだ。トト自身も自分勝手な望みを言っている事を分かっていた。自分達は所詮ただの友達で、現状的には一緒にいるだけなのに変わりは無いのだ。仮にギギ達が居なくなってしまったとしても、ローラー達は本当の家族と過ごす毎日に戻るだけであった。トトは今が楽しかった。幸せだった。そんな平凡で平和な毎日が壊れる事を、トトは誰よりも恐れていた。失いたく無かった。

    そんなトトを、ローラーはぎゅっと優しく抱きしめた。そして、ゆっくりと目を開け、トトの頬を呆れるほど優しく、優しく触れた。


    ローラー「……なに言ってるの、トト達も僕の大切な家族に決まってるでしょ」

    トトはその言葉を聞き、ばっと真っ赤になった顔を上げ、ローラーと目を合わせた。トトが見たローラーは、優しく、暖かい表情を浮かべていた。

    ローラー「……ぼくはみんなの事が大好きだよ。デュアルも、おまるも、トトも、ギギもビビも。そしてヘンリーくんも、ライリーくんも、ルイスくんも、じんべーくんも、ノアくんも。みんな僕の家族だもん。絶対に離れ離れになんかならないよ。……それに」


    ローラー「ギギも、ビビも、僕たちの事を大切に思ってくれてるはずだよ。……だから、絶対に帰ってきてくれる。……あの二人が、僕たちを置いてどこかに行くわけないでしょ?」


    ローラー「……ね?トト」


    ローラーはふふと笑いトトを抱きしめた。トトはローラーの胸元に顔を埋め、強く、強くローラーの服を握りしめた。そしてこれまで溜め込んでいたものを全て涙に変え、沢山の涙を零した。そして、今まで言えなかった素直な気持ちを、この場で吐き出した。

    トト「……おれ、俺……みんなと離れるのは嫌だ……!!今の生活がすきだ、みんな優しくて、みんな笑ってくれて……家族みたいに過ごしてくれるみんなが好きで……」

    トト「もう、っ、……もうッ……!!これ以上家族を失うのは嫌だ…ッ………!!!」

    トトはこれ以上に無いくらい素直に、素直に心を打ち明けた。普段からずっと我慢していた事を、全て吐き出した。そんなトトを、ローラーは全て受け止め、優しくトトの背中を摩りゆっくりと口を開け、優しく声を掛けた。

    ローラー「だーいじょーぶ、みんないるよ。誰もトトを見捨てたりなんてしないから。だいじょうぶだよ。だからそんなに泣かないで。言われなくても勝手にどこかいったりしないよ。僕たちも、……じんべーくんもね」


    ローラー「……ねえ、トト」


    ローラーは優しくトトの頭を撫で、いつも通りの変わらない声でトトに話しかけた。


    ローラー「……きっとさ。ギギもビビも帰ってきたらいつも通り笑って、ただいまって言ってくれると思うんだ。だからね」

    ローラー「……だからね、ぼく達も、ギギとビビが帰ってきたらさ」




    ローラー「みんなで笑って、おかえりって言ってあげよう」


    そう言ったローラーは、いつも通り、変わらぬ優しい笑顔を浮かべていた。
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