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    pome_ga_iru

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    pome_ga_iru

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    テツずとの父×ずとパート

    「お前が仮にもKを名乗るなら、子作りくらい経験ねぇのか」
     夫婦となる相手のことなら一人も幾度か考えたことがあった。光とされる本来のK一族以上に、Kの存在を途絶えさせぬための影たる一族の方が、世継ぎに関して意識が強かったことだろう。KAZUYAに婚約者がいたように、一人の父が嫁をとって子を為したように、一人も医者として成長した暁には、後継者を得るものだと思っていた。そしてその相手は一人が見出すのではなく、一族によって決められるのだろうとも思っていた。そんな漠然とした未来設計があったからか、学生時代の数少ない女子からの好意も、どこで目をつけられたのかも知れない年上の女性から誘われた火遊びも、まったくノれなかったことが懐かしい。
     それでも、肉体関係を得た…得かけたことなら一度だけある。この手の話をされるたびに、一人は己の父を思い出す。母を亡くして止まぬ涙のぬるさをまだ覚えている気になる。嘆きひび割れた声を上げながら一人に覆いかぶさった父は、その深い悲しみと同じところにまで、一人に落ちてきてほしかったのだろう。一人自身が子供ながらに得た喪失感では到底足りぬというように、父が落ちた穴へと導くように、彼は一人に手を伸ばした。そんな昏い夜はあった。
     結局、婚約者の話も父が一人に傷をつけようとした話も、父が消えたことによってなかったことになった。本当はどこかに残り続けているのかもしれないが、少なくとも一人にとってはすべて消えた話だ。
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