俺の嫁さん主様の機嫌を損ねさせてしまった。原因は私自身にあるのを自覚をしている。
ほんの少し、少しだけイタズラ心を混ぜて「結婚を申し込まれた」と伝えたのだ。
申し込まれたのは事実で、これを伝えればどんな反応をしてくれるのだろうかと、気になってしまい、つい……。
しかし、相手は教え子で、まだ5歳の幼い子供であり、私はその気持ちに応えることは勿論できないので、断るつもりだったのだが、主様の反応は想像以上のものだった。
目を座らせた顔は、元来の……どちらかと言えば強面の分類に入ってしまわれる顔を、更に畏怖らせるようなものへとなり、いかにもなへの字口が薄らと開かれた。
「どこのどいつだ」
その問いかけは予想していたもので、これでどうにか笑い話として持って行けると安堵する。
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