第六話 "アウイナイト"「大輝!見て見て!」
過ぎ行く日。孤児院の図書室で宝石図鑑を開けて、そいつは無邪気な笑顔でこちらに来た。
「この宝石、大輝の瞳みたいじゃない?」
そいつが指を指しているところには、真っ青な綺麗な宝石があった。
「綺麗だな。てか俺そんなに綺麗な目してるのか?」
「うん!大輝僕たちの面倒みてくれてる時いつも青くて綺麗な目をしてるんだよ!」
「ハハッ!なんか照れるなあ…自分の目が宝石みたいだとか!ありがとな!」
その図鑑に載っている大輝の瞳にそっくりだという真っ青な宝石の写真の下にこう書かれていた。
【アウイナイト】
和名⋯藍宝石
結晶系…等軸晶系
硬度…五.五~六
宝石言葉
「高貴」
「情熱」
「過去との決別」
親の顔を知らない無邪気な少年だった大輝の目は、その子にとっては宝石だったらしい。
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