ESでのバースデーパーティが終わったあと。ほぼ全員がレスティングルームの片付けに出払っていてがらんとしているニューディの事務所内にあるふかふかのソファで1人、微睡んでいた。
「凛月先輩!起きてください!」
「んぅ…うるさいなぁ、なぁに?」
「司です!ちょっと来て頂きたいところがありますので早く起きてください」
「えぇ…めんどくさいなぁ」
のろのろとソファから立ち上がると、ぐんっといきおいよく引かれる左手。
「わっ、びっくりしたぁ」
「ちゃんと付いてきてくださいね!」
「はいはーい」
スタスタと早足で歩いていくスーちゃんが立ち止まった先は、ボーカルルーム。
「ボーカルルーム?何するの?」
「いいですから、入ってください」
背中をぐいぐい押され部屋へ入る。と、響いたクラッカーの音。
「リッツ!」
「くまくん、」
「「誕生日おめでとう!」」
中にいたのは、海外にいるはずの2人。
「…え?セッちゃん?月ぴー?帰って来れないんじゃなかったの?」
「急いで終わらせてきたんだ!大事な参謀の誕生日を直接祝ってやりたかったからな!」
「感謝しなよねぇ」
「え〜嬉しい。ありがと〜」
「良かったじゃない凛月ちゃん、帰って来れないって聞いて寂しそうにしてたものね」
「ちょっとナッちゃん!」
「わはは!今日は思いっきりリッツを祝ってやる!リッツ!これ弾いて!」
「おっけ〜夜が明けるまで付き合ってくれるって解釈でいい?思う存分弾いてあげるよ〜」
「ちょっと、そんなこと一言も言ってないでしょぉ?俺とれおくん寝てないんだからねぇ?」
「大丈夫だいじょーぶ。急に帰ってきたってことは明日オフなんでしょ〜?」
「そういうことじゃないの!」
「ほら、ナッちゃんもスーちゃんもおいでよ。今ならお望みの曲を弾いてあげるよ」
「あら、いいの?」
「Marvelous!本当ですか!?」
ボーカルルームから微かに漏れるピアノの音と歌声は、夜遅くまで楽しそうに響いていた。