暑い、と暗がりの中のそりと半身を起こすと、横にあるほの白い肌が目に映り込む。薄い生地の半袖Tシャツも半ば捲れ上がり、やれやれとその人の足元に押しやられていたタオルケットに手を伸ばす。
「木兎さん、風邪ひきますよ」と口にしてからはっとしても遅い。
「また間違えたなぁ」
普段は叩いても起きないその人が欠伸混じりに目を覚まし、暑う~と唸りながらも腹にかけ直されたタオルケットを口元まで引き寄せる。
「そんなに木兎が好きかよ」
そういうのじゃない。その人も分かっているから咎める口調ではないけれど、気に食わないのは当然。
髪をわしゃわしゃと混ぜて、顔を近付ける。口唇を掠めとって、真正面から瞳を覗き込み、寝惚けていないのを分からせる。
「…これは俺だから?」
「当たり前です」
「誰にもしてない?」
「貴方だけです」
「…もっとして」
両腕で俺の首に柔く縋り付いてくる。
まとわりつく熱も、二人のものなら心地良かった。