東京の川もこんなに綺麗なんだ!と言われれば、そりゃそちら様には敵いませんわ~と返す。
彼らの地元も俺らの地元も、程々に都会で程々に田舎。
「また行きてぇなぁ宮城」
「そーだよお前ら行ったんじゃん!俺たちも行きたい!」
「残念ながら木兎さんは、今年で卒業です」
嘘だろ~!と一際煩い輩は放っておいて、「いつでも来いよ」と真夏の太陽を反射する川面をバックに、キラキラと眩しく微笑む宮城住みの人。
結局、あんまり接点持てなかったなぁ。
俺の後輩センスいいから。とコチラの好奇心と闘争心を他所に向け、気付けば夢中で師匠役を買って出て、肝心の君には何も教えることがないなんて。
「冷て~気持ちい~」
サンダルのまま川に入り、わざと俺に水を蹴って笑うから、こんにゃろ!と駆け寄って浅瀬で水の掛け合い。
澤村たちが早く来いよと遠くで手招きするのが見え、それに応じて俺に背を向ける菅原の手を掴んで、後で何とでも取り繕えるように、足を滑らせた振りで後ろから抱き締めた。