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    ジャンル雑多らき

    今のところ、ハイキュー二次のみ。
    Twitterからの避難所。長めの文章はpixiv
    https://www.pixiv.net/users/34470718

    ■ここにあるもの
    @shortshort_rakiで呟いてた短文
    ② pixivで1作品内にCP雑多で公開していたもの
    ③ 過去アカ(sugasugaswyk)で上げてた画像テキスト(画質悪し)

    月菅の短いのはこっち(ピクブラ)
    https://onl.la/2gt2JXg
    他CPのも、ここにない短文はピクブラにあるかも。

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    【黒菅】1RTごとに書く予定のない小説の一部分を書く(2021年8月29~9月21日)
    付き合ってない/両片想い/菅原さん音駒バレー部員if)
    リクエスト内容:「スガちゃん陰から見守り隊」の黒尾さん(と気づいている菅原さん)

    ##黒菅

    「気付いてるんでしょ」
    「…はぁ……まぁ」
     俺は未だに研磨の感情だけは読めない。一緒に帰っている時に話しかけられても、いつもスマホでゲームしてるから表情を変えることは滅多にないし、俺も彼の瞳にじっと見られるのを避けたいから彼の顔は見ないようにしてるし。
    「言っとくけど、おれとスガくんは違うよ」
    「…あー……うん、分かってる」
     分かってる。幼馴染みの彼と、高校入って部活動の時間だけしか付き合いのない俺とでは、黒尾の中での優先順位は1位と10位くらいの差があるってこと。
    「アイツはキャプテンで、いっこ下の幼馴染みが正セッターで、控えセッターの俺は同級生だから、いろんな葛藤があってのあの態度なんだろ」
     俺を傷付けまいと、先回りして自ら盾となって障壁を取り除いてくれているのだ。ただそれだけ。
    「いや、そうじゃなくて、えーっと」
     研磨は懸命に言葉を探していたけど、大丈夫。黒尾にも、もういいよってちゃんと言わなきゃ。


     RPGの世界に戦闘は付き物。こっちの世界でも俺は元々のスキルが全体的に低くて、仲間が増えていくと次第に端へ端へと追いやられて、結局チームから溢れてしまう。
     鍛錬も装備も弱いキャラは後回しにされて、味方がHPゼロになって補充要因として登場。当然、体力もなければ魔力も低い。装備も弱弱だから、雑魚キャラの一撃でみんなの10倍はHPを削られる。
     そんな時に、主人公の右腕であるアタッカーの黒尾が、主人公だけ守ってりゃいいのに、俺の目の前にさっと現れて代わりに敵の攻撃を受け、もちろんすぐやり返すけど、俺のせいで多少の傷を負ったりする。
     このゲームはちょっとおかしい。守られれば守られる程、そのキャラへの好感度が上がっていく。それは分かる。でも俺は黒尾とはそんなに接点ないし、会話も主人公への相槌を同時に打つくらいだし、俺からの好感度は上がっても、黒尾が俺に好感度を上げるイベントなんかあっただろうか? そんな記憶はない。
     でも既に、黒尾の俺に対する好感度はあからさまに高く、俺の方はもう90パーセントまで上がってる。これ、サブキャラ同士でも100パーセントにまで上がるんだっけ? 上がったらどうなる? 主人公差し置いて、サブキャラ同士のラブストーリー展開が挟まれたりする?
    (んなわけ、ないんだよなぁ)
     3年メンバーでレギュラーじゃないのは俺一人だけ。だから主将である黒尾は、セッターを俺にした場合の戦法をいくつか考案してくる。でも、実際に俺がコートに立つ機会はたぶんない。というか、俺がいると研磨が本領を発揮できない。だから俺は、
    「……それ、本気で言ってんの?」
     練習後、黒尾にまずそれを打ち明けた。
    「本気。黒尾も分かってんだろ? 俺がいるとさ、研磨が遠慮すんの。控えには球彦もいるし、俺はここで引くよ」
    「おまえっ……!!」
     ユニフォームの襟首を掴まれて、殴られるかと思った。背中をロッカーに打ち付けられて、部室内に大袈裟な音が響く。
     黒尾は信じられないという表情で顔を歪めて声もなく、それでも間近で俺の目ん玉を見据えて俺の決心が揺るがないと分かったのか、俺の顔の横を掠めて後ろのロッカーにガシャンと頭突きをした。
    (あー…ヤバいなこれ)
     ほぼ抱き締められてる格好に近いじゃん。そんなこと考えられるようなシーンではないけど、自分の耳のすぐ傍に黒尾の吐息を感じ、胸と胸も重なるギリギリの距離で心拍数が煩いくらいに上がっていく。俺、相当黒尾のこと好きなんだと自覚する。
    「その方が、お前だって楽になるだろ?」
    「……コーチに、なんて言うんだよ」
    「そうな~…」
     直井コーチも、高校当時は万年ベンチ組だったと聞く。俺と同じセッターだったから、そうだな。なんて言おう。
    「ま、そんなに重く考えんなよ。春高で全部終わるわけじゃないだろ?」
     黒尾だって、研磨の目上に他のセッターがいない方がいいって分かってる。それでも何とか頑張って俺を起用しようとしてくれてたけど、これが今の音駒にとっては一番いいんだ。
     春高東京都予選を前にして、俺は他の3年より一足先に部活を引退した。

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