「孝支もちゃんと名前書いとかんと、俺の弟に取られんで」
「うちにも弟いるから分かるわ~」
その辺にあったマジックペンで、プリンの蓋に自分の名前を書く。
信介がふと思いついたようにペンの矛先を変えて「…こっちにも書いとこ」と言うので、「それ油性ペンだろ!」とギャーと笑って暴れるが、なかなかに悪戯っ子な信介が、力づくで俺の額に自分の名前をキュ~ッと書ききる。
「くそ~。俺のが画数多いんだぞ!」と、負けじとお返しして満足するも、「これでお互いのモンやな」と細められた瞳が近付いてちゅっと唇を奪われる。
「…消えたら、」
「また書いたろか?」
その綺麗な笑顔は反則。