春待ちマチネおまけ「へぇ、それでその添い寝屋を英太くんは勧めたの?」
「まあな。なんか紹介した相手が及川の後輩の凄えセッターだったらしい」
「そんな子いたっけ?」
「覚えてねえ? 三年の時に白鳥沢でやってた県内一年強化合宿にいたセッター」
「ウーン、いたような気もするケド覚えてない」
「結局その時に連絡貰ったっきり、俺らも学期末とバイトで忙しくなっちゃって聞けず仕舞いだし」
「不自然なくらいに予定合わなかったヨネ。お、噂をすればご本人のご登場ダヨ! よっ! 重役出勤!」
「すまない、遅くなった」
「まだコースは始まってないから大丈夫だ。飲み物のメニューこれな」
「烏龍茶でいい。あぁそれと瀬見、お前に礼を言いたくてな」
「てことは若利くん不眠症治ったの? オメデトウ!」
「そうだ。天童も聞いていたか」
「ウン。さっきまでその話してて、知ってる子だったんだってネ! 添い寝でぐっすり眠れるもんなの?」
「案外人肌は馬鹿にならないぞ」
「あー、それ、ウチの奴も言ってた。安心できるって」
「ふぅん? マ、あるか分かんないけど機会あったら俺も試してみようかな。その子仙台にいるんデショ」
「悪いが奴はもう添い寝屋は辞めているから頼むなら別の人間になるな。それとなんというか、色々あってだな、その……」
「どうしたんだよ。若利にしては歯切れ悪いじゃん」
「どったの? いつもはスパーンってストレートなのに」
「……結論から言うと、恋人ができた」
「ハァ!?」
「若利くん、それって」
「件の添い寝屋だ」
「ダヨネェ!!」
「おい、俺は今日飲まないって決めてたけどビールにするぞ」
「英太くんもう一杯ヨロシク」