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    taiso_huku

    すけべな鉢雷など

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    続かない

    #鉢雷

    月の大きい夜だった。忍者にとっては、明るすぎる夜は天敵。しかし忍者の学校で過ごしている生徒たちには、特に関係がなかった。もちろん忍務の時には別だが、特に今日のように、明日がお休みで、夜更かししたって大丈夫な夜は。
    上級生になると夜な夜などこかへ出かけていく…なんて噂もあるが、夜な夜な出かけていく上級生は殆どが夜間演習である。たまに、先生の目を盗んで夜の街に繰り出す色男もいるにはいるが、五年ろ組、不破雷蔵と鉢屋三郎は夜な夜な出かけるタイプではなかった。2人は、自室で各々寛いでいた。

    「雷蔵、その本いつまで読んでるんだ?俺はもう終わったけど」

    三郎は変装道具の手入れをしていた。ひと段落ついたらしい彼は、雷蔵を急かした。

    「ごめんごめん、あと5ページだから、もう少し待って。そしたら明かり消すから」

    雷蔵は本に視線を落としたまま答えた。その態度に三郎は面白くない、と言いたげに口を尖らせる。
    静かな部屋に雷蔵の紙を捲る音だけが響いた。
    ペラ、ペラ、と紙の音を聞きながら、三郎は布団でじっと待っている。しかしその顔は、ただ待ってやっているだけの顔ではない。
    目を閉じて何かを考えたかと思えば、薄く目を開けてニヤニヤと笑う。手を何かの形に変えて、じっと見つめては、口角を上げた。その姿を誰も見ることはなかったが。
    やがて、雷蔵は息をフーッと吐いて、本を閉じた。

    「三郎、読み終わったよ。待たせちゃったね」
    「ん?いや、別にいいぞ」
    「じゃあ、明かり消すね」

    雷蔵が蝋燭の灯りを消しても、部屋が見えなくなることはなかった。窓から明るい月の光が刺すからだ。
    雷蔵が布団に寝転ぶと、三郎も布団に寝転んだ。…雷蔵の布団に。

    「三郎?」
    「さて問題です。俺は今何を考えているでしょう?」
    「………」

    楽しそうな三郎の顔が月に照らされる。雷蔵は三郎の考えていることを悟った。顔を見てわかったというより、もともと三郎がその気かもしれないとは思っていたのである。

    「……したいの?」
    「何を?」
    「何をって…」

    雷蔵は少し頬を赤らめて、一度口を閉じた。そして小さな声を絞り出す。

    「せ、性交を……したいんじゃないの?」
    「残念でした。ハズレ」
    「えぇ!?」

    恥ずかしいことをわざわざ声に出したのに、違うと言われて思わず雷蔵は声を荒げた。しまった夜だった、と慌てて口を押さえる。
    しかし違うなら、何故自分の布団に入ってくるのか?
    雷蔵は不思議そうに尋ねた。

    「…じゃあなに?」
    「まぁでも惜しいところだな」
    「惜しい…?」
    「雷蔵の乳首で遊ぼうと思ってね」

    反射的に雷蔵は腕で防御の体制を取った。
    半分引いていて、半分意味不明と言った顔である。
    三郎は困惑する雷蔵をいいことに、一瞬の隙をついて両手を掴んで縛り上げた。

    「なに?なに!?」
    「だって抵抗するだろ?」
    「そもそも何をするつもりなのかわかってないんだけど!」
    「気持ちいいことさ。でも君、気持ち良すぎると逃げる癖があるから」

    縛られた手首は痛くはなかった。三郎の得意な「痛くはないが絶対に解けない」縛り方である。悪戯の際、何度か縛られたことがある。不本意ながら。
    しかし痛くないからと言って縛られていいわけでもない。そろそろこの縛り方の抜け出し方を学びたいところだ。
    何とか抜けられないかともがく雷蔵を楽しそうに眺めていた三郎は、充分堪能したのか、寝巻きの上から雷蔵の胸の突起を優しく撫で始めた。
    突然の刺激に身体が少し跳ねる。三郎の角ばった中指で上から下に何度もなぞられると、そこが硬くなるのに時間はかからなかった。
    雷蔵は声を出すまいと口を真一文字にぎゅっと閉じた。いつもは暗闇に隠してしまうその真っ赤な顔は、大きな月の光で今日はよく見える。雷蔵は恥ずかしそうに出来るだけ月の光から遠ざかろうと身体を捩らせたが、縛られたままではうまく逃げられなかった。

    三郎は、先ほどまで撫でていた中指と親指で、乳輪を伸ばすように寝巻きを引っ張った。寝巻きの上からでもわかるほどに存在を主張しているその突起は、触ってほしいと言わんばかりだ。三郎はその間の指でトントンと優しく乳首を叩く。微弱ながらも、それは紛れもない快感だった。雷蔵は口を閉じている分、鼻息が少しずつ荒くなっていく。
    いつものがっついている三郎とは違い、少しずつ柔らかく刺激を与えられることに雷蔵は少しもどかしさを覚えた。しかし、三郎がおもちゃで遊ぶ幼児のような無邪気で楽しそうな顔をしているのを見て、やめてくれとは何となく言えなかった。
    トントンと叩く弱い刺激の中に時折爪で引っ掻くような強い刺激を混ぜられるようになると、不定期な快楽に段々と声を抑えられなくなり、思わずうわずった甘い声が小さく響く。一度開いてしまった口はもう閉じることができなかった。
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