無題#
「そういうのはちゃんと断ってきてよ!」
「僕はプロデューサーの勇気を買いたいけどね」
あろうことか乗っかるような発言をした千に、百はいよいよ頭から湯気でも出そうな勢いで血が煮えたぎるのを感じていた。そんな百の様子も露知らず、千は向かいのソファで涼しい微笑を浮かべている。
控室内に立ち込める空気の温度差は広がるばかりだったが、その程度でマネージャーの岡崎が態度を崩すことはなかった。
「千くんの方が乗り気なんですか? てっきり逆の反応をするかと思ってましたよ」
「だって、面白そうじゃない。僕たち、なんだかんだしたことないもんね? キス」
「いいから断っといて。今回以降もどんだけ積まれたって絶対NGだって伝えといてね」
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