扉を開けて懐かしい夢を見た気がする。
遥か昔、ずっとずっと過去の夢。
自分によく似た誰かが
背の高い誰かに寄り添う夢。
その雰囲気からでも十分に伝わる優しい空間。
あぁ、なんて素敵な空間なんだろう……
陽だまりのように暖かくて、心穏やかになれる空間。
繋がれた手は優しく、それでいて情熱的な熱さが伝わる。
互いに目を閉じ寄り添う姿は信頼してるからこその無防備な姿。
《いいな》
羨んでしまうほどに、二人の関係が素敵だった。
現実の自分達には無いものが詰まっていた。
「…なんだ、現実の俺達って?」
夢なのにおかしな事を思ったものだ。
でも、夢とは時に己の願望の表れだと聞いた事がある。
現実の自分は、素直になれず、遠慮したり我慢したり…
上手く自分を出すことが苦手だった。
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