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    aymsyb94

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    支部に置いてない奴はだいたいこっち
    R-18ドロ小説とか健全とかごちゃまぜ

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    aymsyb94

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    ワンドロでずばばば書いたマリンなアクスタパロ
    行方が見当たらなかったのでとりあえずここに

    #ドラロナ
    drarona

    海上のaright「わた、しが彼の竜の御令孫の護衛任務に……?」
    「随分と昔に世話になったそうじゃないか、直々のご指名だぞ……良かったなぁ、お綺麗な顔で取り入った甲斐があったじゃないか」

    勅命書を投げ捨てた直属の上司は忌々しげに俺を睨み付けている。
    アンタだってゴマすってペコペコ頭を下げているよりは憎たらしいと思っている高等吸血鬼に命を掛けて守り通すぐらいの気概があれば良かったな。

    「……現刻を持って予備役将校訓練課程を終了、よくもまあ出自のわからんものがここまで成り上がったものだ、とっと出ていきたまえ」
    「……お世話になりました」


    本来ならあり得ないスピードでの異例の出世だ。
    退室した後も周囲の候補生達が俺を見る視線がぎらついている。
    ……それで良い、俺も後で胸が痛まないだろう。


    俺は負傷兵に成り代わって軍に潜り込んだ鼠だ。
    兄貴には何度も止められたが、この世界で高等吸血鬼鬼の支配下を受け入れた人間と、反対勢力として対立しあっている勢力は一方的に蹂躙されつつあった。
    しかし、海上戦に打ってでた途端、高等吸血鬼達の圧倒的な力は激変した。
    高等吸血鬼達の活動時間は夜だ、特に水中で陽光に照らされる事を嫌い、程度によっては焼け爛れる者もいる。
    そうなると、海上戦ではこちら側が圧倒的に有利に事を進めた。
    ……だが、ここ最近水中と日差しを克服した高等吸血鬼が度々現れるようになった。
    途端に苦戦を強いられるようになったが、向こうも多くの高等吸血鬼を一斉に展開するほどの研究は進んでいないらしい。


    だから、当時訓練生であり、兄貴の補佐官として従軍していた俺がちょうど潜り込むにはちょうど良かった。最大の目的は海を恐れない高等吸血鬼の克服手段と弱体化だ。

    そう意気込んで潜入してみたは良いが、高等吸血鬼達は享楽的に戦に刺激を求めるだけで侵攻を進めるつもりは欠片もないようだった。
    寧ろ、高等吸血鬼を後ろ楯に持つ人間達の勝手な侵略行為に手を焼いているようだった。

    「敵ながら同情するぜ、まったく……」









    「やあやあここまで遥々ご苦労だったね、私の事を覚えているかな?私はしっかり覚えているとも!」
    「はい、勿論です……本日よりお世話になります」
    「いやあ待ち遠しかったよ!何せ気まぐれに拾った負傷兵がここまで実力をつけてのしあがってくるとは……嬉しいことだね!」
    「……貴方に救って頂いたこの身はどうぞいかようにもお使い下さい」

    肩に背負っていた儀礼用の捧げ銃の負い革を背中に回し、着剣捧げ銃を行う。
    目の前の吸血鬼は軍を統括する竜の一族の直系だ。
    最敬礼が望ましいだろう、潜入工作とは言え負傷していた俺を助けてくれた恩もある。

    「……ふふふ、我が戦場へようこそ【蒼銀】の、新しい旅路(地獄)へと進む覚悟は出来ているかい?」

    黒いマントを纏う軍服の男はにこやかに敬礼を返した。口角を上げた事で覗かせた鋭い犬歯が、俺とは違う長命種であるとはっきり分かった。






    「さあさあ蒼銀くん、お味はどうかな?」
    「美味しい、です……お料理上手なんですね」
    「ヌンヌ!」
    「そうとも!私の料理は全てジョンによる味見によって完璧な配合で作られているからね」
    「御馳走様でした……ところで、その格好はどういった意図が……?」


    君の最初の任務だよと身構えていた俺は目の前のカレーライスを促されるままに食べた。
    隣の席で前掛けをした可愛いマジロ……ジョンも美味しい!美味しい!と何度も鳴いている。
    綺麗に平らげたカレーライスの皿はサッと取り上げられてしまい、皿洗いぐらいはと立ち上がるとな直属の上司がなんとも不思議な格好をしている。
    水兵のモチーフをお揃いで着た上司と可愛いマジロが浮き輪を持って、今にも海へ飛び出さんばかりの格好をしている。
    実際に海に出て日差しを浴びたら死ぬのだが。

    「ああこれ?この後ジョンによる軍のイメージアップ活動があるんだけど、……うちのお母様が私にも着て欲しいって送ってくれたんだよね……まあ軍服より重くないし堅苦しくないから良いんだけどさ……悪いんだけど写真を撮らないといけないから後でつきあって貰っても良いかな?」
    「了解しました」
    「ヌー!」
    「うんうんジョンも一緒だよ」

    一部の高等吸血鬼達にとっては竜の一族の……特にこの男はすぐ死ぬと揶揄されているが、今も戦場で飛び交う高等吸血鬼の日差しと水上への克服を成し遂げさせたのはこの男によるものらしい。
    階級上は少佐となっているが、肩書きとしては軍事技術局局長だ。
    今まで高等吸血鬼の戦力を飛躍的に向上させた事で今の地位についているらしい。
    現場からは人間の扱える銃火器や人を傷つけるための戦争の道具にはからっきし興味がなく、やりたくないことは全く意欲が無いらしい。……本当に不思議な人だ。



    「ドラルク~~~っ!!ありがとうこれでミラさんも喜ぶよ!!」
    「これで暫くは凌いで下さいよ……また七五三は困りますからね!」

    港のイメージアップ活動に訪れていたのは彼の父親だった。一度参戦すれば敵味方関係なく嵐を巻き起こすパワーで一層する元帥を父親に持ち、冷静な指揮と人間との融和を図る人格者だ。
    海軍大将としても様々な実績を上げている。

    「肖像画も良いけど時間が掛かるからね、……ああ、彼に撮影して貰ったのかい?」

    護衛として控えている俺を視界に入れると、こほん、とひとつ咳払いをした。

    「知っているだろうけど、父上のドラウス海軍大将殿だよ」
    「はっお会いできて光栄です、本日付でドラルク少佐の護衛を勤めさせていただきます、ロナルド中尉であります!」
    「息子を宜しく頼むよ……ああいけない、そろそろ時間だ」
    「お母様にくれぐれも宜しくお伝えくださいね」
    「分かったよ~~【東軍司令部の元帥閣下もご壮健であられるよ】」
    「……なるほど、分かりました」

    元帥閣下、竜の大公は現在中央司令部にいる筈だが……何かしらの符号だろうか。
    日光をものともせずに去っていった海軍大将殿を見送った少佐はふう、とため息をついた。

    「まったくいつまでも子供扱いでね、さあそろそろ時間だ……ジョン宜しく頼むよ」
    「ヌーーーー!」



    ステージ上にリズム良く旗振りをこなすジョンと、広報部の軍服を纏った女性士官が民衆に向けて【かいぐんってどんなところ?】という子供向けの広報動画の内容を紹介している。
    残念ながら少佐は日光の下に出られないため、日傘を俺が刺した上で一時的に借りたビルの一室からジョンの頑張りを見届けている。

    「う~~ん流石は私のジョン、民衆の心をがっちり掴んでいるな」

    ヌ♪ヌ♪ヌ♪と音に合わせながら、女性士官の相槌を打つ様は可愛らしいの一言に尽きる。
    最後には高等吸血鬼の紹介も出ていて、人間の皆さんとの友好的な未来を目指しているよ!の言葉で締めくくった。
    随分とご高尚な事だ。

    「随分と高尚な事だって思ってるね」
    「……出てましたか、顔に」
    「いいや?でも目は口ほどに物を言うって言うじゃない……君のその蒼いひと……ッ何だ!」
    「申し上げます!二時の方向より奇襲あり!少佐殿こちらから避難、を……な、何をする?!」

    ステージ上には被害は無いが大きな爆発音と、非常ベルの音に気を取られるが、たった今避難誘導を告げた士官の指差す方角から銃火器を装備した軍人特有の足音がする。

    「そっちに少佐殿を誘導して何をするつもりだ、てめぇの仲間と合流でもすんのかよ」
    「ふ、ふざけるな……何の証拠があってそん、な……ヒッ!」

    懐から取り出した回転式拳銃の銃口を向けると、俺が式典用の捧げ銃しか持っていないと思っていたのか士官の顔に動揺が走る。
    随分と生温い教育を施されてきたようだ、戦場では使える物はなんでも使え、それが兄貴の教えであり、回転式拳銃の携帯を許可してくれた少佐の好ましいところだ。

    「……さて、弾は六発……相手してみるか?」
    「こ、こんな筈では……」

    戦場でははったりも必要だ。
    士官は把握していないようだが、階段を上がってくる賊達の中にサブマシンガンを所持している奴がいる。
    どういうことだ、少佐の身柄を拘束したいだけなら必要ないものだ。

    「ロナルドくん、ヒントをあげようか?」
    「……お願いします」
    「東方司令部にはね、高等吸血鬼の軍属は昔から居ないんだよ」
    「そう、いうことですかっ……少佐、失礼します!!」
    「おっと」

    防弾ガラスでないビルのガラスなど一発撃ち込めば、蹴りひとつで十分だ。
    日傘を少佐に持たせたまま、粉々に割れていく硝子片から守るように俺のマントを被せて飛び降りた。

    「っ、らあああぁあっ!!」
    「アハハハ!凄い!三階建てのビルから飛び降りるなんて最高にクレイジーだ!!」
    「喋ってると舌を噛みますよ!」

    片腕でも抱える軽さに少し不安を覚えながら、儀礼用の捧げ銃の銃剣部分を思い切りビルの壁に突き刺した。
    コンクリートと、録に磨いていない銃剣では荷が勝ちすぎている。折れなかっただけでもマシか。
    コンクリートに突き刺さった場所はまだ二階ほどの高さだが、これなら少佐の身の安全は守られただろう。
    ――そう、安堵した瞬間。

    「ロナルドくん、上!」
    「っ馬鹿野郎が!!少佐ァ、しっかり掴まっていて下さいよ!!」
    「しっねえええええええ!!」

    俺達を追いかけて飛び降りてきた軍人がサーベルを振り下ろそうとしている。
    一瞬の事だった。銃剣から手を離した俺は回転式拳銃で軍人の両腕を二発ほど片手で発砲し、サーベルを手離さざるを得なくなった軍人を足場にして、軌道修正を図った。
    目的の場所は、予め調べておいた無人の雑居ビルだ。
    飛び降りるときと同じように窓ガラスを破壊し、足場にできる限りの力を込めて少し距離の離れた雑居ビルへと身体を丸めて飛び込んだ。

    「ぐ……っ!少佐、ご無事ですか……」
    「何とかね……君凄いね、慣性の法則何処にいったの?……あと、よくここを調べていたね」
    「要人警護に失敗があってはいけませんから……ご報告が遅れてしまい申し訳ありません」
    「いいよいいよ、来て早々にこれだけやってくれたんだ、だから彼には必要ないと言ったんですよ……お父様」
    「海軍大将閣下……」
    「ふむ……事前準備を怠らず、ドラルクのすぐ死ぬ性質を利用しなかった事と言い……そうだな、及第点だ……すまないね、東方司令部の膿を吐き出すのに利用してしまった」
    「やはりそういう事でしたか……」

    軍の中でも派閥争いは昔からある。
    高等吸血鬼をよく思わない軍人も少なからずいるようで、東方司令部の幹部はその一派だそうだ。
    確かに少佐にヒントを貰ったからギリギリ及第点ということか。

    「竜の一族の直系であることと、私の頭脳を狙う者は多くてね、権謀術数は勿論のこと、君も大いに働いて貰うつもりだから宜しくね」
    「……拝命しました……っ」
    「あ~~~っどこか身体が痛む?!片手でリボルバー撃った時は何かの冗談かと思ったけど、ん?あ、いー匂いがする……」
    「しょ、少佐おやめください、汚いですよ!」
    「……あ、……美味しかったのに」

    硝子片で切ってしまったのだろう。
    滲み出た血をべろり、と舐められてピリッとした痛みが走った。

    「おや、生き血が苦手なドラルクが珍しいこともあるものだ……とりあえず消毒をしよう、立てるかね?」
    「は、はい」
    「息子を良く守ってくれた、宜しく頼むぞ中尉」

    海軍大将自ら手をさしのべるとは、愛情深い息子思いの父親なのだなと思いながら、確かに頷いた。

    少なくとも高等吸血鬼達は人間との融和を願っている、ならば俺のするべき事はたったひとつ。



    裏切り者だと罵られても良い、どちらの感情も知ってしまった今の俺には戦争を終結させる力は無い。
    だけど、変わり者だが優秀なこの上官を守り続けることが出来れば、きっと何かが変わっていく。

    ――そう、思ったんだ。










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