私だから好きなんじゃないのか???「お前は人間じゃねぇから、だから好き」
秘めた恋心を告白するみたいに、頬をほんのりと赤く染めて嬉しそうに目の前の恋人は言い放つ。
本当に、ほんとうに嬉しそうに言うものだから、私はお前のためならば人間になってもいいんだよ、という言葉を呑み込んだ。
だが、そうか、この人の子は私が人でないから好きなのか。私は愛しい人間たちの中で一人だけ、特別扱いをしてもいいと思えるくらい、お前自身のことを愛しているのになァ。随分酷いことを言う男だ。
散々私は繊細だと言ってきたのに、そんな私を傷つけるようなことを言ってのけるのか。あァ、酷い酷い、こんなにも心の底からお前を愛して、尽くしてあげる男に向かってそんな、そんな、人でなければ誰でもいいみたいな発言、到底見逃せるものじゃあない。
一つ息をついて立ち上がる。椅子が床と擦れてズ、と音を鳴らした。未だに夢の中みたいな目の前の人の子に近づいて、その手を取った。力任せに引っ張って、立ち上がらせる。椅子がガタン、と大きな音をたてた。え、エ?と混乱しているのだろう間抜けな顔も、可愛いよ、お前は。
さて、今日は薄情な恋人に、惚れ直して貰えるように、素晴らしい1日にしようじゃあないか!
「エスコートは任せてくれないか、ミスタ!」
「ハ?いや何の話!?」