ブレーカー・ブレーカー 三十度を容易に超える、風ひとつ吹かない熱帯夜だった。窓の無いせせこましい部屋で、オレたちは火照った身体を擦り合わせていた。
最中は暑さのことなど忘れてしまうのに、出すものを出し切ってしまうと、空調もろくに効かない安ホテルのベッドの上でいつまでも溶けたキャンディみたいにべったりくっ付いている気にはどうしてもなれない。オレは腰の立たなくなったケチャップを置いてシャワーを浴びることにした。ボイラーの具合が悪いのか待てど暮らせどぬるい湯しか出てこないが、しかし今はこの温度が丁度良い。全身にへばりついたアイツの体温を洗い流してくれる。
事が終われば、空っぽになったソウルはすぐに元の形を取り戻して、平然と胸の真ん中に収まる。まるで何事も無かったかのように。なのに、指の先に、口の中に、アイツの灼けるような体温がいつまでもちりちりと残るのだ。念入りにぬるま湯をかぶり、身体の表面からその残り香のような熱を拭い去る。
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