童心に帰る(パラソルの下でくつろいでいた桃ちゃんとそこへ休憩しようと戻ってきた東堂)
「ねえ。加茂くん海に来たの初めてなんだって。」
「それがどうした。」
「だからー東堂くん監視よろしく〜」
「は?なんで俺が」
「私たちか弱い女子じゃ止められないもん、メカ丸も海に入れないし」
(と言って海を指す)
「はあ」
ため息をついて指さした方へ向かう。
海は存外心地よい。自分の術式とは相性が悪く任務としても一度も来たことがなかった。
「もっと入ってみたいな」
「もっと」
もっと
「おい」(腕を掴む)
(我に帰る)(振り返る)
「お前、今まで海に来たことないんだってな?海はな」
呼ばれるんだ、気をつけろ
(そう言って手を離し踵を返して浜へ戻る)
(それに続こうとするが泳げないし波もあるしもう肩くらいまで浸かっているのでなかなか前は進めない)
「とうっ」
ねえこっちへおいでよ
(海側に腕を掴まれる)
(そうか、これに私は呼ばれた…)
「どんくせえな、さっさと上がるぞ」
(いつの間にか戻ってきた東堂にもう一度腕を引かれる)
「うわっ」
(海側の腕を掴む力はすっと消えた)
(手を引かれる幼少期の回想)
悔しいが嬉しいだなんて
(唇を噛み締める)