犬も食わない話「レイシオ、君はいい加減そのやり方を見直した方がいい」
「いつも僕の忠告を聞き入れない君が、それを言うのか?」
昼下がりのカンパニーの廊下に、激しく口論をしている声が響いている。
「ああ…またやってるよ、あの二人」
すれ違った二人組が呆れたように口にして、立ち去った。
角を曲がると、遠目にも目立つ二人組が今にも掴みかかりそうな雰囲気で言い争っている。
一人は戦略投資部のアベンチュリン総監。もう一人は、彼とパートナーを組んでいる技術開発部のレイシオ教授だ。
二人の横で頭を抱えている女性は、総監の秘書だろうか。
ご愁傷さまな事である。
そして、遠巻きにパラパラと野次馬が囲んでいる。もちろん、廊下のいざこざを目に止めて、野次馬に混ざらずUターンしていく人もいる。
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