5月半ば、続き。郊外型の巨大な家具量販店まで買い物に行きたい。と言う釘崎に無理やり付き合わされた俺の隣を、なぜか狗巻先輩が、ジャムを塗りたくったトーストをかじりながら上機嫌で歩いている。
朝。待ち合わせ時間ギリッギリに現れた釘崎に、小言を言う気力もなく、まあ、ギリ間に合ったんだから許すか。と、諦めて歩き出そうとしたその時。
「ちょっと待って。狗巻先輩も呼んでるから」
「おい、なんで先輩なんだよ、どうせ荷物持ちさせるつもりだろう。失礼だろ」
都心からは車がなければ無理だろうと思われる人気のその店が、頑張れば呪専から歩いて行ける距離にあると釘崎が知ってからというもの、暇があれば荷物持ちとして虎杖が駆り出されていた。なにしろせっかちな釘崎のこと、配送で後日受け取るなどということは、はなから選択肢にはない。
3265