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    miNa1423

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    オメガバ カブユウ 5話
    望みのない夜のボツにしたバージョン。
    ピクシブにあげた方だとなんだか寂しすぎるけど、これはやり過ぎたかな。

    望みのない夜(ボツバージョン)「待ちなさい」
    腕をつかまれ逃げることができなかった。カブの裸足が土に汚れているのを、見ながらユウリはカブの声を聞いていた。
    「ポケモンに乗ってきたのか、この時期の夜に」
    信じられないと、嘆息をつくカブに、顔を上げることのできないユウリ。
    「ユウリ君、言いたくないなら言わなくてもいい、ただそんな状態の君をこのまま返すわけにはいかないよ」
    強引に引かれる腕が痛む。
    矛盾している。
    フェロモンを持たない人、私のフェロモンに惑わされない人、だからこそ、彼を選んだはずなのに、私は何を望んでいるの?
    私をオメガではなく、ただのユウリとして、チャンピオンとして扱ってほしかっただけじゃないのか。
    そのためだったら彼に抱かれてもいいとすら考えていたじゃないか。
    最低なことを望んでいる。
    ユウリをオメガとして扱うこともなく、それでいて、愛してくれうる存在を。
    「さっきお風呂を沸かしたばかりなんだ。とにかく体を温めなさい」
    ユウリの腕を引く力は弱まることなく強引に脱衣所まで案内された。返事をすることのないユウリを腕力だけで押し込むと、さっさとカブはその場から去った。
    しばらく呆然としていたユウリだが、どうすることもできないことに気づきゆっくりときていたコートを脱いだ。確かに、夜の雨露に濡れたコートは冷たい。
    コートを脱げば確かに残るダンデのフェロモンを感じた。威嚇も魅了もしないただ降り注ぐだけのフェロモンに当てられた服。
    ダンデは悪意があってやったわけではないだろう、鋭い人だ。
    カブとユウリの結婚の意図。カブの意図をくみ、これから先のことを見据えていたのだろう。
    シャワーで体を流せば、雨露と一緒に簡単に流れていった。シャンプーとリンスの人工的な香りが体を包めば、それがどんな香りかすら忘れてしまった。
    浴槽に入り、手足を伸ばせば指先にまでぬくもりが広がる。じんわりとしみこむようなぬくもりはどこかで感じたことのあるものと似ていた。


    『服を貸してもらえませんか』
    メッセージを送る。この距離で、同じ家にいながら気軽に言葉も交わすことのない関係も歪なのだろう。ましてや、私たちは戸籍上共に生きると誓った仲だ。
    すぐに、脱衣所の扉がノックされる。
    「ここに置いておくから、他に必要なものがあったら連絡して」
    優しく気遣いのある人に似合わず、素っ気ない言い回し。返事をする間もなく去って行く足音。何でもひとりでできるくせに不器用な人だ。
    少し大きな白いスウェットはおろしたてなのだろう。
    リビングにいくとカブはソファに座って本を読んでいた。ユウリに気づくと本を閉じて顔を上げた。
    「体は温まったかい?何か食べれそうなら作るけど、それとも、スープでも」
    カブの言葉が止まった。
    ユウリがカブにしがみつくように、抱きしめたからだ。ユウリからカブに触れるのは初めてだった。
    風呂上がりの暖かい体が合わさって、少しずつ少しずつ同じ体温になっていく。カブは諦めたかのように、ユウリの背中に手を回して、そっとなでる。
    ユウリは太い筋のある首元にばれないようにキスをした。
    フェロモンの香りのしない首元はただただ暖かく、少し熱すぎるくらいだった。



    「すまない、気づいてあげられなくて」
    僕には分からない、
    言葉にするのがつらいだろう、それは分かる、
    「もしかしたら、僕じゃなければ気づいてあげられるのかもしれないね」
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    miNa1423

    CAN’T MAKEカブユウ前提で、ユウリさんが振られる話。過去に書いた話を加筆修正したもの。
    この後、カブさんからはっきり別れようと言われボロボロになるユウリさんまで書いたものの、どうやっても修復できず、保留行き。
    フラれ話「ガラルにはいないかもしれないけど、世界には君より強い人がいるかもしれないね」
    ちょっとした雑談だった。
    彼の故郷ホウエンのポケモンから話が広がっただけ。
    その話をしてから、何となく頭に残っていた。

    私よりも強いトレーナーがどこかにいると、

    ダンデさんを打ち破り、私自身もダンデさんと同じように長期間チャンピオンの座に立っている。もちろん、悔しい思いをしたこともあるし、完全に力を出し切ったバトルができたかと言えば違う。まだまだ改善の余地はあるのは私自身がわかっている。
    それでも、私はチャンピオンの座に立っているということは、
    私が負けることはない、と私に思わせていた。

    きっと、それがおごりだったのだろう。


    ワイルドエリアの奥、人が来ないような場所に自分以外の存在をみることになるとは思わなかった。その人は、赤い帽子にラフな格好をした、私よりも少し年上な男の人だった。黒い髪にすっとした顔立ちがなぜだか彼を思い越してしまう。
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