さんにん「…で?いつ出ていくんだ?」
置いたグラスが鈍い音をたて、中の麦酒が少しこぼれそうになった。
ここはハテノ村の宿屋「トンプー亭」。辺境の村にしては設備も充実していて中も広く食事ができるテーブルがいくつか置かれている。二階のテラス席からの眺めは格別だが、常連客が毎日の様に居座っているので、今夜の席はこっちだった。
「えー?分かんないよぉ。だって、荷造り大変そうだし」
空のジョッキをふらふらさせながら、すでに顔を真っ赤にしているリィレが言った。
「ツキミ―!もう一杯!」
「こっちはお前の家に運ぶ荷物の準備、もう出来てんだから」
「何それ、はやっ!
戻らない”かもしれない”なんだから、明日戻ってくるかもしれないでしょ!」
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