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    すすき

    ブラカイ(カ受)/カプ無

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    すすき

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    イベ前妄想妖パロのブラカイ
    アカキツネの求愛行動が、鳴き交わし→追いかけっこ→ダンスというかわいい感じのやつだったのでカインにさせたかっただけの話

    唇を塞げば、酒精が舌に絡みつく。燃えるような熱さに、ひどく酔っているのだと知れた。それもそうかと床に転がる酒瓶を見遣る。ブラッドリーとしても少々飲ませすぎたかと後悔する量ではあった。
    呼吸がままならないほど笑い転げていた男が大人しくなったのを見て、唇を離す。ぼんやりとした金色と間近で目が合った。嬉しそうに蕩けた声で名前を呼ばれる。
    「ブラッドリー」
    「何だよ」
    返事をしてやれば、カインがくすくすと笑い声を上げる。また名前を呼ばれた。
    無視することも出来たが、甘えるように裾を引かれれば仕方ないと思えてしまうのだから、どうしようもない。短く返事をすると、ますます目元が甘く蕩けた。もう一度名前を呼ばれ、返事をし、それを繰り返す。何が楽しいのかと思うが、付き合ってやっている時点でブラッドリーにそれを批判する権利はないも同然だろう。
    ただ、さすがに両手の指に並ぶ程繰り返されれば嫌にもなる。口を塞いでやろうかと顎に指を添えたところで、カインが唐突に立ち上がった。狭い部屋の中、弾むような足取りで歩き出す。ぐるっと部屋を一周したかと思えば急に不服そうな顔になって、座るブラッドリーの手を引いた。
    「すわったままじゃ、だめだろ」
    あるいて、と立ち上がった背を押される。骨がめり込みそうなほどの強さに、抵抗するのも面倒で足を動かした。後ろからは浮かれた足音が聞こえてくる。どうも何か理由のある行動のようだが、意味が全く掴めない。問おうにも、こんな酔っ払いにまともな答えが言えるとは思えなかった。ため息を吐く。
    急かされるままに部屋を二周すると、後ろから腕が伸びて手を掴まれた。上機嫌な笑顔が目の前にやってくる。そのまま、ゆらゆらと体を揺らし始めた。それが踊りのつもりなのだとしばらくして気づいて、だから何だと眉間に皺が寄る。足の動きに合わせて揺れる耳を見ながら、ため息を吐いた。

    ――というところまで話し終えて、ブラッドリーは口角が上がるのを止められなかった。
    目の前の顔が真っ赤に染まり、赤茶の毛並みに覆われた耳が弱り切った風に伏せられている。あまりの恥ずかしさにか、潤んだ金色がそっと伏せられた。勿論それを許すブラッドリーではない。
    顎を掴んで顔を覗き込んでやった。
    「何だよ、理由は教えてくれねえのか?」
    「う……いや、あれには、その……」
    別に理由などないと、消え入りそうな声が言う。下手な言い訳を鼻で笑い飛ばした。熱を持った耳を撫でる。
    「それが通ると思ってんなら、舐められたもんだな」
    「思っては、ないが……やっぱり、言わないとだめか?」
    「俺様の頼みを断れるってんなら、好きにしたらいいんじゃねえか」
    ただし覚悟はしておけよと言い足せば、唸り声が返ってくる。うろうろと落ち着きなく動く金色を楽しく眺めさせてもらった。ここまで動揺するのも珍しい。泥酔した自分を恥じている、などと拍子抜けな答えではなさそうだとますます気分が上がった。
    寸刻悩んだカインが、意を決したようにブラッドリーを見つめる。
    「……笑わないでくれ」
    そう言って近づいた唇が、耳元で答えを囁いた。
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    すすき

    DOODLE【ブラカイ/パラロ】
    ボスにキスしたいなって思うカインと、カインをかわいがりたいボスの話。
    誕生日ボイスがめちゃくちゃなブラカイで強すぎてしんで、何かもういちゃいちゃしてくれないと割に合わないなって思って書いました。
    いつものいちゃいちゃです
    あ、キスしたいなとふと思った。
    カインにとっては唐突なことではなかったが、うまそうにグラスを傾けるのを邪魔するのは少し気が引けた。今日はとっておきだと言っていたから。でもちょっとだけ、頬や額にならと考えて、それだと満足できないだろうなという結論に至って小さくため息を吐く。ほんの些細な吐息に気づいて、どうしたと聞いてくる視線に、やっぱり好きだなと思う。
    「なあ、ボス。……キスしていいか?」
    結局黙ったままではいられなくて、手元のグラスを置いた。ブラッドリーが楽しそうに喉を鳴らす。
    「さっきから考えてたのはそれか?」
    気づいてたのかとも言えずに頷くしかない。自分でもちょっと挙動不審だったかもと思う。
    テーブルの上のボトルはまだ残りがある。ブラッドリーがカインも好きだろうと選んでくれた酒なのは知っている。いつも飲んでる安いエールみたいに一気飲みして楽しむようなものじゃないのも分かってる。グラスに口をつけたままじゃキスはできないけれど、二人きりでゆっくり酒を飲んで話す時間も大切だ。
    1972

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