初心なタル 食欲、性欲、睡眠欲が凡人の根源的な欲求であるが、ファトゥス第十一位・「公子」タルタリヤは性欲が戦闘欲にすげ変わってしまったような男だという。鍾離と相対するとき、彼はあくまで協力を求める者として慇懃な態度を崩さなかったが、なるほど。大理石の床に開いた大きな穴を見るに、どうやらそれは本当のことのようだった。送仙儀式が執り行われるよう取り計らったり、魔人オセルを復活させたりと、岩神モラクスの心を手に入れるため彼は彼なりに奸計を巡らせていたようだが、本来、闘争こそがタルタリヤの本質なのだろう。
純粋な所感としてそう述べたところ、「ただの狂犬よ」と女はバッサリ切り捨てた。
「躾のなってない、ね。扱うのに苦労するんだから」
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