お願い、僕を匿って! 中庭に面した廊下を歩いている途中、面白いものを発見した。
揺れる低木から突き出ている人の下半身を前にして、フレッドとジョージは互いの視線を交わす。
「こりゃ一体、どういうことだと思う?」
「さあ? 事情はまったく想像できないが」
言いながらジョージはにやっと笑った。
「なんだか見覚えのある尻だと思わないか?」
細い枝が密集した低木の下にしゃがみ込み、今もなお葉と枝の中へ突き進もうとしているその人物へ、フレッドとジョージは声をかけた。
「やあ。間違いなけりゃ、ハリーだよな?」
「何処かへ向かう途中かい? そこに道なんてあったっけ?」
「あ!フレッド?ジョージ?」
二人の呼びかけに、枝葉の中から返事があった。聞き覚えのあるその声に、ジョージの推測は正しかったということが分かる。枝をみしみし軋ませながら下がってくるその姿にフレッドとジョージはもう一度視線を交わした。笑うのを堪えた顔で見合って、こくりと頷く。ようやく体の上半分まで現したハリーの真面目な表情が見えたとき、二人は笑わないでおいて良かったと心底思った。全身小枝と葉っぱに塗れ、くしゃくしゃした黒い髪にまで枝葉を絡ませたハリーはそれらを取り払うよりも先に伸ばした手で、フレッドのローブの端を掴んだ。
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