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    にわとり

    @niwatori_576

    ロナドラ置いてます!

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    にわとり

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    【ソファと棺桶6】展示品おじょるた!

    #ロナドラ
    lonadora
    #おじょるた
    #反転ロド
    invertedRod

    奇跡が重なれば運命に変わるみたいに眼前に広がるのは色鮮やかな青い薔薇、薔薇、薔薇。吸血鬼の性質故に全てに視線を走らせるとその数なんと999本。

    階段の踊り場を埋め尽くす青い薔薇。その中心に差し込む月光を湛え佇む深紅。

    目の当たりにした光景は美しいという言葉を超えて神秘的だと言えるだろう。

    「お嬢、さん…?これはいったい…」

    私は深紅、もといお嬢さんに問いかける。すると彼はにこりと満足気な笑顔を浮かべながら口を開いた。

    「これは私の『想い』ですわ」
    「想い?」
    「ええ、想い」

    一歩、また一歩とこちらに近づいててくるお嬢さんはなんてことのないように無数の薔薇を優雅に避けなが続ける。

    「わたくし、最近思いますの。おじ様はどこか焦っているのではないか、と」

    その言葉にチクリと心臓を刺されたような痛みが走った。

    お嬢さんは鋭い。退治人としてのそういった能力は言わずもがな、日常生活においても人をよく見ている。

    お嬢さんから発せられた言葉は口調こそ疑念を抱いているようなものだが視線や声音が語っているのは確信そのもので。決して隠し通せると思っていたわけではなかったが、こうもあっさり見抜かれてしまうとは。

    強く確信を持った相手にこれ以上誤魔化すことは不可能だろう。

    「君の言う通りだよ」

    確かに私は焦っていた。

    だからと言ってお嬢さんの態度に不安や不満があるわけでは決してない。お嬢さんはいつだって抱えきれないほどの愛を注いでくれるし、私もそれに応えたいと思っている。

    けれど。共に時間を過ごしていると改めて感じる生きる時間の違い。それがどうしても頭の中を侵食していき、えも言われぬ焦燥感に駆られた。

    お嬢さんと初めて手を繋いだのは恋仲になってから何日目?お嬢さんと初めてキスをしたのは何ヶ月目?

    ではそれ以上は?それ以上は何年かかる?

    そんなことではお嬢さんはいつか、いつか……!

    「おじ様」

    その一言で我に返るとふわり、花のような笑顔が目の前に。

    「この時代にわたくしが産まれたこと、このお城でおじ様に出会えたこと、お茶会という共通の趣味を持っていたこと」

    額に、鼻先に、頬に口付けの雨を降らせながら続ける。

    「沢山の『奇跡』が重なって、恋仲という『運命』に変わったように。ゆっくりと、じっくりと。わたくしたちの愛を育んでゆけばいいのです」

    奇跡が、運命に。

    「『奇跡』という花言葉を持つ青い薔薇、それが999本。博識なおじ様ならばもうこの意味はお分かりですわよね?」

    999本の薔薇を贈る意味。『何度生まれ変わっても貴方を愛す』

    「お嬢さん、君は……」
    「言ったでしょう、焦る必要なんてこれっぽっちもありませんのよ。わたくしが何度死に、何度生まれ変わったとしても。必ずまたおじ様を愛しますわ。そういう運命なのですから」

    あぁ、このお嬢さんにはきっと一生敵わない。

    「愛しています、おじ様……」

    唇に触れるような口付け。

    これは世間の恋仲の人間たちが交わすようなものではなかったけれど。それでも確かに愛はここにある。

    ゆっくり、じっくり。時間をかけて。互いの愛を育みながら自分たちのペースで前に進んで行けばいい。

    「ありがとう、お嬢さん。けれどね」

    これだけは伝えておかなければ。

    「例えでも死んだら、なんて言わないでくれ。想像しただけで私が死んでしまうから」

    跪き、お嬢さんの手の甲へキスを。

    私とて男だ。これくらいはさせてほしい。

    「ふふっ」

    頭上から可憐な笑い声。そして次の瞬間。

    「うわっ!」

    突然持ち上がる体。気がつけばお嬢さんに姫抱きにされていた。

    回る、回る、クルクル回る。踊るように、楽しげに。

    しかしこのままでは目が回りすぎて砂になりそうだ。

    「お、お嬢さん!止まってくれ!」
    「それはできませんわ!」
    「何故」
    「だってとっても嬉しいんですもの!おじ様からもらった喜びが!愛が!」
    「いや、それは───」
    「たとえおじ様でも今のわたくしを止めることはできませんわよ!」

    優雅な曲もかかっていなければ、決められたステップも作法もないけれど。

    確かにここには愛があった。

    「お、お嬢さん……愛して───」
    「わたくしも愛しておりますわ!」

    回る、回る、クルクル回る。

    二人きりの舞踏会は月が眠りにつくまで続いたのだった。
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