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    ヒロ・ポン

    支部ないです。ここに全部ある。

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    ヒロ・ポン

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    かどかじの初夜です

    初夜寸前のシュール「ちょっとこれは…無理ですね」
    「はあ」

    などと間の抜けたやり取りをしている夜もそこそこな時間。
    漢・門倉雄大は「お互いに気はあるのに事に及べない」という人生で体験したことのない局面に立たされていた。
    はあ、と言うのは決してため息ではない。まあ本人がそういうならそうなのだろうなという、認識に対する返事であった。

    「あ、無理というのは門倉さんの事がとか、そういうことをするのが無理というのではなくて、そんなちょっとした腕みたいなのをこう、普通に使ってても切れるような所に入れるの無理じゃないですか?」
    「はあ」
    普通に使うというのは出口としての事だ。梶の懸念するそれが現状、慢性なものであるかどうかは聞かないでおいた。
    梶の言わんとする所は分かるし、薬局にポスターが貼られる程度には世間的にはおなじみの事象なのだという事も理解している。
    生き延びれば生き延びるほど世話になる器官の損傷を避けたいというのはごもっともな話であった。

    こんなの初めて、と言わせるつもりが言わされそうになった不覚さえどこかに飛んで行ってしまったような気持ちだ。
    自分と花も恥じらうドラマのような恋をしようと近づいてくる人間はいなかった。居たのかもしれないが、まず自分の側にそのつもりは毛頭なく、最終的に接触してくるのは物分かりのいい、話が分かっている人間ばかりだった。初物食いの趣味も無かった。
    口説いて落とすこともあったが、大抵は既に経験アリの人間でありリードするにしても相手側にもある程度の知識があった。

    ところが、嘘喰いに誑かされる前の人生の全てを労働と被虐待とに費やされて来た男は作り物を鑑賞した以上の知識も知恵も体得していなかったのだから堪らない。
    公私を混同し、プライベートに踏み込み、手なんか繋いじゃったりして、という梶の腰が引けない手順のしっかりとしたルートを用意してじわじわと追い詰めた。
    強引に行くとガードが固くなる、ガードをほどくには手間がかかる。その手間は惜しくはなくむしろ楽しめるものであったが、いつお互いいつ死ぬともわからぬ身の上にある以上は今すぐにでも音を立てるほどに燃え上がってしまいたいというのが本音だった。

    幸い、梶もまた門倉の挙動には戸惑いつつではあるものの、導かれんとしている先を察してもその手を振りほどいて逃げ出す事は無かった。
    門倉ももうサルの様に盛りがちな10代、20代ではない。下半身で物を考えているつもりもない。脳は頭にあり、息子が泣くのは欲しい物を寄こしてもらえないからだ。
    だからこそ、ここに至るまでにそうやって、そうやって積み上げて一枚ずつめくり解いて来た相手からお互いの落ち度無く「無理ですね」と言われるのは少なからずのダメージがあった。

    ちょっとした腕、と言われて未だ下着の中に収納されている息子の影を見る。やや学のある人間に木の根瘤と言われた事はあったが腕と評されたのは初めてかもしれないと思った。
    「いや、すみませんなんかやってみる前からこんな弱気で…」
    「いえ、仰られる事もよくわかります。粗末ではない自負はありましたので…」
    第一相手が悪いのだ。
    立場上の使役関係は置いておいて、門倉には梶を一度抱いて捨てる気など毛頭なかった。
    明日関係が切れても困らない相手とするセックスはマリオがステージの最後に揚げる旗程度のものでしかない。ラジオ体操の判子程度の物と言い換えてもいい。
    そんな相手なら多少の無理を「門倉に抱かれたいから」というのを利用してその我慢には素知らぬ顔をし、押し切って終わらせていただろう。
    しかし、この梶とは是非次の機会も持ちたかった。梶の側に懸念があるのなら止まるのもやぶさかではないのだ。
    「ほんとすみません、俺もこう、そういう感じにっていうか、どこを使うかみたいなのはね、ほら、なんとな~く理解してるんですけど、ちくわの穴に切る前の大根って入らないって言うか…」

    なので、無理と言いました。
    尻すぼみになる弁明をじっと聞いている間も、門倉の息子はそこに血をじっくりと蓄えている。別に今日挿入しなくともよい。が、”コト”に及んだという実績は欲しい。そのほう今日がダメでもその方が次に進みやすいと考えた。

    「その無理と言うのはどうすれば解消されそうですか」
    怯えでもなく興奮でもなく、梶から問題の解決を探る視線が門倉の股間に注がれる。
    「それ…が入るには、僕の尻がかなりゆるゆるにならないといけないと思います…」
    それもそうだ。ちくわの穴に大根をねじこむには、大根をカットするか、ちくわの側を大きくするかなのだ。それ以外の方法は名作漫画の青狸に頼るほかないだろう。
    しかし門倉が予想していたよりも、行為に対する梶の理解は早かった。それじゃあもう、「する」の側ではと唯一と言ってもよい解決策に手を掛ける以外はない。

    「なるほど、わかりました」
    「えっ」
    「どちらにせよそれが最適解だと思います…そう致しましょう」
    「えっ、俺の尻…」
    「はい」
    「するんですか、ゆるゆるに、最適解ってそういう事ですよね」
    「最適解ですので」

    梶から目を逸らさず、片手で傍らに置いてあったローションのボトルを手に取る。もう片方の腕は梶の腰を、背を支え、下敷きとなってベッドに埋まる。
    いつぶりかの、押し倒す格好になった。ひたすら視線を彷徨わせる梶は、門倉を絞め落とす勢いでその首に背に抱き着いた。

    「よ、よろしくおねがいします…」

    ポトリ、とまずは花弁が一枚落ちたのが見えた。
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    トーナ

    DONE初門梶SSですが、門倉さんあまり出ません。すいません…。

    裏ver書きたい。
    僕の秘密

     門倉さんに秘密にしていることがある。それは門倉さんがいない間に僕が彼のシャツを独り占めしてることだ。僕と門倉さんは恋人同士で今でもどうしてこの関係になったのかもわからない。きっかけはたぶん、プロトポロスでの出来事だろうと踏んでいる。お付き合いしてだいぶ経った頃に彼がある日仕事が長引いてなかなか会えなくて寂しくなった僕は洗濯物に混ざっているシャツを見つけた。シャツから香る門倉さんの匂い。たばこと体臭。最後に嗅いだのはいつだったか。そしてふと思いついて、実行すると寂しさが解消された。
     
     その日も僕はあることを始めた。洗濯せずに取っておいた門倉さんのシャツを抱きしめながら眠る。彼と一緒に暮らすようになって、いつしか彼の存在がそばにあるのが当たり前になっていた。だから、会えない間はそばにいないと僕は胸に穴が開いて落ち着けなくなってしまう。
    「…門倉さん」
    僕より大きいそのシャツから嗅ぎ慣れた匂いがした。その匂いがあるだけで門倉さんがいるんだと錯覚できる。だから、よく眠れるようになる。胸のあたりに顔を埋める。今は薄っぺらいシャツだけの感触しかないけど、ここには彼のたくましく厚い 1001