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    ヒロ・ポン

    支部ないです。ここに全部ある。

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    ヒロ・ポン

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    同人だか商業だかわからんけどとにかくエロ画像製造してるちゃんみと乗り込んで来た何もしらないおじさんと物覚えが早くてアシスタントするハメになった黒服の皆さん

    門弥黒服が度々、休暇申請をしてくる。それも特定の複数人がだ。
    賭郎の本体、社会的に言うと裏の顔は株式会社といった風の形式ではない。しかし律義に知らせてくるのだ。
    立会いがある日に欠けるようなことはない。立会いが無い日には好きにすればいい。そう言っても知らせてくるのだ。
    一体何が起きているのだろうかと思い別の黒服を探りに回したこともあったが特に成果は得られなかった。
    個人の事だから好きにすればいいと言うのスタンスではあるが裏で何か画策されているのであれば面倒だ。信用できる人間のみを回りに置いているつもりだったからやや残念に思っていた。が、ここ最近ようやくその動きがつかめて来た。
    特定の黒服が不定期に、しかしそれでいながらルーティンを組みながらとあるマンションに出入りしているというのを掴んだ。これを掴んだのは新入りの黒服だけだった。
    ベテランの黒服でさえつかめなかったのに何故?と首を傾げたがまあ時の巡りというものもあるのでとくに追及はせず、門倉雄大はその現場と目されるマンションに立ち合いの後に直行した。
    しばらく車内で張っていると裏手の駐車場から見知った男が出て来た。今日、用があると言っていた黒服だった。
    ここが自宅ではないなず、と思いながら車を降り、エントランスの自動ドアが閉まる前にそこにつま先を突っ込んだ。
    存外大きな音を立てて止まったドアを振り向いた黒服がちいさく悲鳴をあげた。間違いなく、この門倉の手元の黒服であった。その目元は黒く、目自体はうつろだった。
    「ご、ごめん雄大君!」
    停止したドアを手動で割り開いているそのわずかな間に謝罪と悲鳴を残して黒服が走り去ろうとする。自体の把握が足りていない以上追いかけるよりほかない。
    乗りこまれたエレベーターの壁面の階数ボタンの「7」が点灯したのを確認し、そのドアをこじあけるよりも非常階段で同階に行く方に切り替えた。
    何もなければ「ごめん」とは言わない筈だ。女も、家庭もを持つことも咎めたりはしていない。ただ賭郎の仕事以外で無暗に法に触れてくれるなとだけ。
    階段を駆け上がりながら頭の中で消去法により謝罪の意味が形を持っていく。

    「ヒイッ!?」
    この門倉の剛脚を忘れていたのか、黒服は化け物を見たような顔でこちらを見上げた。
    「ここで何をしている。私に謝罪しなければならないような事が?」
    「ア、アワワ…」
    黒服が玄関ドアを背にそこにびたりと張り付いた。中に人の気配がする。このドアに近づいているのだからおのずと内側から開くだろう。

    あーあ、という声がドアの内側から聞こえた。ドア越しにもわかる、やや間延びした声。
    開錠の音の後に黒服をぐんと押しながらそのドアは開かれた。———顔を出したのは、弥鱈だった。
    「何、しとんのじゃ」
    「何って、ナニですけど」
    「人ンとこの黒服連れ込んで何しとんのじゃ、って話よ」
    謝罪しながらへたりこんだ黒服の襟を弥鱈が掴みずるずると中に引きずり込んでいく。
    「…とりあえずどうぞ。そこに立っていられたらここが反社物件だと思われるので。」
    招かれるままに三和土を超える。もちろん弥鱈の家はここではない。セカンドハウスかとも思ったがそんな話は今まで話題に出た事もない。
    「あ、応接セットとかないんで。血がついてなければyogiboにでも座ってください。」
    ずし、と足元に不定形のクッションを寄こされたが、座れと言われたにしてはわけのわからない形状なので無視した。

    ごめん、ごめん!と謝りながらも黒服はデスクにつきPCの電源を入れた。というか、そいつだけではなくその場にいる5人のうち三人が門倉の元の黒服であった。
    「お前たち、表の顔…っていう風でもないな、ここは…」
    「ごめん雄大くん、嘘とかついているつもりじゃ…」
    「嘘ではないでしょう。何もかもを報告する義務はない訳ですし、副業ですよ副業。」
    平謝りの黒服と迫る門倉に見向きもせず弥鱈もまた画面に向かっている。
    「お前はお前で何をしてるん?」
    大きな画面に直接タッチペンを走らせている弥鱈の手元を覗き込む。やや嫌がられたが、画面が大きいので十分に目に入った。

    「いや、ちんぽやんけ」
    「そうですよ、ちんぽです。今日はみなさんちんぽを作業してるんです」
    へえ~、と流すにはあまりにもなそれだった。振り向いてみれば黒服たちも別のそれらを緑色に塗りつぶしたり、立体的に塗ったり、黒い棒を上から重ねて隠したりしていた。
    「ん?弥鱈の表の顔ってちんぽの何か?第一次産業?」
    「あなたにしては随分と抽象的ですね。混乱してますか?少しいい顔をしていますよ…」
    ややときめいたような顔を向けられるのは悪くないが、その顔の向こうには血管がバキバキに浮いたそれが表示されているのだからなんとも言えない気持ちになる。

    「来週に入った立会いが少々ハードそうなもので、指が折れる前に脱稿しなければならないんですよ」
    「だっこう」
    「あ~…仕事を上げる、納品、的な事だよ雄大くん。立会で指が折れたらペン握れないからその前に納品しよう、って今修羅場なんだ」
    「あ、そうなの。修羅場は大変やね、何にせよ面倒だろうし」
    「何かキャラ崩壊してません?」
    「しかしえらい根を詰めているようだが…何だ、その、納品の期日というのはいつなんだ」
    「明後日だよ雄大くん」
    カコ、と弥鱈がプルタブを引き起こす。手に握られているのは最近よく見かけるエナジードリンクだった。
    「まあ、門外漢だから触れないが…お前ら飯は食っているのか?」
    「あー、まあ、大丈夫、食べてるよ」
    これに対しては嘘つけ、の一言しか出てこない。この家の中には栄養ドリンクとエナジードリンクのケミカルな匂いしかしない。
    「…立会いの前に死ぬんじゃないか」
    「黒服には食べさせてますよ。一応あなたの所からの借り物なので」
    には、という所が引っ掛かった。タワーのごとく積み上げられたエナジードリンクの缶と、同じ缶が溢れる足元のゴミ箱を見て無視ができようか。
    「入稿後の一週間は立ち合いもありますが体調を戻すのに費やしますからご心配なく。準備会には迷惑掛けられませんから。」
    「準備会?」
    「ゲームの運営みたいな取り仕切る団体の事だよ雄大くん」
    あ、そう…と逐一解説を挟んでくる黒服に頷いて返す。
    そう会話をしながらも一同、男性器を丹念に丹念に塗り進めている。画面中のそれの真珠の位置に心当たりがあるが気のせいだと思う事にした。

    「ほかに何かご質問が?」
    エナジードリンクを飲みほした弥鱈がペンも置かずに尋ねた。
    見るからに五人とも集中力の要る作業をしている。現状から納期までの進捗の程度が窺えないが切羽詰まっている事には間違いがなさそうだった。
    「いや…弥鱈、絵、上手やね。そんだけ。」
    「…どうも」
    「帰るわ」
    「そうですか」
    何はともあれ用は済んだ。色々と言いたいことはあったが、言及するような領域の事ではない。早々に立ち去るべきだと判断し、時間が惜しいだろうと思い見送りも断ってひとり玄関から来た道を戻った。

    「雄大くんどうだった?何か怪しい事でも…」
    「いや、制裁するようなことは無かった。悪いが裏のコンビニで適当に、片手で食えるモンとカフェインがない飲み物を男五人分。ここの705に届けてやれ。」
    「あ、差し入れ?オフィスとかだったんだ」
    「ま、そんな感じよ…」
    わかった、と渡した万券を手に同行の黒服が駆けていく。
    収穫はあった。疑念も晴れた。「いや、何してんだ?」という気持ちはそのまま晴れやしなかったが、
    とくに問題が無かったのは事実だし、何より大人が真剣に取り組んでいることに水を差すほど無粋で迷惑な奴であるつもりはない。
    何も見なかったことにしよう、と決めたのは優しさだった。
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    トーナ

    MOURNING一度は書いてみたかった門梶♀信号が赤から青に切り替わったのを機に、止めていたハンドルを動かす。時刻はすでに終電を迎える頃だった。遅くまでかかった残業を思うとはらわたが煮え繰り返る。同僚の立会人のせいで事後処理が遅れたのだ。必ず、この恨みは後日に晴らすとして。
    『門倉さん?』
    「聞こえていますよ。大丈夫です」
    『なんだか、機嫌悪くないですか?』
    「そりゃあ、どっかのバカのせいで仕事する羽目になりましたからね。せっかくの半休が台無しです」
    スピーカーホンにしたスマホから漏れる彼女のの乾いた笑い声がした。おそらく梶の脳裏には急務の報せを受けて凶相になった私を思い浮かべたかもしれない。
    『本当に、お疲れ様です…。門倉さんにしか出来ないことだから、仕方ないですよ』
    梶の宥めるような声がささくれ立った私を落ち着かせてくれる。
    「梶、眠くないん?」
    『んん…、もう少しだけ』
    「また薄着のままでいたら、あかんよ」
    『でも、かどくらさんとはなして、いたい…』
    どこか力が入らなくなってきてる彼女の声に眉をひそめる。共に過ごせなかった半日を名残惜しむのはいいが、前科があることを忘れてはいまいか。
    「明日、無理やり休みもぎ取ったから、い 1173