よりどころ 「ふぅ……お風呂に入ったら一日の疲れがある程度とれますね」
そう、仕事から帰宅して早々に風呂へ入った日本は愛犬のぽちに言った。くぅんと主人を心配するかのように鳴いたぽちを抱き上げ、月がよく見える縁側へと移動した。夜風が心地よく、風呂上がりの温まった体を冷やしていくようだった。
月を見ていると隣国の自分の兄だと言って聞かない中国を思い出す。彼のまた、自分と同じように仕事で忙しく疲れているのだろうか。(時間が合えば会いに行きたいのですが……。やっと恋仲になれたのに、二人の時間が少なすぎます。私がもっと積極的になればいいのでしょうかねぇ)
なんてことを考えながらありもので簡単に夕食を準備していく。量は少なめにしておこう。疲れているし、時間も遅いので酒のつまみくらいがちょうどいい。机で静かに飲み食いしてもいいが、月を見ながら思い人のことを考えつつ縁側で食事を摂ることにした。
秋もやや深まっており紅葉や銀杏が目立ってきている。秋を感じるものが日に日に増えていっているように思う。日の光を浴びて鮮やかな色を見せているときと、月の光を浴びて落ち着いた色を見せているときとでは感じるものが違うなと思った。夜風で冷えたのか、肌寒く近くにあった羽織を羽織った。食器を洗い、明日の予定を思い出しつつ寝る準備をし始めた。なんとなくまだ、眠る気にはなれないのだ。しばらく縁側で外の景色をボーっと眺めていると
「久しぶりあるね。元気にしてたあるか?」
月明かりのせいでぼんやりとしか見えないが、彼、中国がいた。音もなく敷地内にいたことに驚いたのはもちろん、こんな夜遅くに来るなんて非常識だと思う反面、会いにきてくれたことが嬉しくてたまらなかった。色々な感情が駆け巡るなか口にできたのは、愛想のない言葉だった。
「おや、中国さん。お久しぶりですね。こんな時間になんの御用ですか?」
「何って、日本。お前に会いに来ただけあるよ。」
続きは気が向いたら書いていきます。恋愛小説ってどう書けばいいんですか……